123天文台通りの下町翁 雑記帳~納豆のたたり~
いつから納豆をうまい❗と思って食べるようになっただろうか? 小学生低学年の日曜朝の食卓、卓袱台からが濃厚な線だ。まだ50年以上前の小学校には週休2日制は導入されておらず、のんびり寝坊して朝飯を食べられるのは日曜日の朝だけ。その朝食で出た納豆を、いきなりネバネバや匂いを厭わずに最初から抵抗感なく、ご飯にかけて食べて、旨いものと自然に受け入れてから一貫して食べ続けている気がする。
客人がいて、そのお裾分けで食べた出前の鰻重は今でこそ、たまにしか食べられないご馳走、好物だが、子どもの頃は、蒲焼きをひっくり返した鰻のぶよぶよした見た目と灰色の皮の部分のどこか生臭さ残る味わいが嫌で、当初は好きになれなかった記憶がある。鰻の蒲焼きを、いつの時点で「嫌いから好き」に転じたのか思い出せない一方で、納豆との出会いはかなり様相が異なる。
そんな納豆なのだが、何か特徴のある人を見つけるとあだ名を冠するのを面白がる下町家族の風情の中で、額が広くて薄毛な父の勤務先の同僚を"納豆"とニックネーム付けたりした。さらに時代を遡れば、今から考えると連れ合いに乱暴働くラッキョウ頭の近所のオヤジを揶揄するため、彼の家から見える位置の窓ガラスに半紙に漢字で"辣韮"と書いて貼り出したイタズラ好きな家柄で小生は育った。
どうやら今になって、髪がみるみる薄くなり、我こそ "納豆"アタマになってしまったのは、あの時の「たたり」なのかもしれない、などと自嘲気味に苦笑する今日この頃だ。
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