【フォー・シンセリティ】 1(「ニンジャの樹液サイ集」より)
サンシタ再び
前回に引き続き、今回もフロスティ=サンに登場願おうと思う。今回のシナリオはトラッシュ=サンの作成されたソロシナリオ、「ニンジャの樹液サイ集」だ。
頭部をサイヘッドに置換した恐るべきニンジャ、セイントサイ=サンから依頼を受け、彼のカブトムシのためにオーガニック・オニクルミの樹液を求めてカチグミ向け自然公園に潜入するという夏向きの自然派ミッションだ。フロスティ=サンは前回【万札】4を獲得したのだが、フレーバー的に全部没収されたので文無しだ。風呂とトイレのある生活を目指すために是非がんばってほしいところである。
◆フロスティ(種別:ニンジャ) PL:三笠屋
カラテ 3 体力 3
ニューロン 1 精神力 1
ワザマエ 2 脚力 2
ジツ 3 万札 0
DKK 0 名声 0
◇装備や特記事項
○スシ、サケ、オイラン
コリ・ジツLV3
◆ウィルス入りフロッピー:ハッキング難易度-1、使用後D6で3以下が出ると喪失
能力値合計:9 総サイバネ数:0
なお今回からフロスティ=サンには自作の生い立ちとマイナースキルである「○スシ、サケ、オイラン」が適用される。
○スシ、サケ、オイラン
目先の快楽を何よりも優先し、計画的な資産運用や貯金といったものにまるで縁が無い。このPCはシナリオ開始時に所持している全ての【万札】を失う。失った【万札】が1以上ある場合、このシナリオ中に限り【体力】と【精神力】がそれぞれ+1される。
宵越しのカネは持たぬ江戸っ子気質と言えば聞こえは良いが、要するに目先の欲望に負けて持っているだけのカネを使いきってしまう、というマイナースキルだ。一応【体力】と【精神力】がプラスされるという利点もあるが、全体的に見ればデメリットの方が大きいだろう。フロスティ=サンは余暇も得ずカネも無いので今回何の意味もないが、まぁフレーバー的に付けておきたいのでこういうことになった。
【フォー・シンセリティ】 1
「オーガニック・クルミの樹液、と」 「ウム」
曇天の猥雑都市ネオサイタマ。時刻は午後二時。嵐のごとき昼飯時の混雑も去り、どこかノンビリとしたアトモスフィアの漂うスシ・ショップの店内。テーブル席に向かい合って座る二人の男の風体は、異様の一言であった。
一人は空調の効いた快適な室内であるというのに防寒着姿で、ファー付きのフードを目深に被っている。とはいえこの程度は文化の坩堝たるネオサイタマに置いてさほど注目すべきファッションでもない。誰かが目にしたとしても、一年中を通して防寒着を身に付けることで何らかのアティチュードを発露している、程度の認識となろう。
真に異様なのはもう一人の男だ。大柄な全身をみっしりとした筋肉で覆い、特に丸太めいたサイ(脚部)は尋常ならざる筋肉量。そしてがっしりとした力強い肩と巨木の切り株を思わせる首の上に、どうしたわけかサイそのものの頭が乗っている。
「樹液は滋養強壮に優れ、樹液獲得権でもある入園パスはカチグミどもの予約で向こう数十年は一杯。はなむけとしては十分だ。」
サイそのものの口から人間の言葉が出てくる。呼吸のたびにヒクヒクと震える鼻の上には見事なツノが生え、ぴょこんと突き出た耳はパタパタと動き、黒い瞳を忙しげに瞬かせている。これは被りものなどではない。本物だ。禁断のバイオサイバネ手術により、頭部をサイそのものに置換しているのである。
そして二人の男には共通点があった。まず腰にはブラックベルトが巻かれている。そして防寒着の男はメンポに、サイ頭の怪人は装束にそれぞれクロスカタナのエンブレム。
ブラックベルト、装束、メンポ。賢明なる読者の皆さんならばすでにおわかりであろう。察しの通り、この二人はニンジャ…それもネオサイタマの裏社会を支配する闇のニンジャ組織ソウカイヤに所属するソウカイニンジャなのである!
「管理団体はソウカイヤとは非協力関係で、その厳重な警備を売りにしている」
サイ頭のニンジャはユノミを両手で握り、視線を落としてスシゲタの上に乗ったスシを見るともなく見ながら続けた。運ばれてからしばらく経つが、彼は未だスシに手をつけていない。
「つまり俺たちが侵入することで連中の信用を地に落とし、シンジケートのさらなる利権拡大すら望めるわけだ」 「フム…組織への貢献にもなる、というワケだな。セイントサイ=サン」
防寒着のニンジャは腕を組み、静かに答えた。彼の前のスシゲタはすでに空で、ガリすら綺麗に無くなっている。
「その通りだ。だが、万が一しくじり捕まろうものならケジメでは済まない罰をうけるだろう」
セイントサイと呼ばれたニンジャは顔を上げ、サイそのものの黒い瞳を防寒着のニンジャに向けて言った。その裏表無き言葉には誠意と覚悟が満ち、鼻先のツノは同僚を危険な行為に誘う罪悪感に震えていた。
「二つに一つだ。受けてくれるか、フロスティ=サン」
フロスティと呼ばれた防寒着のニンジャはセイントサイの視線を受け、腕を組んだまま目を閉じた。
◇◆◇◆◇
(ンンン~~~ッ!これは困った!非常に面倒なことに巻き込まれてしまったぞォ~~~ッ!)
腕を組み、静かに熟考している様子を必死で演技するフロスティの脳内は、いかにしてこの面倒事をうまくやりすごすかということで一杯だった。下手な受け答えをしてこのサイ頭ニンジャを怒らせてしまえば、目の前で震えるツノが自分の顔面に叩き込まれるかもしれぬと考えると、先ほど平らげたスシの余韻もどこかに失せてしまった。
額から流れ落ちようとする冷や汗を出たそばから凍らせて平静な表情を装い、テーブル下の己の両足と椅子の足を凍りつかせ、がっちりと床に固定して体の震えを止める。コリ・ニンジャクランの高位ソウルを宿す彼は常に制御しきれぬジツが漏れ出しているような状況で、過剰排出される冷気をこうした小細工に使うのはお手の物である。
カラテもハッキングも何一つパッとしないサンシタで、つまらぬ使い走りをするしか能の無い末端であるフロスティは、いつものように担当ヤクザクランのミカジメ・フィーを納めにトコロザワ・ピラーにやってきたのだが、その帰りに廊下でサイ頭の異様なニンジャに声をかけられた。ニンジャはセイントサイと名乗り、ちょっとした小金稼ぎがあるのだが乗らないか、という誘いを彼に持ちかけた。
ロクな稼ぎもなく常に困窮しているフロスティは目先のカネに釣られて即座に承諾しかけたが、ギリギリで留まった。よく考えてみればニンジャが持ちかけてくるという時点で「ニンジャ一人では難しい仕事」であることは明らかだ。
屈強な肉体と恐るべきサイヘッドから強力なカラテを漂わせるセイントサイの力量が、カラテに乏しいフロスティより上であることは一目でわかる。そのセイントサイが自分一人では厳しいと言う仕事が、危険と困難を伴わぬとはとても考えられぬ。
(ヤクザ相手のアルバイトならまだしも、ニンジャ一人で難しい仕事なぞ私の手に負えるワケが無かろうがァ~~~ッ)
自らのサンシタ加減を自覚しているフロスティは面倒を避けるため極めて穏便かつ礼を尽くして断ろうとしたのだが、「そこでスシでも食べながら話だけでも聞いてほしい」と言われ、タダメシの誘惑に負けてトコロザワ・ピラー内のソウカイニンジャ御用達スシ・ショップに入った。彼は目先の欲望に対してほとんど無力である。
「まずはじめに、俺は今オーガニック・カブトムシを飼っている。慎ましく、しかし勇ましいできるやつだ。だが奴とて所詮は非ニンジャのカブトムシ……いずれ死ぬだろう。俺とて覚悟はできている」
テーブル席に座り注文を終えると、セイントサイはサイそのものの瞳に真剣な光を湛えて語り出した。(ムムゥ~~~ッ!こいつはたまらぬのォ~~~ッ!)フロスティは話を聴くフリをしながらチャを啜り、普段飲んでいる合成粉末チャとは別物のオーガニック・チャの味と香りを堪能した。
「奴がくたばってしまう前になにかしてやれないかと思っていた俺は、耳よりな情報を手に入れた。カブト・ストリート近隣のカチグミ向け自然公園に電子戦争以前から聳え立つオーガニック・オニクルミとその樹液だ」」
呟くがごとく語るセイントサイの言葉は重く、真剣味と覚悟が溢れている。(オオォ~~~ッ!何たる美味さ!普段の形成スシがまるでプラスチックに思えるわァ~~~ッ!) フロスティはそれを聞き流しながら合間合間に適当な相槌を打ち、運ばれてきた素晴らしいオーガニック・スシを夢中で味わった。
(フゥ~~~ッ!堪能した!やはりオーガニックは違うのォ~~~ッ!)スシを全て平らげ、最後にガリをチャで流し込み、すっかり満ち足りた気分になったフロスティは、ヨウジ入れに手を伸ばそうと…(あ、まずい)…したところでセイントサイの真剣な瞳と震えるツノに気づき、ようやく我に帰った。
「オーガニック・オニクルミの樹液、と」
(まずいまずいまずいィ~~~ッ!) 先ほど聞こえた単語を咄嗟に呟き、伸ばしかけた手をごく自然な様子でアゴに向かわせ、やや俯き加減になって考え込むポーズを取る。(どうだァ…?) 「ウム」 短く応えたセイントサイの言葉に怒りは感じられない。
(フゥ~~~ッ…) フロスティはメンポの内側で静かに安堵の息をつく。どうやらロクに話も聞かずにスシを食っていたことは気づかれていないようだ。彼のこういった所作は日々のヤクザとの欺瞞交渉により洗練されきっており、相手がニンジャでも「真剣に自分の話を聞いている」と思わせることが可能である。
「樹液は滋養強壮に優れ、樹液獲得権でもある入園パスはカチグミどもの予約で向こう数十年は一杯。はなむけとしては十分だ。」
セイントサイはユノミを両手で握り、視線を落としてスシゲタの上に乗ったスシを見るともなく見ながら続けた。運ばれてからしばらく立つが、彼は未だスシに手をつけていない。
フロスティは自分のスシゲタを見る。当然、空だ。コメ粒一つ、ガリの一片すら残ってはいない。全て彼の胃の中に収まっている。奢った相手が何一つ食べぬ内に、奢られた自分は全てのスシを食べてしまったのだ。
(まずい、まずいぞォ~~~ッ…これでは非常に断りづらいではないかァ~~~ッ…)
震えを必死で抑えながら腕組みをし、足と椅子を凍りつかせて体を固定させて極力平静を保とうと努力しながら、フロスティは後先を一切考えずに全てのスシを食べてしまったことを激しく後悔した。
「管理団体はソウカイヤとは非協力関係で、その厳重な警備を売りにしている」
俯きながら静かに語り続けるセイントサイ。サイそのものの表情からは窺えぬが、声は真剣そのものだ。彼がこの依頼にかける覚悟や意気込みは実際本物であろう。だからこそフロスティは恐れる。「スシだけ食って断って帰ろうとしたら怒り出すのではないか」と。
「つまり俺たちが侵入することで連中の信用を地に落とし、シンジケートのさらなる利権拡大すら望めるわけだ」 「フム…組織への貢献にもなる、というワケだな。セイントサイ=サン」
(い、要らぬ正当性など加えおってからにィ~~~ッ!これでは余計に断りづらくなってしまったではないかァ~~~ッ!)
個人的なアルバイトに付き合わせるのは心苦しい、せめてソウカイニンジャとして組織に貢献できることも伝えておこうとするセイントサイの奥ゆかしい気遣いはしかし、フロスティにとっては己の首を絞める力をさらに強めるだけのものであった。
「その通りだ。だが、万が一しくじり捕まろうものならケジメでは済まない罰をうけるだろう」
セイントサイは顔を上げ、サイそのものの黒い瞳をフロスティに向けて言った。その裏表無き言葉には誠意と覚悟が満ち、鼻先のツノは同僚を危険な行為に誘う罪悪感に震えていた。
(そんなものしくじるに決まっておるだろうがァ~~~ッ!私を巻き込まずに貴様一人で突っ込んで勝手にケジメでもセプクでもせんかこのイカレサイ頭めがァ~~~ッ!)
フロスティは心中で激しく罵りながら、目の前のツノ以上に激しく震える体を必死で抑える。
「二つに一つだ。受けてくれるか、フロスティ=サン」
フロスティはセイントサイの視線を受け、腕を組んだまま目を閉じた。どうにかしてうまくこの場をごまかして切り抜け、目の前のサイを怒らせぬまま帰る方法は無いものかと考えながら。
◇◆◇◆◇
(これだからニンジャ相手はイヤなのだァ~~~ッ!ヤクザと違って気を遣わねばならぬからなァ~~~ッ!)
これがソウカイヤ傘下のヤクザの依頼であれば、フロスティは何のためらいもなくスシを平らげ、ついでに相手のスシも奪い、さらにサケを追加注文した上で平然と依頼を断っただろう。
ヤクザがニンジャに逆らうことは絶対に不可能であり、ニンジャはヤクザに対して(ヤクザクランが機能する程度に加減するなら)どれだけ高圧的で理不尽に振舞っても構わないからだ。
しかし、今回の依頼は同じソウカイニンジャからだ。セイントサイは立場としてはフロスティと同じ末端ニンジャ。同格である彼が誠意と礼を尽くして頼んだからには、フロスティも相応の誠意を見せる必要があった。
「話を聞き、出されたスシに手を付けずに(もしくは断った上で相手から勧められてから初めてハシをつけて)辞退する」というのが今回彼が取るべき最善の手段であり、シツレイと受け取られることの無い誠意の見せ方であっただろう。
だがそれはもはや使えぬ。目先の欲望に負け、全てのスシを食べてしまったからだ。焼いたスシに水をかけても戻らないのと同様、食べたスシを吐き出したところで誠意は見せられぬ。
(誠意云々を抜きにしてもだ…頭をサイに置き換えるような狂人など、怒って何をしでかすかわかったものではないからなァ~~~ッ…)
フロスティはニンジャであるが、他のニンジャを心から恐れていた。自分以外のニンジャは全員性根の腐りきった外道や度し難いサイコパス、あるいは理屈が通じない狂人であり、一度怒らせればソウカイヤのルールすら無視して暴れ出すような怪物に違いないと決めつけているのだ。これに関しては彼の考えが完全に間違っているとは言い切れぬところではある。
特に頭部をバイオサイバネ手術でサイの頭に置換するようなニンジャなど完全にイカれているに決まっている…フロスティはそう考えていた。だが実際のところセイントサイは見た目に反して篤実なニンジャであり、スシを食べようと断ろうと全く気にはしない。「まあいいさ、他をあたるとしよう。話を聞いてくれただけでも嬉しいよ」と軽く笑って去るだけだ。
だがフロスティは夢にもそうは思わぬ。自分が逆の立場ならば絶対に怒り出すし、シツレイに対して相応の誠意を払うまで徹底的にゴネ続けるからだ。
「ンンーッ…」
薄目を開けてセイントサイの様子を窺う。サイ頭のニンジャは身じろぎもせず、誠意に溢れた黒い瞳をじっとフロスティに向けている。(胸が悪いわァ) 彼は自分の利益にならぬ誠意が大嫌いである。次いで鼻先のツノを見、断った瞬間にそれが自分の顔面に叩き込まれる光景を想像した。死んだら終わりだ。フロスティは決断した。
「私も末端の身。カラテ足らぬ未熟者ゆえ、どこまでお役に立てるかはわからぬが」ゆっくりと目を開け、組んでいた腕を解いてテーブルの上に乗せる。「あなたの誠意に応えよう、セイントサイ=サン。我が力、存分に使ってほしい」
「おお、やってくれるか!」 息を詰めてフロスティの返事を待っていたセイントサイは、承諾の言葉を受けてサイそのものの顔に喜びを湛えた(ようだった)。「ウオーッ!」興奮によってニンジャアドレナリンが湧き出し、激しくツノを上下させ始める! (ヒィ~~~ッ!や、やめんかこのサイめがァ~~~ッ!) 眼前で振り回される凶器にフロスティは生きた心地がしない!
「ではウシミツ・アワーに集合だ。ウオーッ!」 セイントサイはスシゲタを掴み、並べられたスシを一気に口の中に流し込むと、猛然と立ち上がって店の外へ走っていった。周りの客や店主は特に気にしない。彼らもニンジャであり、ニンジャというのは多かれ少なかれどこかおかしいものだと皆知っているからだ。
「ハァーッ…」 テーブル上には二人分のスシ代がきちんと置かれている。「ドーゾ」 虹色のフードを被った店主がオカワリのチャを持ってくる。「ドーモ」 フロスティは動揺を悟られぬようにこやかに笑み、頭を下げて恭しくサービスを受けた。
このスシ・ショップはソウカイニンジャの最精鋭であるシックスゲイツの六人すら贔屓にしている店。店主や店にシツレイを働けば巡り巡ってどんな災難が降りかかってくるか知れたものではない。客の立場とは言え一切気は抜けぬ。スシはうまいが、フロスティにとってはやはりヤクザ事務所でふんぞり返っている方が居心地は良い。
(ヤクザ相手に奥ゆかしくピンハネをしているだけの私が、どうしてこんな厄介事に巻き込まれなきゃならんのだァ~~~ッ!?)
チャを啜りながら、改めて身に降りかかった災難を嘆く。フロスティはヤクザを相手に威張り散らしていればそれで満足であった。どうあがいても自分には勝てぬ格下を相手にしている時は、この世の王の気分を味わえる。だが他のニンジャと出会えば、自分がニンジャの中で最底辺のサンシタであることをイヤでも味わわされてしまう。彼はそれがたまらなくイヤだった。
フロスティは出世を望まず、活躍の場を避け、かといって孤立もせず、認められることも侮られることも無く、目立たぬよう目立たぬようソウカイニンジャとして生きることを目標にしていた。上役のニンジャからどれだけ理不尽な暴力を振るわれようと、ヤクザ相手に威張り散らして多少の小銭を巻き上げることができるなら、彼は一切の不満を持つことは無い。目先のカネとインスタントな快楽は、大抵の不満と不快を消し飛ばす力を持つ。
だが、組織に属して生きている限り、時にはこういう避け難い面倒に否応無く巻き込まれることもある。すでに依頼は受けてしまった。今更断ったなら良くて組織内でムラハチ、悪ければ怒り狂ったサイに八つ裂きにされてしまう。せめて何事も無く終わることを祈るのみ。
「ゴチソウサマ」 チャを啜り終え、フキンでテーブル上を拭き、椅子の位置を正したフロスティは、にこやかな笑みを浮かべて会計に向かった。「アリガトゴザイマシタ!」イナセな店主の声に軽くオジギして店を出、廊下を曲がって周囲に誰もいないことを確認すると、彼はメンポを外して深い深いため息をつき、疲労とストレスで濁りきった目を壁に向けてしばし立ち尽くした。
【フォー・シンセリティ】 1 終わり。2へ続く。
フロスティ=サンの前回の冒険はこちらから
セイントサイ=サンの活躍はこちらから
スシ・ショップの店主である虹色フードのイタマエ・ニンジャ、レインボーフード=サンの活躍はこちらから
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