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歩き遍路18番札所恩山寺〜19番札所立江寺

恩山寺近く、旅館ちばで目を覚ます。

この旅館は、お遍路客向けの料理屋を兼ねている。

今日も朝ごはんをいただいて、歩き遍路へ出発!
今日は平地メインの22キロ前後の旅路の予定なので、前後の日に比べたらかなり楽な日程になるはず。
恩山寺から立江寺まで旧遍路道の峠が残っているそうなのでそこを目指す。

まずは宿の目の前、恩山寺だ。
このお寺は、弘法大師の母君「玉依御前」に縁のあるお寺だ。
元々女人禁制の道場であったこの寺に、訪ねてきた玉依御前のために、弘法大師は護摩堂を建てて女人解禁の17日間の修法(祈祷の儀式の一種)を行い、それ以降は女性にも開かれている。
また、玉依御前がこの場所で剃髪して出家し、御髪を奉納している。

その弘法大師の功績があったからこうして今らむちがお参りできるんだよね。

画像では伝わりにくいけどこの大師像は4mあるそう。

恩山寺から少し下ったところに、立江寺への古い遍路道がある。
峠になっていて、そこは「弦巻峠」と言うそう。
峠と言いつつも、比較的穏やかな林道を抜け、住宅街へ。

敵がいなかったため、
義経公が弓のつるを巻いたことが名前の由来
この地は義経公が渡ったためちなんだ名付けが多い
遍路道とは別にドリームロードなるものがあるようだ
これは道なのか?と言うルートを走る遍路道

道すがら、「お京塚」なるものを見つける。
それにしてもこの逸話の石碑の横に結婚相談の広告ってどうなのよ…。

「お京塚」お京さんは石見国(島根県)の出身で、大阪で芸妓をしていたといいます。要助と結婚しますが、鍛冶屋長蔵と不倫の関係になり、要助を殺してしまいます。
お京と長蔵は罪滅ぼしのために四国遍路をします。19番立江寺まできたところ、お京の黒髪が逆立ち鉦の緒に巻き上げられたのです。
時の院主にことの次第を告白し、罪を懺悔したところ、お京の頭部の肉が剥がれ、黒髪もろとも鉦の緒に残り、命だけは助かりました。お京は出家得度して、この地に庵を結び、一生を終えたということです。享和3(1803)年のことです。
以来、立江寺は阿波の関所寺と言われ、罪深い人はここから進めなくなるといわれています。お京さんの髪は立江寺の大師堂右側にある黒髪堂に祀られています。

「 四国八十八ヶ所ヘンロ小屋プロジェクト」
を支援する会

住宅街を進み、立江寺へ。
なんだか騒がしい…と不思議に思っているとなんとこの日は「立江市」なる縁日だったみたい。

キッチンカーが並ぶ参道
バニラアイスキャンディーがそのまま入ったクリームソーダをいただいてみる。

何も知らずに来たけど、お遍路さん以外の老若男女が集まって賑やかなお寺を見るのは、いつもの札所巡りとは違う雰囲気でなんだか楽しい。

立江寺は阿波の関所寺と言われていて、邪な心を持っているとここから先に進めないらしい。
なんとか勧めている私は邪ではなかったようだ。

縁日観光もそこそこに、旧遍路道を行く。
立江寺〜鶴林寺の遍路道は途中、ボランティアさんによって整備された古い遍路道が残る。

自然の中を分け入って進み、降りてきた頃に、犬を二匹飼っている民家に行き着く。
というより、犬にやたら吠えられたのでびっくりしていたら、そのお家の奥様が声をかけてくれた。
「ちょっと待っててね〜!」
言われた通り待っていると、奥様の手には早生みかん。

秋の初めに取れるこういう蜜柑を、そういえばあちこちで見かける。
ちょっと甘酸っぱいお接待。
三つもらったのでその場で一つ食べて、残りの二つは後で食べよう。

遍路道から住宅街におりて、先を進んでいると、またまた庭先で草刈りをしている別の奥様から声をかけられる。
「ちょっと一休みしていかない?」
休憩を取ったばかりだったから大丈夫ですよ〜って言おうと思っていたら、お家の中から庭先に一匹の猫が現れて、私の足元で…。

ごろにゃあ

そんなのずるい。
ついつい夢中になっていると、奥様がいつの間にか庭先にお茶とお菓子をご用意してくれていた。
うーん、猫にまでご接待されるとは。
冷たいお茶とお煎餅で一息して、先に向かう。

時刻はそろそろ12時。
お昼どうしようかなぁ、と思っていた頃に、うどん屋さんの幟が目に入ったので入ってみる。
場所柄、お遍路中のお客さんが多いんだろう、お遍路関係の写真や名言がずらり。
きつねうどんを頼むと、「お接待させてください」と言われて、ショーケースの中からご飯物を選ばせてくれた。

そういえば「きつね」だらけ🦊

あっさりのお出汁が効いたおうどんと、甘いと酸っぱいのバランスが取れたいなり寿司。
とてもおいしかった、ごちそうさまでした。
レジで会計をしていると、うどん屋さんの奥様が、ビニール袋に7〜8個くらいのみかんを詰めて私にくれる。

みかーん!!!!!!

徳島では今の時期みかんがたくさん出回るのかしら。昨日の宿でのお姉さんと宿の人の会話を思い出す。
まさかのみかん被り。
でも美味しかったから全部すぐ食べてしまったんだけど。

あちこちで寄り道しながらも、今日は鶴林寺の山の麓、旅館「鶴風亭」に泊まることに決まっていたので宿を目指す。
宿に着いた頃には16時。
「今日は花火大会があるの、それまでにお風呂と洗濯と、鮎の姿寿司があるから食べる?」
ありがたくおもてなしを受ける。
本来予約不可だった日を、「素泊まりなら」と泊まらせてくれた女将さん。
素泊まりなのに、姿寿司を食べさせてもらったり、余っているカロリーメイトをもらったり色々とお接待を受けた。
ありがたい…なんだか申し訳ない程だ。

鮎の姿寿司。
鮎を使ったお寿司は初めて食べる。
郷土料理?

宿の裏の川の橋の上から、花火大会の様子が見える。
そういえば、花火を見るなんて何年ぶりだろう。コロナ禍の中止から後、再会の目処が立たず実家近くの花火大会が無くなった。
それから一度もまともに花火なんて見ていない。
旅館の旦那さんと色々と語らいながら、橋の上から花火を楽しむ。

会場に行かなくても十分迫力満点だった花火。

この旅館の旦那さんのお話は聞く価値がある。
宗教、人生…。
立ち止まって考えたい何かがあるから人はお遍路さんをする。
私の場合はまずは自分が何をしたいのか、見つけるところからだと思った。

今日は移動距離こそそれほどでもなかったけれど、人の優しさに触れた1日だった。
みんな歩き遍路のことを「自分で歩き通す」と言うけれど、なにも私たちが歩けるのは、自分の頑張りのおかげだけじゃない。
遍路の道を誰かが整備してくれている。
お寺で誰かが私たちの巡礼を待ってくれている。
お宿で、いろんな場所でおもてなしのために誰かが準備をしてくれている。
誰かが私たちのために用意してくれている。
そのことを忘れちゃいけないと思う。

明日は、鶴林寺、太龍寺の二つの山を超えた難所を歩き、平等寺さん手前のお宿に泊まる予定。
正直不安しかないが、宿のことを考えるとこの日程しかほぼない。
山二つと峠一つ越え。
がんばるぞー!!!



民宿ちば〜恩山寺〜立江寺〜鶴風亭
22.41km 33207歩

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