見出し画像

星と風と海流の民#21/ラピタ人の地・バヌアツへ

パプアニューギニア沖にある海底資源開発を狙ったSPCは、大きいものから小さいものまで絶え間なく派生する。もちろん中々成功はしない。僕がピキニニマルウアPikininiMarouaという礫州のことを聞いたのは、そうしたSPCのひとつに関わっている独立取締役からだ。
「バヌアツ/エファテ島の北西にある礫州だ。かなり太い鈍色の瓦礫が海へ突き出ている。周囲は全て砂鉄だ。その砂鉄の鉱床が遥か海底まで続いている」
彼は僕に、分厚い資料と調査結果を見せた。
「そこを買う。化けるよ。燐鉱より良い」彼が笑った。
「何社、乗るんだ?」
「20社程度は考えている」
「バヌアツ政府の許可は?」
「交渉は終わってる」

僕はポートビラPort Vilaを思い出した。
青い海と白い砂浜、熱帯雨林の町だ。タロイモやヤムイモ中心の自給自足社会で、貿易はコプラの輸出が中心だ。にもかかわらず、その首都ポートビラPort Vilaは、幾つもの近代的な建物が不似合いなほど並んでいる。意外に知られていないが、バヌアツは所得税や法人税が無い。そのためオフショア金融業者が多い。彼らはポートビラに集結しているのだ。
https://pic.or.jp/ja/wp-content/uploads/2020/10/VFIPA-Investing-in-Vanuatu-Guideline-2020.pdf
「そういえば、Warwick Le Lagon Hotelは?まだ有るのか?」
「いや、知らない。俺はバヌアツへ行ったことがない」彼は顔をしかめた。オフショアに集まる金貸しには興味ないという意味だろう。
なるほど。
「・・乗ってもいい。しかし、その礫州と周辺は見てみたい」
僕が云うと彼は笑った。
「わかった、調整して置く。ホテルはそのWarwick Le Lagonで良いのか?」
「任せる」

計画がそうそう巧く行くとは思えなかったが、彼とはミクロネシア諸島にある燐鉱島のことで別SPCを組成していた。僅額でもいいから手伝ってあげようと判断したのだ。・・それにバヌアツはラピタの地だ。
ラピタ人に逢いに行きたいと思ったからだ。

無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました