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Day36ー脳波の周波数解析でBCI制御

今回はブレイン・マシン・インターフェース(BCI)関連のトピック。

Palaniappan, R. (2005, March). Brain computer interface design using band powers extracted during mental tasks. In Neural Engineering, 2005. Conference Proceedings. 2nd International IEEE EMBS Conference on (pp. 321-324). IEEE.

α波、β波などの脳波を周波数解析して得られた値を使ってBCIシステムを構築。何かしらの認知課題を行うときと、ベースラインの値を機械学習によって分類し、マウスカーソルを操作することが可能になった。

背景

BCIは脳波計やMRIなどによって脳から直接情報を読み取り、機械を操作するシステムを指す。脳から直接情報を読み取ることで、従来よりもリアルタイム性のある操作が可能になるだけでなく、手足を自由に動かせない人々でもデバイスを操作できるようになる。
基本的に脳波のERP(Event Related Potential)やSSVEP(Steady State Visual evoked potentials)が使用される場合が多く、安定性はあるものの恣意的で自由が効かない場合が多い(例えば、特定の画像をずっと見つめてもらう必要があるなど)。本研究では周波数解析によりBCIを実現させた。

デザインと結果

脳波計は6チャンネル(C3、C4、P3、P4、O1、O2)の簡易なものを使用。4人の実験参加者で分析した。
参加者には心の中で掛け算をする課題、立体図形を記憶する課題、心の中で文章を作る課題、心の中で数字を思い描く課題という4つの課題をやってもらった。課題中とベースライン(何もしていない状態)の脳波は10秒測定し、それぞれ20個の0.5sのセグメントに分割して周波数解析を実施した。
周波数解析は脳波をフィルターにかけてノイズを除去した上で実施した。周波数帯はdelta&theta、alpha、beta、gammaの4種類算出した。それぞれのチャンネルで周波数を計算したが、チャンネルごとの差分を算出したり色々で144個の特徴量を算出した。最終的に80個のEEGパターン(20個のセグメント×2つのセッション(課題は2セット実施)×2つの状態(課題orベースライン))を作成し、多重パーセプトロンにかけた。
結果、それぞれの参加者で最も有効な課題は異なったものの、全ての被験者において90%の精度でベースラインor課題中を分類することができた。その結果、マウスを操作して指定されたオブジェクトを選ぶことができるようになった。

所感

認知課題を使ったり、周波数解析を使ったりとチャレンジングな研究ということで目についた。多重パーセプトロンなど、やり方は色々精緻化する必要があると思うが、とても興味深い結果が得られたと思う。今回はシンプルなマウス操作を行っていたが、認知課題の出来をフィードバックするなど、パフォーマンスを上げる研究にも応用できそう。

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