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究極の経済の世界、将棋界

このマガジンでは、
私の趣味の1つ将棋についての話題・戦術研究などを掲載します。

第1回目の今回は、将棋のゲーム性についてのお話です。


将棋を指す方も指さない方も、このゲームのルールのあらましは
おおよそご存知な方が多いのではないでしょうか。

9×9マスの正方形の盤面に
玉、金×2、銀×2、桂×2、香×2、飛車、角行、歩兵×8の
19個の駒をお互いに並べてゲームを開始し、
相手の玉を詰ませたプレイヤーが勝ちというルールです。

しかし、将棋の世界は「難しい」「よくわからない」と
言われることも多々あるようで、
ルールはだいたい理解できても、実際にどう指して良いか迷う
なんて方も少なくないと聞きます。

実際、私も将棋を始めたての頃はさっぱりわかりませんでした。
駒を動かして、相手の駒を取りに行くのが面白かっただけ。
初めはそんな感じで十分だと思います。

ただ、将棋の魅力をもっと味わいたい、勝ちたい、強くなりたい。
そうなると、話は変わってきます。
将棋は「頭脳の格闘技」と呼ばれるように、非常に激しく高度な
技の応酬の繰り返しのゲームです。

持将棋や千日手という、決着がつきそうもない場合に無効試合になる場合も
ありますが、基本的に将棋は「相手を潰すまで終われないゲーム」です。
それゆえに、「いかに相手を出し抜いて自分の戦法を押し付けるか」が
勝ち負けの根本にはあるのです。

そこで、私が思う将棋のゲーム性の本質は、「経済性」だと思うのです。
経済というと、お金絡みの話なような雰囲気がありますが、
要するに、「自分の駒の損害を最小限に、相手の駒への損害を最大限に」
というのが、この「経済性」の意味するところです。

将棋は、取った相手の駒は、自分の駒として使うことができます。
極論、相手の駒を玉以外全部取ってしまえば、まず負けることはありません。
しかし、これはあくまでも極論の話で、現実的なレベルで考えると、
取った相手の駒を使えるのは、自分だけではないので、実際の対局では
熾烈な駒の取り合いが起こるのです。

その中で、「自分の損害を最小限、相手への損害を最大限」にするには
どうすればいいのか。将棋の歴史は、もはやこの課題の探究の歴史と
言っても過言ではないほど、日夜研究されているテーマなのです。

アマチュアの将棋指しは、飛車を後生大事に抱えたがりますが、
プロはあっさりと自分の飛車を相手に取らせることが多くあります。
もちろん、「あえて」飛車を取らせているのであって、
自分の飛車を取らせる代わりに、相手に強烈なカウンターを繰り出す戦法を
狙ってのことなので、この先の対局の展開を先読みできるほどの実力がなければ
到底できない芸当ではあるのですが、日常生活に当てはめると意外と簡単です。

例えば、欲しい車があったとしましょう。お値段は新車で500万円。
この車を現金一括払いで買える人なんてそうはいませんよね。
だから、1度ローンを組んで、分割払いでトータル500万円を支払う約束の上
欲しい車を手にいれるのが大多数の人が考える手段でしょう。
しかし、ローンを組めば、いわゆる「借金」を抱えている状態であって、
金利も最近では安くはないので、実際にかかる費用は500万円を超えることも
十分に考えられるでしょう。ただ、そのリスクを承知で、その車が欲しくて、
その車が手に入るのなら、そのリスクを飲むなら買うでしょうし、そうでないなら
買わないという決断をするはずです。

飛車を「あえて」相手に取らせるという例を出しましたが、
この戦法も飛車を一度、相手に取らせるといリスクと、その代わりに自分が
狙っている強烈なカウンターを成功させるというリターンを秤にかけた時、
飛車を相手に渡すリスクを飲んででもそのリターンを得たい場合に、プロは
あっさりと飛車を捨てますよということなのです。
一方、アマチュアは飛車を大事にしすぎる傾向にあるのは、飛車は最強格の駒
なので、価値が非常に高いです。だから、飛車をむざむざと相手に取られたくない
という気持ちになる人が多いのです。
例えば、同じ500万円の商品をプロとアマチュアが見ているとして、
プロは「これで500万円なら安い!」と思うのに対して、
アマチュアは「これに500万円は出せない…」と思うのと同じです。

将棋の経済性は、お金絡みの話かと初めに書きましたが、
あえて、お金絡みの雰囲気にするとしたら、
将棋における「お金」「資産」に相当するものは、知識や経験です。
プロは、その「お金」「資産」が潤沢にあるので、500万円の買い物でも
安いものだと思って、あっさりと飛車を捨てる決断ができますし、
アマチュアは、プロよりは「お金」「資産」に余裕がないので、500万円の
買い物は敬遠しがちだというイメージです。

しかし、現実のお金は稼ぐのも、増やすのも、どう頑張っても厳しいですが
将棋の「お金」「資産」は稼ぐのも増やすのも、自分の勉強次第なので、
プロに近い感覚で将棋を指せるようになる日が割と現実的な話なのです。


今回のお話は、ここまで。
このマガジンでは、将棋についての話題、戦術研究などを中心に
記事をまとめていきます。

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