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どうするリチウム

今はウィーン中央駅のカフェにいます。フランクフルト行きの機内で下書きしたものを公開しますね。まだ飛行機に揺れている感覚が残っていてふわふわしています。

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暇すぎて早々に出国手続きを済ませ、2時間前には出発ゲートの前で音楽を聞きながら足でリズムを取り鼻歌を歌っていた私。出発まであと30分だから少しだけ充電しとこ〜とケーブルを出した瞬間、重大なことに気付く。うわぁ……マジか……サーッと血の気が引く。本当にやばい時って声が出ない。

携帯の充電バッテリーをスーツケースに入れたまま預けちゃった


すぐにiPhoneで「リチウム電池 国際線 預けてしまった」で検索する。うわ、最悪爆発するって。マジで!やばいやばいやばいやばい。何百人の命がかかっている。私の不注意でみんなを危険に晒すわけにはいかない。まだ30分ある……とすぐに地上スタッフに申し出た。

こんな人もたまにいるのか、スタッフの方は落ち着いて対応してくれる。搭乗券の裏に貼ってくれた預けた荷物の番号を伝えると、貨物室に連絡をしてくれた。

うわーマジか飛行機遅れたらどうしよう乗り継ぎ間に合わなかったらどうしようそれも自分のせいでうわー

「、」も「。」もなく一気に心の中で叫ぶ。ばかばかばかばか私のばか。Wi-Fiを借りた時にリチウム電池は機内持ち込みOKだけど、預けたらダメ!と言われたではないか。その時点で気が付いていればこんなことにならなかったのにと己をなじる。

お願い……早く来てくれ……お願い……

みんなが席に着いて「まだー?」と待ちくたびれている機内に、謝りながら入って行く自分の姿を想像する。ごめんなさい!すみません!ドイツ語で何て言うんだっけ?Entschuldigen Sie, bitteでいいんだっけ?

待っている間に搭乗が始まる。わわわ。時計を見ると21:15近くになっていた。定刻は21:30。あと15分ある!となんとかしてくれそうなANAの地上スタッフを信じることにした。

優先搭乗からグループ毎にゲートをくぐる人の列が長くなる。自分のせいなのに、うわぁ、早くしてぇと祈る。しばらくすると地上スタッフと共に私のスーツケースが上がってきた。それを見た時の安堵と言ったらない。

でもすぐには荷物に近付けない。荷物を開けるために専門の係がいるようで、その人を待っているとのこと。飛行機ってこうして安全を保ってるんだなぁとありがたく思う。

ようやく呼ばれてパーテーションの裏で数時間前に別れたスーツケースに再会する。でも、一度検査を通った荷物は自分の手で開けられないらしい。当たり前だけど初めて知った。ダイヤル式の鍵だけを解錠すると、ANAのスタッフがスーツケースを開けて、目当てのブツがどこにあるか私が指示して探してもらう。

充電バッテリーを入れた巾着がぽろりと落ちたので、これです、この中に入っていますと伝えて中からブツを取り出してもらった。

スーツケースが戻ってくる間、機内持ち込みができないなら捨ててもらっても構わないと思っていた。いや、待てよ、羽田なら取りに来られるな……とせこいことも同時に考える。

係の方がブツを見て、「(容量が)74なので機内持ち込み大丈夫ですよ」と言ってくれたので、ブツを受け取ってバッグに入れる。もうね、日本に帰ってきたら皆さんにおごりたい!

安全とオンタイム

日本の航空会社が信頼される所ってここだと思う。こうした連携が空の安全を守っているのだ。だから「安全とオンタイムにご迷惑をおかけしてごめんなさい!」と謝った。だってふざけんなよ案件だよね、これ。危険極まりないもの。初の海外一人旅だから慣れてませんって話じゃ済まないこと。もう本当に肝を冷やしました。マジで気を付けよう、リチウム電池。

そして、無事に搭乗手続きを終えて機内へ。良かった……謝りながら登場じゃなくて良かった。席に着いてホッとしていると、キャビンアテンダントの方がやってきて「8143様、地上スタッフからのメッセージです」とニコッと笑って絵葉書を渡してくれた。

やめて〜泣けてくるじゃない。気を張っていたところに優しくされると泣きそうになる。迷惑をかけたのは私の方なのに、チラッと「初めての海外一人旅なんですよう」と話しただけなのに、彼女たちからしたら毎日何千人と相手する中の一人にすぎないのに、手書きのメッセージだなんて不意打ちすぎるでしょ。LOVE ANA♡浮気しませんッ!

こちらこそありがとうですよ!!