消しゴム顔 (毎週ショートショートnote)
「今、お時間ありますか?」
声を掛けられて振り返ると、派手な服を着た若い男だった。
もう陽が暮れるというのにサングラスをかけている。
嫌な予感がした。
「ちょっと、あの・・・・・・珈琲でも飲みません?」
案の定だ。
「ごめんなさい、急いでるんで」
無視して歩き去ろうとすると、男が叫んだ。
「待って下さい、そっくりなんです!」
その声はあまりに悲痛で、思わず私は足を止めてしまった。
「すみません、つい・・・・・・」
男は髪を掻きむしり、サングラスを外して頭を下げた。
「あなたが