見出し画像

夫婦で歩くブルゴーニュ歴史散歩2-5/ブルゴーニュワインを見つめる

https://www.youtube.com/watch?v=c4deRRN1rd4

「ところで格付けの話は終わり?」と嫁さんが言った。
「ん~、終わってない。格付けは畑単位で。4段階だ。Ⓐグラン・クリュⒷプルミエ・クリュⒸ コミュナルⒹレジョナルわりとブルゴーニュは判りやすい。ボルドーの二番煎じだから整然としてる。
まとめると・・
➀グラン・クリュGrand Crus de Bourgogne(特級畑)は全生産量の1%くらいだ。コルトン シャルルマーニュ、モンラッシェ、シャブリ グラン クリュ、シャルム シャンベルタン、ロマネ コンティがそうだ。
➁プルミエ・クリュLes appellations Premiers Crus(第1級畑)は全生産量の10%くらいだ。ポマール プルミエ クリュ、シャブリ プルミエ クリュ、ニュイ サン ジョルジュ プルミエ クリュなどがそれだ。
③コミュナルLes appellations villages(村名ワイン)は全生産量の40%くらいだ。こちらも村名が付く。シャブリ、ジュヴレ シャンベルタン、メルキュレ、ヴォーヌ ロマネ、ムルソー、ポマールなどがそうだ。
④レジョナル Les appellations régionales(地方名)は全生産量の50%くらいだ。エチケットに「ブルゴーニュ」と書かれる。マコン ヴィラージュみたいにブルゴーニュとは書かないワインもあるが、ブルゴーニュ オート コート ド ニュイ、ブルゴーニュ コート シャロネーズ、ブルゴーニュ アリゴテ、ブルゴーニュ パストゥグラン、クレマン ド ブルゴーニュなどがそうだ。

地区は6つ。シャブリ/コート・ド・ニュイ/コート・ド・ボーヌ/コート・シャロネーズ/マコネ/ボジョレーだ。」
「それとオーセロアね」と嫁さん。

ニュイ地区はディジョンから20kmくらい。幅は狭い。1kmもない。北から見るとマルサネMarsannay/フィサンFixin/ジュヴレ・シャンベルタンGevrey-Chambertin/モレ・サン・ドニMorey-Saint-Denis/シャンボール・ミュジニー Chambolle-Musigny/ヴージョVougeot/ヴォーヌ・ロマネ Vosne Romanée/フラジェ・エシェゾーFlagey-Echézeaux/ニュイ・サン・ジョルジュNuits-Saint-Georgeがある。

コート・ド・ボーヌは、ボーヌを中心に約25kmくらい。北から見るとラドワLadoix/ペルナン・ヴェルジュレスPernand-Vergelesses/アロース・コルトン Aloxe-Corton/ショレイ・レ・ボーヌChorey-Lès-Beaune/サヴィニィ・レ・ボーヌSavigny-lès-Beaune/ボーヌBeaune/ヴォルネイVolnay/ポマール Pommard/ムルソーMeursault/シャサーニュ・モンラッシェChassagne-Montrachet/ピュリニー・モンラッシェPuligny-Montrachet/モンテリー Monthélie/オークセイ・デュレス Auxey-Duresses/サン・トーバンSaint-Aubin/サントネイSantenay/マランジュ Marangesがある。

ちなみにコート・ド・ボーヌの下がコート・シャロネーズ。ドゥーヌ渓谷とグローヌ渓谷の間に南に向かって広がっている。北からブーズロンBouzeron//リュリーRully/ジヴリィGivry/メルキュレMercureyがある。
その下にマコンがあり、ボージョレーと繋がっている」
「ほんとに細かく細分化してるのね」
「ん。差別化だ。ブルゴーニューは売れるための手段として『細分化』を選んだ。それからクリマとかテロワールという括りが導かれた。まず初めに"マーケット確保法としての細分化あり"・・だから論拠に不自然さが混ざるのは致し方ない」
「致し方ないの?」
「ん。四角い豆腐も切りよじゃ丸ってわけさ。それにワインは確かに土地の影響をはっきりと受けるから味覚/風味とも土地によって格段に違う。その延長線での肥大化だから・・なかなかその言い分が無視できない・・というわけさ。
ワインを決定付けるのは、テロワール(地域)かセパージュ(品種)なのか・・その古くからある問題に直面してしまう。
新世界の場合は、セパージュにフォーカスしてワイン作りをする。だからエチケットに、ピノノワールとかカベルネソーヴィニオンとか品種名を書くだろ?旧世界は産地名を書くのが多い」
「ああ、そういえばそうね。気が付かなかったわ」
「旧世界でもラングドックルションとか新興勢力なんぞはセパージュの名前を書くところもある。しかし原則はテロワールだ。これには大きな理由がある。彼らは幾つもの品書を混ぜてアッサンブラージュるからだ」
「その方がおいしくなるからでしょ?」
「ん、それもある。少々後付けジャンケンだけどな。むしろそれより、農家は単一品種だけを植えた場合、生産に失敗した場合・・色々な理由はある・・失敗した場合、その年は出荷できなくなる。メシの食い上げになる。それを防ぐために、農家は複数のセパージュを同じ畑に植えた。ごく普通なリスク回避のための方法だ。
新世界は、そんな必要はない。むしろ短品種にすることで自分の畑ではない葡萄を外から買ってこられる。生産量を格段に増やすことが出来る。これが大きい」


無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました