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企画参加【毎週ショートショートnote】

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お題ありのショートショート。 たらはかに(田原にか)さん企画 参加作品。
運営しているクリエイター

#短編小説

生き写しバトル (毎週ショートショートnote)

  玄関を開けると黒ずくめの男が二人立っていた。 「ドッペルゲンガー協会から来ました」 そう名乗り、菓子折りを私に差し出す。 「この度はお父上が大変な目に……」 「なぜそのことを?」 父は先日、突然の発作で命を落としていた。 「じつはうちの血の気の多い若いもんが、生き写しバトルをやりましてね」 「生き写し…何です?」 「どちらがドッペルゲンガーとして優秀か、お父上で競ったのです。死の前兆であるドッペルゲンガーを二人同時に見てしまい、うっかりお父上は即死を」

カミングアウトコンビニ (毎週ショートショートnote)

 ある朝、少女が散歩していると、波打ち際にコンビニが流れ着いていた。  外壁も内装も汚れと傷みがひどく、息も絶え絶えだった。  だが、不思議とそこはかとない品の良さが漂っていた。  少女の甲斐甲斐しい世話により、見る間にコンビニは回復し、村にある唯一のコンビニとして平和に暮らすようになった。  ある夜、少女を呼び出すと、コンビニは神妙な顔でこう告げた。 「じつは、私は海の向こうにある国の王子なのです。  悪い魔女を怒らせて、コンビニにされてしまいました。  元に戻るに

消しゴム顔 (毎週ショートショートnote)

「今、お時間ありますか?」 声を掛けられて振り返ると、派手な服を着た若い男だった。 もう陽が暮れるというのにサングラスをかけている。 嫌な予感がした。 「ちょっと、あの・・・・・・珈琲でも飲みません?」 案の定だ。 「ごめんなさい、急いでるんで」 無視して歩き去ろうとすると、男が叫んだ。 「待って下さい、そっくりなんです!」 その声はあまりに悲痛で、思わず私は足を止めてしまった。 「すみません、つい・・・・・・」 男は髪を掻きむしり、サングラスを外して頭を下げた。 「あなたが

みんなで動かない(毎週ショートショートnote)

高田さんちのカメのムウさんは、じつは地球を守っている。   それを知っているのはムウさんと、侵略に来た異星人たちだけだ。 同居猫のココアも、生垣に鼻先を突っ込んでくる隣家のマックスも、もちろん高田さんの奥さんも知らない。   今日も洗濯物がたなびくウッドデッキで甲羅干しをしながら、ムウさんは侵略者を監視している。 異星人たちは高田さんちの庭木のふりをしているのだ。 ムウさんは年寄りなので耳が遠いが、彼らの声はなぜか頭の中で聞こえる。 それによると、彼らは遠い遠い星から地球侵略