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Day27―赤ちゃんは真似されるだけで向社会的行動が増える!

今回は発達心理学の話題から。

Carpenter, M., Uebel, J., & Tomasello, M. (2013). Being mimicked increases prosocial behavior in 18‐month‐old infants. Child development, 84(5), 1511-1518.

動作を真似された18ヶ月児は、そうでない乳児に比べて助ける割合が高い。つまり、ただ真似をされるだけで向社会的行動が増える。

背景

向社会的行動というのは、大人の場合、社会に対し無償で行うボランティアなどの行動を指す。この定義を拡張し、他者に対して無報酬で行う利他的行動全般を指すこともある。大人ではこのような行動はよく見られるもので、特定の状況で増加することが知られている。この研究では子どもでも向社会的行動が見られることを調べるために、実験を行った。

実験

18ヶ月児を対象として実験を行った。乳児は実験環境に慣れた後、自由に6分間遊んでもらった。mimic条件の乳児たちは、その動作を実験者に真似られた。control条件の乳児たちは、実験者と自然なやり取りを交わした。E1条件ではその後、遊んだときと同じ人物がテーブルからスティックを落とした(sticks test)。さらにその後棚を開けようと試みた(cabinet test)。E2条件では遊んだときと異なる人物が2つのtestを試みた。
結果、真似された乳児はそうでない乳児より2つのtestで助ける割合が高かった。さらにE1とE2を比べたところ、どちらでも同じ傾向が見られた。E1のほうがE2より助ける割合が高かった。
この結果から、単に真似をするだけで向社会的行動が増える。E1、E2どちらでも助ける傾向が高かったことから、これは遊んでくれた特定の人物だけで利他的行動が増えるのではなく、向社会的行動全般が増えると考えられる(相手が誰であっても困っていたら助けるようになる)。
このことから、真似されるだけで親和性が生まれ、向社会的行動に繋がるかもしれないと考えられる。

所感

子育て本ってたくさんあるけど、ちゃんとした科学的エビデンスにのっとったコンテンツはとても少ないと思う。今回の実験は、「赤ちゃんのマネをするだけで、赤ちゃんは優しい子になる」みたいな宣伝文句に応用できるクリアな知見だと思う。キャッチコピー風にすると途端に怪しくなってしまいましたね…

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