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ある一瞬のこと:神も仏も悟りも消えて|美加語録MikaGoRock


一瞬にして憑き物が落ちたかように、全てが消えました。


それは、通常は時間をかけて起こるものなのでしょうが、ほんの数秒でおきてしまったのです。


全てが抜け落ちてしまった世界とは、あらゆる意味が消失します。ただ全てはそこに静かにあるだけです。


全ては動いているのですが、同時に全ては沈黙して動くことを放棄しています。ただ、あるようにある瞬間があるのです。


周りの状況は実は何も変わりません。

満たされる前なら満たされたことが分かりますが、その概念が消えたので満たされるという感覚も存在しません。


ただ、体の中に微かに残った過去の残骸が、完全に満たされていることに歓喜しています。


無であることは、そのものの存在意義も理由も消えます。


自分はここにいながら、ここには存在しません。しかし、わたしはただここにいるだけです。体の輪郭がその軌跡を教えるのです。


その場に居合わせた友人は、一瞬でわたしが変わったことがわかりました。それくらい、分かりやすい何かが起こったのです。


彼らからすれば、今まで隣に座っていた私が、全く別ものとして、そこに存在していたそうです。さらには私の顔をまっすぐ見ることもできなかったそうです。


わたしの内的感覚といえば、パーソナルスペースがとんてもなく広がって、全てが自分の内側にあり、同時になにもない。

 
オーラが広がり周りの人が何かしらの圧を感じていることもはっきりわかります。しかし、その圧を生み出すものが一体誰なのか、もはや私であるとは限定することができまん。


翌日のこと、散歩をしました。


全体像とディテールが同時にはっきり感じられます。


そして、一つ一つの違いがなぜか無性に嬉しくて魂が喜ぶのです。


まるで砂の一粒一粒に宇宙があるように、毛穴の一つ一つに三千世界があるように、自然のあらゆる細部に歓喜があるのです。


今現在、わたしは私として存在していますが、まるで大木にとまっている蝉のようです。同時に私はその大木です。
もっといえば、大木にみえる命そのものです。


それは神も仏も悟りも、何も必要のない空なのです。

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