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Day28―BCI操作でも視空間フィードバックが有効

Brain Computer Interface (BCI) に関係した記事

Tidoni, E., Gergondet, P., Kheddar, A., & Aglioti, S. M. (2014). Audio-visual feedback improves the BCI performance in the navigational control of a humanoid robot. Frontiers in neurorobotics, 8, 20.

BCIでロボットを操作してもらったときに、足音をフィードバックすることで操作性が向上する。

背景

BCIはブレイン・コンピュータ・インターフェースと訳される用語で、脳からEEG (Electroencephalogram, 脳波計) などで直接意図を読み取り、ロボットなどを操作する手法を指す。似たような言葉でブレイン・マシン・インターフェース (BMI) というものもあるが、こちらは脳情報をコンピュータではなく、センサーなど他のデバイスに接続したものを指す。もっとも、コンピュータもマシンといえばマシンであるため、BCIとBMIの区別も非常に曖昧である。
今回の研究は脳波計を使用し、直接読み取った情報をコンピュータ解析、ロボットを操作する。
ここで、脳からどうやって情報を読み取るかと言うと、SSVEP (steady state visual evoked potential)という技術を使う。これは定常状態視覚誘発電位と日本語訳される技術で、見つめている対象の点滅周期が異なると、脳波のパワースペクトルも異なってくる現象を利用している。そのため、脳を覗けば意図が読み取れるといった優れたものではなく、脳が望んだ状態になるよう誘導していく単純な手法ともいえる。

実験

予備実験で足音に使える音刺激を同定した後、本実験を実施。参加者はBCIを使ってロボットを操作することを求められた。ここで与えられたミッションは、数メートル先にあるテーブルのペットボトルを掴み、そこから少し離れたところにあるテーブルのマークされた部分に移動する作業である。
参加者は足音のフィードバックが同期しているグループと同期していないグループ、さらに視野を広める鏡があるグループと無いグループの4つに分けられた。
結果、特に足音の同期したフィードバックのあるグループはそうでないグループに比べ、有意にミッションを早くこなすことができていた。
このことから、BCIの操作においても現実世界のフィードバックが重要であることが示された。

所感

考えてみれば当然だが、BCIという特殊な技術が求められる場合においても現実のフィードバックが重要というのは興味深い。

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