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情報と現実の違い

この写真は、赤道直下のガラパゴス諸島で撮った写真です。

そう聞いてあなたは、驚きませんでしたか?
「ペンギンがそんな暖かいところに生息しているなんて!」
と。

おそらく多くの人が、南極の銀世界で身を寄せ合って暮らしているのをテレビなどで見たことがあるでしょう。

では、アザラシはどうでしょう。

ベビーシッターと子どもアザラシ

みなさんは、海岸に所狭しと大量のアザラシが横たわっているのを想像しませんか?

実際は、雄のアザラシが数頭の子どもアザラシと暮らしている、もしくは二頭でお昼寝、

お昼寝中のアザラシ

母子一組が寛いでいるというのが、ガラパゴスではよくある風景です。

母乳を必死に飲む子どもアザラシ

浜辺がアザラシの大群で埋め尽くされている風景というのは、世界のどこかに、たしかにあるのでしょうが、それが世界の全てではないのです。

人が何か特別な風景に出会ったとき、それを共有したいという衝動はごく自然に起こるし、衝撃的だとなおさらです。それを見る視聴者もまたよりインパクトのある情報に興味がそそられるものです。

極寒に棲むペンギン、アザラシの大群は、大いに人の目をひきます。それらの風景が視聴者を虜にすると分かると、本や雑誌、映画、テレビなどで繰り返し使われるようになります。それを見た視聴者は、それがごく一部の情報でしかないなどとは考えもせず、普遍的なものだといつしか信じてしまうのです。

衝撃的な写真や映像を流している人間は印象操作しようという意図はないのでしょうが、わたしたちは気付かぬ間に、事実の一部を全てだと信じ込んでしまうのです。

今や情報は世界のどこからでも簡単にすぐに手に入れることができ、部屋の中にいても世界を旅した気分に浸ることができるかもしれません。けれども、小さな画面の外にあなたが想像もできない、あるいは考えにも浮かばない世界がまだまだはるかに広がっていることを忘れないでほしい、と願う今日このごろです。

山上美香

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