スピードラーニングが教えてくれること
ゴルフの石川遼選手がオススメする英語教材がある。そういえば自分が子どもの頃から、新聞にサンタクロースか、音楽室に飾ってある誰かしかの音楽家を思わせるヒゲ面で彫りの深い男性が「聞くだけで英語が話せる!」みたいな記事を何度も目にした記憶がある。
それがかのスピードラーニングであったかは定かではないが、当時は、
んなわけねーだろ。
と、信じて疑わなかった。
しかし今なら何となく理解できる。
頭で理解するだけでは実践には活かされないと。
特に実際のコミュニケーションでは、聞き取れないと始まらない。相手が何を伝えようとしているかすら分からないからだ。
また言語として知っていても相手に伝わらなければコミュニケーションは成り立たない。
今から9年ほど前、新婚旅行でオーストラリアに行った。
少し喉が乾いたため、カフェに入った。
私は、コーヒーを飲もうと、
「カッッフィ、プリーーーズ」
と中学英語までしか知らない私は中学校でバリバリ日本人教師から教わった、カタカナ英語らしきメッセージをパツキンのおねーちゃんに伝えた。
パツキンのおねーちゃんを、キャメロン(仮)としよう。
キャメロンは真顔で、
「OK」と言い、クルっと後ろを振り返り、作業場的な所でコーヒーを作る準備を始めた。
キャメロンは、
おもむろにジョッキを手にした。
おーーーー、オーーーーストラリアんサイズ。
と、嫁と喜んでいた。
その時、キャメロンはジョッキになんと
サーティワン的な球状の冷たそうな何かを詰めだした。
オーストラリアのコーヒーってすげーなー、と嫁とはしゃいでいたら、
その上に、ホットドックのケチャップとかマスタードとかの入っている先端の尖ってて、握るとピューーーーって中身が出るやつで、
キャメロンはその複数の球状の物体に黒い何かをふんだんにかけたくっていた。
あれが、コーヒーなのか?と見ていたが、どうもあの黒い液体は粘性があるようだ。ジョッキの下に溜まるどころか、アイスの上にお好み焼きのマヨネーズ上に乗っかっている。
あれはコーヒーではない、何か。らしい。
さらにキャメロンは驚きの行動に出た。
ギンギンに反り立った何かをその上にぶっ刺したのだ。
そしてそのまま私のいるレジのあるカウンターに持って来ようとしている。
完成した。
カッッフィ(珈琲)の姿を、一度も拝むことなく。
キャメロンは、
そのサーティワン的なものと黒い液体と反り立った何かがぶっ刺さっているジョッキを置き、
値段を言い放った。
明らかにマック風に表示されている、コーヒーの金額の倍以上。
日本人をターゲットにした、ボッタクリカフェ?
とか思いながらも、言い返す英語なんて分かるはずもないし、キャメロンはガンガン真顔でその金額を言い放ったので支払った。
薄々気づいてはいた。
黒い物体をかけた辺りから。
んで、反り立った南国の何かが刺された時点でほぼ確信してた。
私の「カッッフィ」なる呪文は、
間違いなくパフェを召喚してしまったんだろうと。
美味しくいただきましたけど。
頭で理解してるだけじゃ、
海外で毎回パフェが召喚されますよ、って話。
終わり。