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村の小さなミシュランひとつ星/サンテミリオン村歩き#16

雨のサンテミリオン歩きは趣がある。コルデリエのマルシェで買い物をした後、そのまま通りの前にあるホテルAuberge de la Commanderieに戻った。そして荷物を置いた後、レセプションで傘を借りてもう一度村へ出た。
「ランチは近くで取るの?」嫁さんが時計を見ながら言った。
「ん。少し先のレストランに予約してある。ミシュラン一つ星だそうだ」
「あら!そんな店があったの??」
「ん。つい最近できた」
「たのしみね」
クアデ通りと並走するポルトブルネ通りはゆっくりした登り道である。少し行くと左へ進むT字路がある。その角右側にLogis des Cordeliers(7 Rue de la Prte Brunet, 33330 Saint-Émilion)というホテルがある。ここも僕のお気に入りだ。
http://logis-des-cordeliers.com/
嫁さんは憶えてくれてた。
「オープンデーの時よね。二回目に参加したとき、ここに泊ったわね。この先のドミニカンホールでワインイベントが有った時」嫁さんが言った。

オープンデーはサンテミリオンで一番大きなイベントだ。100軒近いワイナリーが予約なしで見学できる。

僕らは、ドミニカンホールで開かれるワインディナーに参加した。開場が8時過ぎで、イベントの帰りはのんびりと散歩しながらホテルへ戻った記憶がある。

「あのときは寄らなかったが、このつい先にサンテミリオンで一番古い木造の家があるんだ。今日はそれを見に行きたい。今はホテルになってるよ。料理のクオリティが高いそうだ。ランチはここを予約したよ」
Maison de la Cadène(9 Rue de la Prte Brunet, 33330 Saint-Émilion)
https://www.logisdelacadene.fr/maison-de-la-cadene/
建物の前に立つと、たしかに木造のファザードが確認できた。16世紀のものらしいが、建物はもっと古いそうだ。
「La Maison de la Cadene Houseと呼ばれているんだ。Cadenaはガスコン語で"鎖"という意味だ。この先にあるポルト(門)ブルネPrte Brunetは城壁の名残だが、Cadenaは、村を庶民の下町と金持ちの山の手を仕分けていた。いまは残骸も何も残っていないけどね。名前だけは残った」
「村に貧富を別けた関所があったわけね・・嫌な感じ」
「まあそれだけ世情は不安だったということだろう」
「なるほどね」
Maison de la Cadèneは質素な石造りの建物だったが、内装は見事に仕上げられていた。ロビーを抜けるとレストランがあった。
「すてきね!ちゃんとしたホテルなのね。なぜ今まで泊まらなかったの?」
B&Bがいまいちお気に入りでない嫁さんはいっぺんに気に入ったようだ。
「オープンが2016年だ。機会が無かった」
「え~だったら、今回はホテル、こっちの方がよかったのに。移動できないの?」
「とりあえずランチをしてみよう。ランチが気に入れば予約状況を聞いてみるよ。予約が取れれば明日からこちらに移る」
「よきに計らえ♪」
https://www.facebook.com/logisdescordeliers
ランチは素晴らしかった。
ガルソンに部屋の空き情報を聞くとレセプションに確認してくれた。スイートが開いてるとのこと。ランチの帰りにレセプションで予約した。
「明日のディナーも予約したよ」
「ありがと」

無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました