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【評価C】TVアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』レビュー

はじめに

一発目の感想投稿は『機動戦士ガンダム 水星の魔女』です〜
つい最近(2023.1),Season 1 の最終話が放送されて,その内容が衝撃的すぎてTwitterでもトレンド入りしていたと記憶してます.
ちなみにSeason 2 が今年の4月から始まるそうです.

最初に断っておくと,本記事は批判的なレビューです.
あとネタバレは少しありますが【最終話の感想】以外はほとんどネタバレなしなので未視聴者でも読める内容になっています.

感想概要

おもしろさの評価はCですかね.

  • S: 評価Aの中でも特に好きな作品

  • A: 何度も観返したくなった,原作も読みたくなる/読んだ作品

  • B: けっこう面白かった作品

  • C: まぁまぁ面白かった作品

  • D: 最終話まで観るのがやっとな作品

  • E: 途中で観るのをやめてしまった作品

観る前はかなり期待していただけに,がっかりな内容だったというのが正直なところです.ただし,最終話は良かったのでSeason 2 に期待です.

観るきっかけと期待値

僕はガンダム作品にこれまで一度も触れたことがなかったのですが,今作品はそんな視聴者でもとっつきやすいように設計されているらしいとのことで,気になって観てみました.

今作は学園もので,ガンダムシリーズ史上初の女主人公ということは観る前から知っていました.キャラクターデザインもけっこう良かったですし,一般に評価も上々だったのでかなり楽しみでした.これが面白かったら他のガンダムシリーズも観てみようと思うくらいには.

あと主題歌にYOASOBIが起用されていたというのも知っていたのでいっそう楽しみでした.
(幾田りらさんの透き通った声,好きです!)

感想

結論,あんまり面白くなかったです…
正確には,僕には刺さらなかったです.

僕はアニメを観るとき「来週(次の話)が待ち遠しく感じるか」という感性を第一に考えています.早く次の話を観たいと思える作品=面白い作品と考えるのは自然ですよね(これだけを“面白い”の評価軸にしてしまうと必然,激情型の作品しか面白い作品に分類されなくなってしまうことには注意しているつもりではあります).
その点,『水星の魔女』は毎週楽しみだったかというと全然そんなことなかったです.観るのを忘れていて3週分イッキ見したこともありました.

あまり面白いと思えなかった理由を次の3点にまとめてみました: 

  • 百合が目立つばかりで内容が薄い

  • “決闘”というシステムがチープ

  • 主人公が強すぎる

百合が目立つばかりで内容が薄い

本作はガンダムシリーズ初の女主人公であるというだけでなく,そこに百合という属性が加わっています.その実,主人公のスレッタ(赤髪の女の子)とツンデレヒロインのミオリネ(白髪の女の子)は色々あって婚約することになります(早くも第1話の段階で).

てなわけで,本作品は百合好きには堪らない作品なのかなと思います.
僕は百合は好きな方です.というか,男に生まれて百合が嫌いな人なんているわけないじゃないですか(偏見)

百合が好きな僕ではありますが,百合作品であればなんでも良いというわけではなく,物語の内容が面白くなければ評価は下げてしまいます.

どうして内容が良くなかったかということは後述するとして,本作品は,昨年流行っていた『リコリコ』に似ていると思いました.つまり,百合が映えているだけで内容がつまらない(語気つよ!).

念のため補足しておきますが,僕はいわゆる“逆張り厨”ではありません.だって,一番好きな作品は『進撃の巨人』ですし『鬼滅の刃』だって大好きですし.逆張り厨どころかミーハーすぎるくらいです.

“決闘”というシステムがチープ

今作の基幹システムに“決闘”があります.
学生同士で何かを賭けて,ガンダム(正確にはモビルスーツ)に乗って勝負して,勝った方が相手の賭けたものを貰うというシステムです.
なんと今作,この“決闘”が校則で認められており,賭けるものはなんでも良いのです.なんでも良いというのは文字通りなんでも良いのです!
(AとBが決闘を行なってBがCと決闘する権利を賭ける,のような当事者抜きの賭けもありでした)

このなんでもありな“決闘”を軸にして物語が進んでいくので展開に深みが出てきません.
こんなめちゃくちゃな設定は『賭ケグルイ』を彷彿とさせます.それと,なんでもデュエルで決める『遊戯王』とか,なんでも勝負で決める『ポケモン』と構造は同じですね.

あとこれはSF作品としての評価に関わってくるのですが,“決闘”において実際のモビルスーツを用いるのって非合理的じゃないですか?
あれだけ科学技術が進歩している世界ならモビルスーツの高精度なシミュレータくらいあるでしょうに… “決闘”なんていう言ってしまえば“学生のままごと”に現実のリソースを割く必要はないと思うのですが.
SF作品となるとどうしてもこういうリアリティを追求してしまうオイラなのでした.

主人公が強すぎる

“決闘”が物語の根幹になっている以上,その“決闘”に勝てるかどうかが物語の展開としては非常に重要になってくるのですが,主人公が強すぎてその“決闘”にハラハラドキドキしません.
Season 1 で何回“決闘”があったかは覚えていませんが(5回くらい?),主人公は全勝だったと記憶しています.最初は未熟だったけどどんどん強くなっていく,みたいな成長物語はありませんでした…

最終話の感想

ここまでで批判的なレビューを書いてきたのですが,最終話を観てすこしだけ今作に対する印象が変わりました.正直,Season 2 はもう観なくていいかなと思っていたんですが,最終話が衝撃的すぎて,どうやって物語を収束させていくのか気になったので観ようかなと思うようになりました.

スレッタ,お前もだったのか

スレッタ(主人公)母は,スレッタをテロリストから救うため,躊躇なく平然とテロリスト数名を銃で撃ちコロしました.それを観たスレッタは母に恐怖を覚えますが,母は常々スレッタに教えてきた至言「進めば二つ逃げれば一つ」を持ち出して,自身のサツ戮を肯定します.どう考えてもそんなの詭弁でしかなく母は異常なのですが… スレッタは母の説得に納得して,そのうえ自身もガンダムに搭乗してテロリストと闘うことを決意します.

スレッタはオドオドした控えめな女の子だったので,母のサツ人行為を見て正気を保っていられるのスゲェなって思ったのと同時に,教育による刷り込みって怖ェななんて感想を抱きました(これを書いていて思ったのですが,スレッタ母は優しい言葉を使ってるだけの碇ゲンドウですね).ところが最終話Cパートのスレッタを見て納得.蛙の子は蛙なんですな〜

Cパート.ミオリネ(ヒロイン)を撃ちコロそうとしているテロリストをガンダムで文字通り叩き潰し,ミオリネを救ったスレッタ.そして…

ス「助けに来たよ!ミオリネさん!(笑顔)」
ミ「なんで… 笑ってるの…(恐怖)」

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第12話 逃げ出すよりも進むことを

ミオリネのスレッタに向ける眼差しは化け物に向けるそれと同じで,絶望感が伝わってきて鳥肌立ちましたね.1話との最悪の対比シーンがTwitterでも話題になっていました.

最終話になって一気に物語の温度が下がって鬱展開が拡がって,これまでの展開が面白くなかっただけに今後の評価が大きく変わりそうでSeason 2 も観なきゃなと思いました.

そうそう,触れていませんでしたが,「俺はお前のこと全然好きじゃないんだからな」とかいう臭すぎるキモキモ発言をしたグエルくんも作者の嗜虐趣味によって(?)悲劇的な状況に陥っているので,彼の今後も気になります.

おわりに

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』は,全体的にはそんなに面白くなかったけど,最終話が急展開すぎてSeason 2 が気になる作品,といったところでしょうか.

本作品は確かにガンダムを知らない僕みたいな人間でも観やすさはありましたが,一方でガンダムの良さも伝わってきませんでした.少なくとも,本作品が他のガンダムシリーズを観る動機付けにはなりませんでした.

これはもちろん普遍的な意見ではなく,僕個人の感想です.
皆さんはどう思いましたか?

#アニメ感想文

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