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ワインと地中海・欄外#40/ギリシャ人がかけた撲滅の呪い

「ところで・・アメリカンネイティブって300万人位はいた。これがほぼ100年で3万人くらいになった。彼らは、ありとあらゆる方法で297万人殺されてしまった。いまは10万人位に増えているが、インディアンは相変わらず米社会底辺に蹲ったままでいる」
「あら・・なぜいま、西部開拓史の悲劇になるの?」
「パンとサーカスpanem et circensesだよ。ローマの詩人ユウェナリスDecimus Junius Juvenalisの言葉だ。パンとサーカスさえ与えておけば、人々は批判するだけで、それ以上何もしない。当面の危機が無ければ、民は諦めに染まる。そして支配者は肥大化し饐えていく。いまの日本が、まさにそれだ。ローマは、パンとサーカスで自壊した」
「へえ、パンとサーカスというのは、そんな意味だったの。無償で国からパンとサーカスが渡されるから福祉国家の理想だと思っちゃった」
「実は・・パンもサーカスも、ギリシャから手に入れたものだ。ギリシャは、文化も国家も何もかも吸い取っていったローマ人に『撲滅の呪い』をかけたんだよ。それがパンとサーカスだ」
「あぁなるほどね、助けてあげれば感謝し/そして助けてあげなくなれば、今度は恨む。・・それね」
「ん。アメリカンネイティブも白人たちに『撲滅の呪い』をかけた。トウモロコシだよ」
「なにそれ??トウモロコシ?」
「トウモロコシはインディアンの主食だった。アメリカへ渡った欧州人たちが、これを土地と共に搾取した。アメリカの甘味料はトウモロコシから作るんだ。高フルクトース・コーンシロップ(異性化糖)という。別名・ぶどう糖果糖液糖だ。米国人を虫喰っている肥満・高血圧・生活習慣病の原因はこれだ」
「あぁ、だからインディアンがかけた『撲滅の呪い』ね」
「サトウキビから作る砂糖に比べてトウモロコシから作るぶどう糖果糖液糖は遥かに安い。炭酸飲料、果実飲料、スポーツドリンク、シリアル、ジャム、パン、ヨーグルト、ケチャップに添加された甘味は大半がトウモロコシだ。もちろん日本もそうだ。セブンイレブン辺りに並ぶ食品は、まさにインディアンがかけた『撲滅の呪い』を具現化したものだよ」
「え~でもそんなこと言ったら、市販の加工食品はなにも食べられなくなっちゃうわよ。あなたのメディテリアン・ダイエットと同じよ。突然生活費が三倍になっちゃう」
「それが『呪い』の凄さだな。呪いから逃れようとすると、生活費に大きな負担がかかる」
「ん~・・でもあなた、そんなこと言いながら喜んでない?」
「ないない・よろこんでない。面白がってもいない」

無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました