夫婦で歩くプロヴァンス歴史散歩#25/ヴァケイラス#01
https://www.youtube.com/watch?v=w4BqxVbPFFE
ドメーヌ・ド・コユーDomaine de Coyeux(167 Chemin du Rocher, 84190 Beaumes-de-Venise)は近代的な・・まるで西海岸に有りそうなワイナリーだった。
VTCのドライバー、ムシュJが車を出ると受付に向かってくれた。おやおや、ガイドをしてくれるらしい。素敵な女性がナビケーターについてくれた。
前身の畑は500年ほど前にあったらしい。再開したのは戦後で、いまはユーグ ド フェラーディという一家の持ち物らしい。
「コユーの丘陵は標高300mです。大きさは112ヘクタールあります」とのこと。「わたくしたちが作るマスカットのワインはロバート・パーカーに絶賛されているます」ということだった。
「マスカット・」嫁さんが小さな声で聞き返した。
「ミュスカデだよ」
https://www.facebook.com/domainedecoyeux/
ティスティングは赤と白とミュスカデが出た。ナビケーターの女性はミュスカデをハイライトにして色々と説明してくれた。
ガイドは1時間余りだった。
何本かワインを購入してから玄関まで送ってくれた。
車が走り出すとムシュJが振り向きざまに言った。
「もう一度林道を走ります。山道を楽しんでください。村までは、やはり30分くらいかかります」
クルマはグラン・モライユ通りChem. du Grand Montmirailを走った。道は大きく蛇行しながら森の中を上った。
「いいね。こんな道は地元の人しかしらないね」僕が言うと、嫁さんは頷くだけで何も言わなかった。
確かに一車線しかなくて、すれ違う車もいない道だった。
「周り、森ばっかり・・」嫁さんが独り言のように言った。
「まあ、舗装されてるから由しとしよう」
「そうね。揺れないだけ良いわね」
「ん。僕が山中走破をお願いしたから、いつもはこんなコースは通らないのかもしれない」https://www.youtube.com/watch?v=D27OeObcAvg
「変な夫婦・・だと思ってるわよ、きっと」
「今回はモンミライユ・レース山塊の麓を実感したかったんだよ。それとミュスカデな。それが今朝の課題だ。どっちも満足だ」
「ミュスカデ?あの農場のミュスカデ?」
「ん。ダンテル・ド・モンミライユに葡萄が来たのは遅かった・・って話しただろ?オランジュ公からだ。1300年代だ。
ヴァッケラスVacqueyrasは、ラテン語の「ヴァレア・クアドレイアValléa Quadreria」だよ。「石の谷」だ。人々は石の家を作ってそこに住んでいた。産業は山羊とオリーブだ。年間100日程度はミストラルに晒される。耐寒種でないとひとたまりもなく葡萄の木は枯れちゃうよ。だから農作物は、細々だが麦だった。
ここにワインを持ち込んだのはオランジュ公だ。記録としては1414年に出された地籍図Comtat Venaissinに葡萄畑が記載されている。1448年に出された文書ではワインの生産に対する税金の話が出ている。それと葡萄が山羊に襲われないするための話が残っているよ。それでも1596年に出された古文書には葡萄畑は60haとある。細々としたものだ。ヴァッケラスの総面積は1441ha(現在は)だから3%に満たない」
「山羊が?襲ったの?」
「野鹿もね、よく葡萄の畑を襲った。今もね、野鹿は農家の悩みの種だ」
「わー、ホントに山の麓なのね。鹿さんは赤と白とどちらがお好みなのかしら?」
「馬は赤。鹿は白だ」
「え!ほんと??」
「うそ」
「ばか」
ムシュJが、耳を立てて僕らの話を聞いていた。そして笑いながら「仲いいですね」と言った。
無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました