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iPhone


耳に当てた携帯電話が突然絶叫した。

容量がいっぱいでもう何も読み込めないようで、読み込めないことをまだ飲み込めていないそんな様だった。

それから私の顔には耳に当てた携帯電話の形そのままのアザがくっきりと。その絶叫の音全てが私の鼓膜にべったりと張り付き鼓動のリズムも衝撃で少し狂っている。


その日からその携帯電話はいつ絶叫するかわからない携帯電話になった。
もう普通じゃないなこの携帯電話は。

私はいつ起こるかわからないその絶叫に怯える毎日だ。

いっそのこと買い替えてしまおう。
1番新しく、綺麗でいいものに。
そんな感じで買い替えてからしばらく経つ。
顔のアザは綺麗に消え、
張り付いたあの音も取れていった。
狂った私の鼓動のリズムも元通り。

でもまた狂ってしまう可能性が無くはない。
私ももう普通じゃないのだ。






完。


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