見出し画像

Day42―生命が持つカオス:自由エネルギー原理について

今回は私の専門である神経学×情報学。
わかりにくい文章になってしまったかもしれませんが、私の力ではこのレベルの咀嚼が限界でした。

Friston, K., Kilner, J., & Harrison, L. (2006). A free energy principle for the brain. Journal of Physiology-Paris, 100(1-3), 70-87.

Fristonらが考案している「自由エネルギー理論」は、とある界隈ではとても有名らしい。これは生物の知覚と学習に関する理論的モデルであり、ベイズ推定と階層モデルに基づいている。

理論

生物は外界を知覚し、推論・学習することができる。どのように推論しているのか。それに関する理論として、ヘブ則などが知られている。
この論文で取り上げる「自由エネルギー原理」は、推論が「エネルギーを最小化する営み」であるとし、知覚と行動の関係を自由エネルギーという観点で説明するモデルである。
この原理は決して他の法則を置き換えるようなものではないが、あらゆる法則が関与していると言ってよい。さらに、この原理は注意など他のメカニズムについても説明する。

生物は時系列分析を行うため、この原理ではベイズ推定を行う。以降の変数はベイズ推定のため、実際には関数である。外界の入力pがあった場合、それをセンサーがyとして受け取る。そして脳内ではyに関する関数Fを最小化するようなλが求められ、その結果として行動αが出現する。
(実際にはさらに複雑な数式によって既定されている)

この原理の裏付けとして、fMRIの実験を行った。一定の方向に向かった矢印が列挙されている状況で、中央の矢印が周囲と同じ向きか、反対向きかに変化する。この変化は事前に予測可能な場合と不可能な場合があった。この理論では、事前に変化が予測できない場合のほうが(より注意を向けようとするため)脳活動が大きくなると予想された。そして見事実験では結果として、予測できるか否かによって視覚野の脳活動に有意な差が見られた。

所感

正直数式に関しては10%ほどしか理解できていないため、数学に明るい方は元論文をぜひとも解読して頂きたい…!。
脳のモデリングは、人間を理解する上でパラダイムシフトを引き起こす可能性を秘めており、非常に重要だと考えている。このように難しいモデルを理解するためにも、ベイズ推定をもっと勉強しようと思った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?