見出し画像

Airbnb: ユニコーン企業、最後の希望

Airbnbとは「エアビーアンドビー」と読む民泊仲介大手オンラインサイトです。世界中の「ゲスト(旅行者)」と空いている部屋を提供する「ホスト」をつなぐマーケット・プレースとして世界191カ国に広がる「Airbnb」。人と場所とをつなぐ宿泊事業はいま、地域活性化の手段としても注目を集めており、2019年8月にはAirbnbの1日の宿泊者数がAirbnb史上最高の400万人を突破したと発表があり、民泊も宿泊ビジネスに大きく市民権を得始めている事が伺えられる。(ちなみに宿泊サイト1位のExpedia/Booking.comは2,700万人/日の宿泊数をこなしている)Airbnbの名前の由来や、歴史等の詳細は民泊大学サイトで説明されているので、そちらを参照してほしい。

今回ここで話をしたのは、そのAirbnbが2020年に新規株式公開(IPO)を準備を進めていると先日明らかにした事だ。Airbnb は昨年基準で同社の企業価値は310億ドル(約3.7兆円)水準だ。因みにUberが上場した時の市場価値は824億ドル(約9兆円)だが、今までユニコーン企業として鳴り物入りで上場したUber, Lyft, Slackのほぼ全ユニコーンIPOは未だ収益を出しておらず、株価も落下するばかりであるが、このAirbnb、実は2017年に既に売上55億ドルの売上に対し、9.300万ドル(約100億円)の収益を出したと発表をしており、他のユニコーン企業とは大きく異る、優良ユニコーン企業だ。そのAirbnbが2020年にIPOをすると発表したものだから、投資家の期待は半端なものでない事が伺えられる。Airbnbはユニコーン企業の最後の星になるかもしれないと言う訳だ。

私自身も定期的にAirbnbを利用する事があるが、それは行く場所や時期によって判断をしている。例えば私はアメリカ国内を旅行する時は、Airbnbを良く利用するが、それがアジア方面(日本以外)となると、ほぼAirbnbを利用する事はない。これは宿泊市場の競合性部分が大きく左右されており、例えば米国の場合はホテル数も多いが、Airbnbも負けずに多く、ホテルと比べて安価で、場所も比較的悪くなく、特に家族や複数人のグループで宿泊する時は1軒屋に宿泊出来るので、総合的に考えてホテルよりもAirbnbのサービスを利用した方がいい時が多い。

それに比べてアジア方面はAirbnbのサービスが行き渡ってないのか、検索をしても数が少なく、あったとしてもホテルと比べて高かったり、そんなに変わらなかったり、不便が悪い場所が多かったりするので、どうしてもホテルを優先する事が多くなると言う理由からだ。

日本に関しては、2018年からもし家主がAirbnbに参加してければ、住宅宿泊事業法(民泊)の届出の義務が課せられ、以前は多くあった宿泊場所も、届け出を義務付けられた事により、一気に少なくなり、残ったのは、あまり魅力的でない宿屋しかなく、正直日本でのAirbnbの今後の展開はあまり希望的ではなくなった。

しかし最低でも宿泊先を探す時点でホテルと同時にAirbnbを宿泊先の選択内に入れていると言う事から、如何にAirbnbが宿泊先の市民権を得たと言う事を感じている。

そしてUberとAirbnbはシェアリング・エコノミーと言う点では同じビジネスモデルのような気がしてしまうが、果たしてそうなんだろうか?確かにUberは車を使ってのシェアリング・エコノミー、Airbnbは家を使ったシェアリング・エコノミーと違いがあるものの、基本自分の持っている資産を使い、それの有効活用をする事により収益を得ると言う点では同じシェアリング・エコノミーだ。

しかし同じシェアリング・エコノミーでも大きく違う点が1つあり、それは自分自身がそのシェアリング・エコノミーに参加したいかどうかの違いだと思う。例えばUberは顧客として、タクシー代わりに利用するが、Uberのドライバーとして参加をしたいか?と聞かれると。。。と言う感じだが、Airbnbは上記に書いたように顧客として利用はするし、もし何だったら自分の家をAirbnbに登録をして、ホストになってもいいかなと思うぐらいだ。この違いは大きいと私は思う。Uberの場合は需要はあるが、供給と言う点では確かに苦労しており、Uberがなかなか収益を生まない利用の1つとして、ドライバー勧誘の為に、色々なボーナスを用意し、モチベーションを高め続けないとなかなかドライバーが集まらない。しかしAirbnbの方は基本、余っている部屋や使っていない家を貸し出すだけだから、ホスト側の負担もあまりなく、比較的簡単に供給側に回る事が出来る。シェアリング・エコノミーが成功する確率はこの、需要と供給のバランスになると思っているので、UberとAirbnbがどちらが成功する競争をしたら、私はAirbnbが勝つのではないかと思っている。

そして最後にAirbnbがもう1つ成功するのではないかと思われる点は、やはり在庫を一切持たないビジネスモデルと言う点もUberと比べて、大きな点だ。確かにUberは現在、車を一切所有しておらず、マーケット・プレイスを提供しているのみであるが、しかし上にも書いたように、ドライバー(供給側)を増やすために、Uberは多くのボーナスや経費を費やして、需要のバランスを保ち、売上を伸ばそうとしている。しかしその状態では、黒字化させるのは、相当時間がかかるであろうと言われている。それを打破するには、やはり自律運転自動車の導入だ。言って見れば、ドライバーに代わり文句の言わない、そして賃金要求もして来ない、Uberの思い通りに働くロボット・AIが必要なのだ。確かにロボットであれば、黒字化は達成出来るかも知れないが、しかしそのロボットでさえも、製造/購入、導入、運営、そして保守が必要だが、Airbnbは一切、家の在庫を抱えないビジネスモデルであり、在庫を抱えるUber, 抱えないAirbnb、この差は大きく今後の収益の違いに出てくるはずと私は見ている。

いずれにせよ、今後のUberやAirbnbのユニコーン企業の展開、非常に興味深く、拝見させて貰おうと思う。楽しみだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?