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ネグロス島へ 慰霊の旅...⑦


4月13日 パタッグ村 

朝、サンディエゴ・プロ教会へ行く。花が飾られ、正装した男女がチラホラいる。今日、結婚式が行われるらしい。南国フィリピンらしく、ドレス姿の女性のメイクアップをガジュマルのような大きな木の下で、スタッフがしている。大らか。メイクをしているスタッフはどう見てもオネエ?レディーボーイ?何ていうかわからないけど、そんな人だった。フィリピンにもいるのね。

教会の中に入ってお祈りした。「今日は、日本神社へ行く、大切な日です。どうか、私たちをお守りください、、、」

息子が「ロザリオが欲しい。」と言うので、外に出てみる。事務所らしきところがあった。デスクの女性が車いすの大柄な男性と話し込んでいる。女性に訊くと、「今日は係りの人が居ないので、明日の日曜日に来てくれれば、ロザリオが買えるわよ。」という返事。
「今日、これからパタッグ村へ行って泊まるので、明日は来られない、、、残念だけど、仕方ない、、、。」帰ろうとすると、話し込んでいた車いすの男性がこちらを振り返り、「ちょっと待って、僕のロザリオをあげるよ。いつも持っているんだ。」言うなり、車いすを自分で動かし、バッグを取って持ってきてくれた。

取り出したロザリオはプラスチックで出来た紫色のロザリオだった。フィリピンで車いす生活を営むその男性は決して裕福ではなかったろうと思う。教会の事務所に集まる人たちはハンディキャップを持っている人が他にもいた。
日常生活の相談に来ていたのかも知れなかった。

少し薄汚れたそのロザリオを有難くいただく。男性の澄んだ目を見ていると心が洗われるようだった。
きっとこのロザリオを握りしめて何度も教会へ行き、何度もお祈りした事だろう。

日本が犯した罪を償うためにやってきたこの地で現地の人からの慈悲をいただくだなんて、、、。なんとも言えない感情が胸にこみあげてくる。

白亜の教会
ロザリオをいただいた事務所の近く

感動で体がジーンとなりながら、街歩きを再開する。キャンプ場にはレストランはないので、食料を買っておくように言われていたからだ。

カップラーメンやパン、お菓子、飲み物など、3食分くらい食糧を買う。
良かった、今日車で。
教会のすぐ近くにスイーツ屋さんがあり、プリンが美味しそうなので買う。
可愛らしい棒のついたクッキーも売っていて「これ、さっきの車いすの男性にあげようよ。」と私が思いつき、買って、息子が男性に渡しに行った。

ケーキは残念ながら、ホールのみの販売だった。

一通りの買い物を済ませ、帰ろうかというときに、白菊の花のアレンジメントが目に飛び込んできた。街角にあった花屋さんだった。 
竹のカゴに入った立派なアレンジメントだ。神社にお花を供えたいと思っていたけど、こんな立派な物に巡り合えるとは。
まるで、大叔父さんが「この花を供えて欲しい」と私たちに言っているかのようだった。
いつもは値段を聞いてから買うが、この時ばかりはすぐに「これください。」と言って買った。「修道院に行くの?」と花屋の主人に聞かれた。
違うけど、、、今日なにかある日だったのかな?あんな立派なアレンジメントはそれ以降の旅ではお目にかからなかった。200Pだった。

ひとしきり買い物を終えて、宿に戻った。

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