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day15―簡易脳波計による疲労度測定

Mak, J. N., Chan, R. H., & Wong, S. W. (2013, November). Evaluation of mental workload in visual-motor task: Spectral analysis of single-channel frontal EEG. In Industrial Electronics Society, IECON 2013-39th Annual Conference of the IEEE (pp. 8426-8430). IEEE.

MindWaveという、脳波を測定できるおもちゃを基にメンタルワークロードについて測定

#100daysOfAbstract

前提知識

MindWaveはカチューシャのように手軽に取り付けられる脳波計で、額部分の単一チャネルから脳波を読み取る。
一般的なEEGはヘッドセットのような形状で、ジェルをつけたり塩水に浸したりしなければならず、日常場面で使用するには負荷が大きい。
それに比べ取り付けが簡単で、しかも時間分解能は他のEEGと変わらない(512Hz)。ノイズは大きいかもしれないが気軽に測定が可能という点で優れており、一般にも普及しやすいはず。実際かなりの本数を売り上げている。
さらにMindWaveについて詳しくは拙稿を参照ください。

メンタルワークロードは日本語にすると精神的作業負荷となる。非常に幅の広い概念で、仕事の作業負荷という場合もあれば、ちょっとした課題の負荷という場合もある。いずれにせよ何らかのタスクの負荷だけでなく、それによって感じる負担、付随する疲労・疾病までを含めた意味を持つ。

方法

本実験では視覚的メンタルワークロードを測定するため、PC版鏡描写テストを実施する。これは左右反転させたマウスで、できるだけ正確に提示された図を模写するという課題である。8段階の難易度を実施、それぞれ7段階で難易度を評価してもらった。

結果

Upper alphaと主観的難易度評価に正の相関があった。それ以降色々解析を試したが、最初の30秒間のupper alphaの変化率が最もメンタルワークロードを予測する。しかし平均二条誤差を使った予測ではほぼすべての帯域が20~23%であり、そこまで予測精度は高くない。

考察

MindWaveでも、メンタルワークロードについて測定が可能!

所感

正直精度が高くない。課題についても詳しく見ると、1つの課題が傑出して高い変化率になっていて、それに引きずられている気がする。もう少し難易度を細かく調整して実施しないとなんとも言えない。
これよりはday2で取り上げたNT◯の方が実施していた心拍に関する論文のほうが、可能性として高い気がする。

認知科学的研究を真面目にビジネス応用するなら、VRやEEGよりウェアラブルが今後一番来るっていうのが個人的展望。
理由は3つ。
①計測が最も容易(ヘッドセットは邪魔)
②ミリ秒単位ではなく数分単位の変化計測が求められる場面では、脳波でわかることは心拍でも大抵わかる(ERP使う以外EEGのメリットはない)
③まだ爆発的普及が来ていない(まだプレイヤーが定まっていない分野。Go◯gleもFit◯itも席巻できていない。個人的には日本のNT◯が頑張ってほしい)

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