スポンサー企業の雰囲気

僕は2012年にゴールドマンサックス証券に入社し、営業として国内金融法人をお客様として担当させていただきました。そこから2018年11月にFC琉球という全く異なるサッカークラブに転職しましたが、大きく括ると同じ営業という仕事に従事していた時間が大半です。

証券会社時代のお客様は上場企業が大半で、なおかつ金融法人とさらに限られた業態の中での取引や会話が多く、誤解を恐れずに言うと、お客様の会社の雰囲気はそこまで大きく違いはありません。

打ち合わせを入れると、新人の方から部長くらいまでが大体4人くらい出てきてくれて、一番若い方がお茶出しをしてくれたり。一方でスポーツクラブの営業においては街のお弁当屋さんから中小企業・地元の盟主企業など多種多様に訪問させていただいたということもあって、会社によってそれぞれ雰囲気が全く異なる様子を肌で感じていました。

今からお話しさせていただくのは、FC琉球で僕が実際に経験したことそして実際に感じたことです。以下の記事で定量的に書いたスポンサーメリットとは少し異なりますが、スポンサー企業にとってのメリットになり得るとさえ考えています。

おじさんたちが生き生きしている会社

先日、FC琉球からラッピングポストとオリジナルフレーム切手がリリースされましたが、日本郵便株式会社沖縄支社はまさにタイトルのように「おじさんが生き生きと働いている会社」です。

日本郵便株式会社沖縄支社に訪問した際には、まず担当の方が1階まで出迎えに来てくれます。そして打ち合わせの会議室に案内していただくときにフロアを通ると職員の方が作業を止め、椅子から立ち上がり、こちらを見てきちんと挨拶をしてくれます。ここまで徹底している企業はなかなかありません。

そして実際に打ち合わせの場では、アイデアが豊富でお話しが上手な支社長のもと活発な議論がなされます。その場には若い方からおじさんまでが前のめりになって、議論に参加している様子が感じられます。支社長が現場の方を信頼し、尊重し、任せているからこそ、積極的に参加しているのだと思います。

僕はこんなにおじさんたちが生き生きと議論に参加し、アイデアを出し合っている打ち合わせに参加したことがありませんでした。「自分の意見なんか通るわけないよ」「自分が何を言っても新しいことなんかできない」本来ならば、愚痴として出てきそうな言葉が全く彼らからは感じません。

「おじさんたちが生き生きと働いている会社」というのが、日本郵便株式会社沖縄支社に僕が感じているものです。

DAZNやテレビに出る以上の効果

最後に、こういった企業の想いを肌で感じ、知り、伝えていくということは思いもよらない効果を生む可能性もあると思っています。

DAZNや地上波テレビに自社の看板が出ることはもちろん企業にとって大事なことではあります。しかしそこに必要以上に囚われる必要はないと僕は思っています。それよりももっと大事なことは、そのスポンサー企業のことを同じ理念を目指す仲間として認識し、共に歩む思いを伝えていくことではないでしょうか。営業は非常に多くの人に会う機会があります。そして社長はさらに多くの方に会う機会があります。

自分の言葉で、その企業の想いや情熱、会社の雰囲気を伝えていく。それがDAZNの看板に企業名が出ることの何倍の効果にもなりうる。それはもちろんフロントスタッフだけではないでしょう。選手たちもクラブの一員として同じ関りができれば、よりその迫力を増すことになると思います。

商品をもって写真を撮るだけで、反響が出るほど甘い世界ではありません。「商品のPRを選手がする」ということは、スポンサー企業のクラブへの想いを理解し、自分自身がそれを納得した状態で、なおかつクラブが用意した言葉ではなく、自分自身の言葉で伝えることが必要になってくるのです。

用意された言葉を読み上げる、唱えるだけで、人の心をつかめる人間は絶対にいません。自分の言葉を持っている選手たちは、このあたりの理解についてとても敏感でトレーニングを積んできているのだと思います。

自分の言葉を持っているアスリート、フロントスタッフがどれだけいるのでしょうか。サッカー界の発展には欠かせない要素になるでしょう。

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