見出し画像

ワインと地中海#18/ヒッタイトのワイン01

ホテルへ本を置いてからフェーリズターミナルのさきにあるハリーズ・バーHarry's Bar Cipriani(Calle Vallaresso, 1323, 30124 Venezia)へランチに出た。
https://www.cipriani.com/it/harrys-bar
スタートは先ず定番のベリーニのカクテルからにした。

「ヒッタイトHetthaeiという文明を紡ぎあげた人々は、黒海の向こうからやって来たらしい。現ウクライナあるいはもっと東のカザフスタン北東部からかもしれない。ラテン人はHetthaeiと呼んでいる。これは古代ギリシア語のΧετταίοιが転化したものだ。彼らはハティHittiteと自称していたようだ。そして自分たちの国をハトゥシャHattushaと呼んでいた。言葉は印欧語だった。市場最古の印欧語アッシリア系言語だ」
「黒海の北側というと・・あなたの『歴史の回廊』という言葉を思い出すわ」

「ん。沢山の民族たちがここを通って移動した。ハトゥシャHattushaはその中の一つだったのかもしれない」
「ということは・・遊牧民」
「ん。そして鉄器・金属加工に長けた人たちだった。アンカラに行ったとき寄ったアナトリア文明博物館Anadolu Medeniyetleri Müzesi(Kale, Gözcü Sk. No:2, 06240 Ulus/Altındağ/Ankara)で見たのがヒッタイト文明だった」
https://muze.gov.tr/
NYC・METの2階に、翼の付いた大きな門のような石像があるでしょ? アレにびっくりしたからヒッタイト文明のことは知ってたけど、あんなに大きいものだったとは知らなかったわ。学校で習ったかしら?」
「習った。でも、詳細なことは未だ不明な文明だから、先生もおざなりだったかもしれないな」
「NYCであなたと見た映画『エクソシスト』のほうが鮮明だわ。悪魔教バール神発祥の地という話。アレを観てからMETでホンモノをみたから強烈に憶えている」
「映画は凄いな。バール神は異教徒だが、べつに悪魔教ではない。でもあの映画はそれを示唆していたな」
「でも、アナトリア文明博物館でみた復元展示は、なんか小奇麗で悪魔教という印象はなかったわ」
「ああ、ギョベクリ・テペ遺跡の復元な・・とても今っぽい方法で展示されていた。
「ええ、椅子に座った女性の像を憶えているわ」
チャタル・ヒュユク遺跡で発見された地母神だ。さすがにアンカラはヒッタイトの本家本元だからコレクションは圧倒的だったな。NYCのMETも凄いが、遥かに超える博物館だ。ヒッタイトの首都があったハトゥシャは、あそこから東へ150kmくらい行ったボアズカレBoğazkaleにある。アナトリア高原のほぼ中央部だ」
「行かなかったわね」
「ん。かなりハードワークな観光地だ」
「行ったの?一人で?」
「ん。土地の友人に案内してもらった。Hotel Aşıkoğlu(Çorum, Boğazkale, Çarşı)という民宿みたいなホテルに3泊して見て歩いた。不便なところだよ。ヒッタイトについて知るならアナトリア文明博物館で十分だ。まあホンモノを傍で見たいというなら、ボアズカレBoğazkaleにあるヤズルカヤ遺跡、これがヒッタイト首都のハトゥシャの跡だから行くことになるが・・辿り着くのは相当大変だ。お勧めしない。大変な思いをして行ってみた。見た。ふうん・・さあ帰ろう・・だ。相当思い入れがない限り、マチュピチュと一緒だよ」
「なるほどねぇ、アンカラも結構大変だったしね。イスタンブル空港までかなり遠いし、アンカラのエセンボーア国際空港から市内までバスしかなくて大変だったし、アレで充分かな・・」
「御意」

無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました