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夫婦で歩くプロヴァンス歴史散歩#52/おわりにローヌ渓谷を見つめて#03

https://www.youtube.com/watch?v=9wOdFuvMcRM&t=1s

「パンゲアって知ってるよな?」
「ええ、太古にあった巨大な大陸でしょ?」
「ん。分裂し始めたのは2億年前くらいからだ。その分裂の時に出来たのが古地中海だ。テチス海Tethys Oceanと云う。パンゲアの裂け目だ。新生代第三紀まで・・4000万年前まで有った。アフリカ大陸とユーラシア大陸を切り離した裂け目だ。
・・ところで。地球というのは半径6000kmある球体のマグマのカタマリだろ?」
「あら・・唐突に大きな話。そうね、マグマのカタマリね」
「体積は1兆833億1978万km3だ」
「なぜそんな数字がポンとでてくるの?そのほうが不思議だわ」
「その大半がドロドロに溶けた溶岩だ。表面積は「半径×半径×円周率×4」(4πr2)だ。ガッコで習ったろ?」
「憶えてない」
「全表面積は約510億haだ。このうち海中から出ている地表は149億ha。海上は361億ha。比率でみると北半球で6対4、南半球は8対2だ。これから考えると、パンゲアは間違いなく北半球へ広がって分裂した。
ちなみに空気層の厚さは1万m位だ。横幅で比べると東京駅から横浜市くらい。あるいは千葉市位までの距離だ。つまり直径12000kmの地球を厚さ10kmで覆っている薄い層だ。体積は5,140×10の6乗k㎥しかない」
「なんかアタマがクラクラしてきた・・」
「とても脆い構造だということを理解してくれればいい。ドロドロな溶岩は・・云ってみれば液状だから・・地球の回転の影響で渦巻く。その表面を覆っている少し硬い状態の陸地は、その渦巻く溶岩の影響で右往左往するのはあたりまえだな」
「でも卵は中は液状だけど殻は動かないわよ。地球はダメなわけ?」
「ん。殻ほど液と固体に分かれていない。もっと柔らかい。だからマントルの流動に押されて、表面に晒されて陸地上になった部分は動き回るんだ」
「ということは・・結局私たちはタマタマ冷えて硬くなった溶岩の上で生きてるということ?」
「ん。まさにそのとおりだ」
「よけいアタマがクラクラしてきたわ」

「・・なにかの理由で、三億年前に地表になった冷えた溶岩が地球の一か所に集まった。それがパンゲアだ。
そのパンゲアが、再度マントルの動きに合わせて蠕動し分裂し始めてるのが、ここ三億年間の動きだ。・・そして、その分裂の中心のひとつがテチス海Tethys Oceanだ」
「そう・・ふうん。でも、なぜ旧地中海って"旧"つけるの?」
「地中海は大陸の蠕動に合わせて何度も形を変えるからだ。広大な大海だった時もある。陸に押されて、閉じられた内海だったことも有る。いま僕らが歩いてきたローヌ渓谷は、その閉じられた地中海の時期に形成されたものだ」

「あ~それでローヌ渓谷に戻るの?安心したわ。そのまま銀河帝国興亡史へ進むのかと思っちゃった」
「海との繋がりを失った地中海は小さな内海を持つ巨大な地溝帯になったんだ。いまのアフリカにあるタンガニーカの地溝帯みたいなものだ」
「タンガーニカに地溝帯が有るの?」
「ん。ある。でもいまはその話はしない。ローヌ渓谷の話だ・・当時、中央山塊は活発な火山活動にあった。その活動のために膨大な花崗岩がローヌ北部は生成されたんだ。同時に南部分は海底だったものが地中海が閉じられたのと同じ隆起によって地表になった。石灰質の海洋堆積物の層が地表化するんだよ。いまの中央・南フランスの土壌はこの時に形成された。風雪に晒されると、泥灰土(灰質粘土)になった部分が磨耗して硬質なままの石灰岩だけが残った。こうして巨大な棒状の石灰岩(ダンテル・ド・モンミライユ)の山が幾つも出来上がる風景に繋がる」
「あ~見慣れたフランスの山岳地帯になるわけ・・ね」
「ん。そして今度はアルプス山脈が押し上げられる。4000万年くらい前だと云われてる。こうして二つの山塊が、隆起に押されて鬩ぎ合いながら形作られたんだ。その真ん中がローヌ渓谷だ。ローヌ渓谷は地中海から北海バルト海まで貫いてる。
その渓谷に山間部から水が流れるようになった。ヴォージュ山脈から始まるソーヌ川とジュネーブ・レカン湖から流れるローヌ川だ。二つの川筋は渓谷最低基部で合流して大河になった。そして深い河床を掘り始めるんだ。しかし地質が均質じゃない。花崗岩、砂質シリカ、石灰岩、粘土が織り交ざって川の両側に河岸段丘になるわけだ」
「いま、私たちが見てきた風景ね。長い長い歴史の中で、たくさんの偶然が折り重なって、いまのローヌ渓谷の姿が有るわけね今回のソモソモ話は、とても深く納得で来たわ」
「ありがとうございます」


無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました