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好きなものを好きでいられるのは幸せ

好きなものを否定されると腹がたつ。
人それぞれ好きなものは違っていい。
他の人に迷惑をかけるようなことがあるならまだしも、そうじゃないなら、皆好きなものを好きでいて、それがいい世の中じゃないか。
そう、俺は思うのだ。
「それにさ」
「ん?」
「好きって気持ちを我慢するほうが、よっぽど不健康だろ? だって好きなのに嫌いとか、好きじゃないのに好きだとか、それって結局自分の心に嘘ついてるってことじゃんか」
「うん……」
「だから、自分の気持ちには正直でいた方がいいよ。俺みたいにさ」
「ふふっ、確かにね」
そう言って、彼女は笑った。
俺が冗談めかして言ったことに対して、彼女は本当におかしそうに笑うのだった。
でも、その笑顔はとても素敵で……
そんな彼女を見て、俺も思わず笑ってしまった。
「あ! やっと笑ってくれた!」
「え……?」
「ずっと難しい顔してたから心配だったんだよ?」
そう言われて、俺は初めて自分が笑っていたことに気づいた。
彼女に言われて気づいたが、確かにここ最近はずっと仏頂面をしていたような気がする。
間違ってたな。
自分が好きなものが、そこにあるんだから、それだけで幸せじゃないか。それを否定するのは、おかしいよな。
「ありがとな」
「へ?」
「いや、なんでもない」
「なにそれ~変なの~」
また楽しそうに笑う彼女を見ていると、なんだか心が温かくなるような気がした。
これが、人を好きになるということなのかと実感した。

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