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能力やスキルを高めて得をするのは誰か

僕は哲学者ではない。

しかしニーチェの言葉には興味がある。

ペシミズムで名高い人物だが、なぜか若い頃から彼の言葉には惹かれる。

おそらく生きる上でペシミズムがもつ処世観、実存療法のフランクル流に言えば「自己距離化」に通じるフレーズが何か心の救いになるからだと思う。

そこで「超訳 ニーチェの言葉」(白取晴彦訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)から「自己距離化」に通じるような箇所を抜粋してみたい。

「おおかたの人間は、自分に甘く、他人に厳しい。

どうしてそうなるかというと、自分を見るときにはあまりに近くの距離から自分を見ているからだ。

そして、他人を見るときは、あまりにも遠くの距離から輪郭をぼんやりと見ているからなのだ。

この距離の取り方を反対にしてじっくりと観察するようになれば、他人はそれほど非難すべき存在ではないし、自分はそれほど甘く許容すべきではないということがわかってくるはずだ」
(さまざまな意見と箴言)

自他を比較することを心理学では社会的比較という。

自分より上の人と比較することを上方比較、自分より下の人と比較することを下方比較という。

そして、現代の新自由主義社会では下方比較よりも上方比較が奨励され、自分の能力やスキルを高めることに躍起になっている。

これではいつまでたっての心理的には満たされない。かといって下方比較は品のないことだとされている。

これも微妙な問題で、自分より何をもって下だとみなすのかは一概にいえない。

ただ、自分より上をみてもっとがんばらねばという洗脳に自分が曝されていることは少し自覚して生きなければならない。

得をするのは自分ではないだろうから。


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