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北京逍遥#08/白雲観で考えたタオという中国人の魂について#02

シンガポールへの帰国が迫った一週間前、フレンドシップホテルのレストランで食事をしているとき、通訳兼ガイド君に言われた。
「次回が、私がご案内する最後ところになると思いますが、どちらかご希望がございますか?万里の長城ですか?」
僕は即答した「いや・・白雲観がいい」
「天壇は行かなくても白雲観は行く・・わけですか。先生は最後の最後まで私を困らせますね」彼が苦笑いした。
白雲観は北京の北側にあるタオの総本山だ。唐代・開元45年(739)に建てられたと言われている。現存するのは清代・康熙45年(1706)に再築されたものだ。
「神鵰剣侠、読んだかい?」と僕が聞くと、通訳兼ガイド君が「いえ」と応えた。
「金庸の小説だ。読むと良いよ。秀でた小説は歴史書より深く心に沁みる」通訳兼ガイド君が頷いた。
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で・・晴れた午後。白雲観を訪ねた。
北京の西便門/復興門の外側にある。白雲路の東側だ。多くの殿堂が集まっていて一巡して済む広さではない。
クルマを降りてアーチ型の門に向かって歩きながら、通訳兼ガイド君がガイドの真似事をした。
「敷地面積は約20,000平方メートルです。主な建物は邱祖殿、四御殿、玉皇殿、老律堂、霊官殿などで戒台と雲集山房があります。1957年から中国道教協会の管理下にあります。現存する殿堂の多くは清代に修築されたものです。
祖師である道志邱処機は長春真人と呼ばれます。彼の遺骨は邱祖殿にある邱処機像の下に納められています。どこから見られます?」
「そりゃ邱祖殿からだろ」
「了解しました。あ・神雕剣侠、とても面白かったです。一気に読みました。」
「おお、そりゃ良かった。王重陽も長春子も金庸が描くような熱血漢だったんだと僕は思うな。射鵰英雄伝も読むといいよ」
「購入しました。それでですね。実は・・」
「?」
「母が私の机の上に本が積んであるのに気が付きまして・・母はあまり文字は得意じゃ無いンですが、なぜ武侠小説を読み始めたのか?と熱心に聞かれまして、先生のことを話しました。しばらくぶりに母と色々と話をしました。実は、母はテレビドラマは見てたので、射鵰英雄伝と神鵰剣?らことは私より詳しかったです」
「おお、それはなによりだ。共通の話題は大事だよ」
「調べてみたら中国文聯音像出版社が作った連続ドラマだったので、ビデオテープを友人に頼んで手に入れました。しかしこれが射鵰英雄伝と合わせて全部で90本近くありまして、びっくりしてます。しばらくは家族みんなで楽しめます。ありがとうございます。先生のおかげです」
ははは♪変なところで感謝された。んじゃシンガポールへ戻ったら、なにか御母堂に送らにゃならんな・・と思った。
「金庸の射鵰英雄伝と神雕剣侠は、いずれも一番道家が熱い時代が舞台だからな。本当に素晴らしい作家だよ。彼は」
「まるで京劇の現代版を見るようです」通訳兼ガイド君が笑いながら言った。


無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました