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[連載:VUCA時代の教育デザイン②]VUCAと教育について

一つ目の記事を書いてあっという間に1週間がたってしまいました。日本リベラルアーツ協会の7アンバサダーの1人として「VUCA時代の教育デザイン」というテーマで、連載記事を今週から本格的に書いていこうと思っています。 

現代はVUCAの時代と言われていますが、Vは「Volatility:変動性」、Uは「Uncertainty:不確実性」、Cは「Complexity:複雑性」、Aは「Ambiguity:曖昧性」の4つの時代の特性を表した言葉の頭文字をつなぎ合わせて、「先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態」を表しています。VUCAは2016年の世界経済フォーラム(ダボス会議)で使われてから注目のキーワードになりました。そして、新型コロナウィルスのパンデミック化、米国の議事堂襲撃事件、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻など世界を揺るがす大事件が次々に起きて、そしてVUCAが時代を象徴する言葉になっているようです。

最近、ウクライナ情勢がどんどん緊迫して欧米のメディアを中心にロシア批判の報道が続く中、目に付くようになったのが、「逆張り思考」の人たちの記事へのコメントや、ツィターやFBなどのSNSでの発信です。そういう人たちの主張ときたら、「ディープステイト、ネオコン、ユダヤ人系の3つが連動して、ウクライナで反プーチン運動を裏で操っていて、ゼレンスキー大統領も実はか悪なんだけど、日本のメディアはなぜかそれを報じないんだよね。日本人ってメディアの情報だけを信じていてバカだよね。」、ということだったりします。ロシア、ウクライナ、コロナという言葉を使ったからこのような注意書きもつけれてしまいました。


それが正しいかどうかは横に置いといて、この情報化社会でうまく生きていく上で、与えられる情報を鵜呑みにせず、物事の背景を疑問を持って調べ、多様な価値観を受け入れながら、変化に対応していくことがますます重要になっていて、そのための教育もますます大学に求められるのではないかと思っています。 

ところで、最近、教育について考えたときに、元々は「教えて人を育てる」というようなポジティブな言葉なはずなのに、同化教育、植民地教育、思想教育など人を支配したり洗脳したりすることの目的に政治利用されてきたことを、今の時代に強く意識して危機感さえ感じています。そして、ロシアでは今、全国の学校で、生徒を対象にウクライナ侵攻を正当化する「愛国教育」が行われているというのも最近伝えられていることですね。そのようなことを考えたときに自分が携わっている「教育」の危うさと重み、そして教育に携わる者の責任を、学期始まりの今強く意識しています。

じゃあ、教育が悪なのかと言うと、もちろんそういうことではなく、こんな変化の多い時代にあった教育の方法と技術が世界で次々に生まれていて、注目もされています。このnoteではそれらを紹介して自分なりの考えをまとめていくつもりですが、次回は「リベラルアーツ教育」を題材に、教育が人を自由にできるのかという問いことについて自分なりの答えを書いていきたいと思っています。

さて、明日からまた新学期の講義が始まります。春休みを終えた学生たちと新入生でキャンパスがあふれています。コロナ以前はこれが当たり前でしたから、やっと日常が戻って来たことを実感できています。





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