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新酒への希求が新しい技術を生み出していた/beaujoLais nOuVEauに秘められたLOVE#14


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フランス農水省の出している資料を見ると、フランス国内でガメイが植えられている畑は35,000ヘクタール程度。そのうちボージョレー地方は25,000ヘクタール弱。残りはその周辺です。ほとんどボージョレー地域の占有物化している。

たとえばミッドピレーネのタナ種やマルベック種などは、南米でも盛んに栽培されていますが、新世界の人々はガメイにはあまり手を付けようとしないままで来ました。それでも最近は、その暗黙のルールが崩れ始めていて、北アメリカ製のガメイで作られた「ボージョレー・ヌーボー」や、チリ・アルゼンチンで作られている「ボージョレー・ヌーボー」なども登場しています。ガメイ=ヌーボーという図式が定着していますから、そんな名称にするんでしょうね。

ボージョレーは原産地呼称なんで、シャンパニューみたいに、厳格に訴訟すべきだと思うンですが・・ボージョレーの人々は、こうした紛い物を大らかに放置しています。年に一回の稼ぎ時、大わらわだから、そんなことにイチイチ目くじらを立てていられないのかもしれないですね。

あ。そういやカマンベールもそうでした。カマンベールはカマンベール村で作られたのだけがカマンベールなんてすが、日本でも北海道にカマンベール・チーズがありますね。ああいうのは、どうなってるんだろう。


そのボージョレーで植えられているガメイは主に2種類。ガメイ・ロンド種とガメイ・ジョフレ種です。 生産者はこれを混植します。そして同時に2種の葡萄を摘み取り、混ぜて醸造します。
前述したようにガメイは、たくさんの実を付ける品種です。なので剪定が極めて重要なファクターになります。ボージョレー地方では1ヘクタールあたり1万本という高密度で葡萄の木を植えますが、一本の木あたりの葡萄の数は極めて注意してコントロールされています。それが良質なワインを生み出す要素だからです。ひとつの葡萄の木に、あまりにも大量の葡萄の実を成らせてしまうと、旨みがスカスカになってしまうからです。


ワインは、日本酒と同じで時間が経つと酸化してしまう飲み物です。だからワインの寿命は、長くて一年ほどしか有りませんでした。価格も取りたてが一番高く、時間が経てば経つほど安くなりました。味もだんだん酷いものになって、最後は色々なモノを混ぜないと飲めない代物になっていたのです。

城塞都市リヨンで売られたボージョレー製のワインも、新しければ新しいほど高値で売られました。そのためボージョレーの農家は、さまざまな早く出荷する方法を模索していました。しかし早摘みすると、ワインの味は極端に酸味が増してしまいます。それに馬車で運ぶわけですから、時間を短縮するにも限界が有ります。


そのボージョレーの農夫たちに大きく影響を与えたのはパストゥールの発見です。 1872年、パストゥールは、摘み取った葡萄の果実を、密封されたタンクに閉じ込め、無酸素状態にすると、果実に付着している酵母が、アルコールを精製することを発見したのです。なぜ葡萄汁がワインになるのか?そのメカニズムが解明されたのです。



無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました