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夫婦で歩くブルゴーニュ歴史散歩3-5/バスを使ってコルトン歩き#03

https://www.youtube.com/watch?v=c4deRRN1rd4&t=23s

Domaine Comte Senardのランチティスティングはグラン クリュ 6種(白2赤4)を選んだ。特別にお願いしてCorton-Charlemagne Grand Cru Blancを加えてもらった。無理ならボトルで買わせてもらって・・とも思ったが、追加料金だけで快諾してくれた。

https://www.wine-searcher.com/find/dom+comte+senard+grand+cru+blanc+corton+charlemagne+cote+de+beaune+burgundy+france/1/france

嫁さんは大喜びだった。食事しながら言った。
「そういえば・・コルトン・シャルマーニュCorton-Charlemagneって・・シャルマーニュってカール大帝のことよね。フランス語がシャルマーニュなんでしょ?なぜ、彼の名前がワインに付いてるの?」
「いいとこ突くな、シャルマーニュCharlemagneのmagneって『偉大な人』という意味だ。『偉大なるシャルマーニュ』ということだ。日本語は大帝と当ててる。・・ああ、そういや金日成は天出名将をくっ付けてたらしい。だから誰かが悪口言うときはいつも『天出名将金日成のバカヤロ』と言ってたそうだ。カール1世も、きっと悪口言われるときは『偉大なるカールのバカヤロ』と言われていたに違いない」
「ほんとに口悪いわねぇ。で。なぜカール大帝の名前がついてるの?彼が大好きだったの?」
「ご名答! そうなんだ。彼は2mちかい大男で、銀髪だった。伝記作者のアインハルトによると、彼は馬術・狩猟・水泳が得意で文盲だがラテン語/ギリシャ語は自在に話せたという。そして大酒のみだった。ワインをがぶ飲みした。だから髭が酷いことになっていたらしい。それを気に病んだ奥さん・・四番目の奥さんルイトガルトの懇願で、ワインは白だけにしたそうだ。ご多分に漏れず好色で多淫な奴だったが、その時に妻とした女性に対しては愛妻家だったようだ」
「いいかげんね」
「はは。でもそのおかげで、彼は白ワインを吞むようになった。その彼が吞んでいたのがコルトンのシャルマーニュだ。コルトンには妻ルイトガルトが彼のための作ったワイン畑が、コルトンの丘にあった」
「え?でもコルトンのテロワールは・・今の説明の方の話では赤ワインに向いてるんでしょ? だから赤が沢山作られているって・・でもシャルマーニュのためにシャルドネを植えたの?」
「ん。でもシャルドネじゃない。アリゴテだ。まだシャルドネは来ていなかった」
「あ・そうか。テタンジェへ行ったときに見た映画ね。十字軍(1096)がエルサレムから持ち帰るまでシャルドネはブルゴーニュには無かったのね。だからアリゴテ・・」
「ん。実はシャルドネはMade in Jerusalemじゃない。今世紀に入ってDNAを調べたらアルメニアから東トルコに有った耐寒冷種が原種なようだ。きっと十字軍が拠点だったイスタンブルでムスリム商人から買ってきたやつ・・だな。で、エルサレムから買ってきたと言い張った」
「はいはい。またひとつ悪口ね」
「アリゴテは古い。黒海の西側にいた人々がローヌ川辺りまで移住してきたときに持ち込んできたものらしい(The Encyclopedic Atlas of Wine)。ピノ原種とグーエ・ブランの交配で出来ている。おそらく始原は黒海西側バルカン山地だ。ローヌ流域にいたアロブロゲス族の始祖が持ち込んだのかもしれな。」
「アロブロゲス族ってバルカン半島からシラーの原種を持ち込んだ人たちでしょ?。ジゴンダスにいったとき、グルナッシュ・シラー・ムールヴェードルGSMの話をしたこと、憶えているわ」
「ん。そうだ。アロブロゲス族の葡萄ということでアロブロジカ種と言われてる。後年シラーとよばれるようになるんだが・・シラーという名前も、実はトルコの東海岸にあるシランŞiranという街の名前が由来だ」
「ふうん・・シャルル大帝が呑んでいた白ワインはアリゴテだったの・・」



無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました