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M-GTA体験談 誤解もされるけど有用です!

M-GTA に関する苦労の体験談です。
私は何の因果か知識を切り売りすることを生業にして生きております。
すでに中年も過ぎそうな齢ですが、新しい勉強が必要です。
AIをツールと出来るように奮闘しなくては、食いっぱぐれてしまいそうです。
ここに書きますM-GTAも、今回初めて覚えた分析手法です。
以下、関心のある方以外 まったく意味はありません。あしからず。

ということでMーGTAについて語ります。
この分析方法は批判されることも多いですが
インタビューのような話し言葉のデータや、一見脈絡のないような語りの内容から、意味を見つけ、ストーリーを構成できるという代物です。
数量的分析よりも有効な意義を得られる可能性が大いにある手法です。

しかしながら、数量的実証、再現可能性、仮説⇒実証、こうした流れを研究の定型と考える方々には、どうにもM-GTAは納得してもらえないようです。
ゆえに、割り切って 
「この分析手法は数値的な実証は出来ません。しかし、M-GTAから得られる結果には、数値的客観性よりもむしろ恣意性をより排除し、結果が生じるプロセスを見える化できる可能性が十分にあります」とかなんとか言ってなんとか理解を得ましょう。

私はこの度 医療系の共同研究者の一人として論文の執筆に関わりました。仲間の若いメンバーがM-GTAを使用したいと言いだし、それを支えてきました。
医療分野の研究ですが、全体で50人のクライアント集団の中で
ある方法をとることによって30人ほどの数値が向上しました。
これに関して、なぜ数値が向上したか?
の経過を明らかにしたかったのです。
しかし、「どうして向上したのですか?」と30人にさらにインタビューして分析するのは時間的に苦しく、またインタビューをしたところでそれをどう分析していくかは難しい事でした。
加えて、質問事項を紙面でアンケート調査するとしたら、
誘導した答えを引き出してしまう問いになってしまう怖れが
多分にありました。
それらの二つの理由で、私達はM-GTAを使うことにしました。

具体的には数値が向上した30人のうち、より顕著に数値向上があった4名についてのみ徹底インタビューし、
それによって全体がなぜ数値向上させたかという理由を調べようとしました。
4名にインタビューするときに気をつけたことですが、
こちらが明らかにしたいことをアンケートのように尋ねてハイかイイエで聞いたりすることを絶対にしないようにしました。
むしろ4名にはできるだけ自由に色々と語って貰いました。
私達はそれを忠実に活字に起こしてデータ化し、M-GTAにかけました。
結果として有意味に数値を向上させるプロセスを描いたストーリーを得ることが出来ました。
(インタビューの文字起こしをしてデータ化する作業は、とてつもなく地味で時間がかかります。しかし、有意味な結論が出てくることを楽しみにして頑張るしかありません。)

さて この記事の結論ですが、
分析手法については、客観性についての疑義が必ず問われることをご承知ください。
M-GTAは自然科学的な実証や再現可能性を言うことは出来ないのですが、
多くの人は研究とは、自然科学のように数値的に実証でき、再現可能性があることだと考えているのです。

あくまでも、「4名はこういうプロセスで向上しました。」は言えますが、他の人員についても同様であるとは確証的に言うことは出来ません。
しかし、この分析法により恣意的な誘導をできるだけ排除したために
4名以外の傾向を想像することが容易になります。
「結局、また実証研究すべき仮説が生じただけではないか?」
…そう言われると その通りなのでなんとも返せなくなります。
確かに、30人の母集団のうちから4人を取り出して、インタービューして分析しても30人の集団全体について科学的に実証したことにはならないでしょう。

しかし、ピックアップした4人が、どのようにして数値を向上させたかというプロセスが明確になること自体が、重要なことなのです。
「あなたはなぜ~だと思ったのですか?ーーハイ・イイエ 」
というアンケート調査を全員にして数字をとり、それによって客観的に実証することには、誘導する恣意性が隠れている危険を知らなくてはなりません。
その点 M-GTAは 数値的な客観性ではないものの、
全体の傾向を知ることができます。

もちろんインタビューそのものが恣意的に行われてはいけません。
また、そこから得られたデータをKJ法のように同類にまとめてそれにタイトル付け(概念付け)をする際には、できれば数人で行い、妥当性を高める必要があるでしょう。時間は随分かかると思います。
楽とは言えませんが、インタビューを分析しなくてはならない研究内容などにはとても有用な分析手法です。
十分な時間を計算し、できれば支援者を複数得て実施することをお薦めします。


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