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男性の肌と制服 1

夏が近づくとテレビから聞こえてくるCMソングがある。

夏は股間が痒くなる 
痒くなったらデリケアエムズ
掻かずに治そうデリケアエムズ


聴いたら一発で歌詞を覚えてしまう直裁なCMソングは、脳内自動再生率が高い、CMソングとしては出来の良いものなのだが、威勢の良い軍歌調のメロディーに乗せて「股間」と高らかに合唱してしまうスーツ、仕事着姿の男性同士の連体感、サラリーマン社会の描写をどう受け止めるか、が男性の皮膚感覚に結びついていると思う。

正直気持ちが悪い。イラっとする。ここで高らかに謳われているのは、個人の身体部位というより、「俺たちの股間」ともいうべき、抽象的な存在である。

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脱毛広告を観察するようになって、男性向けの脱毛サービスや、男性の転職、スキンケア、商品の広告にも目を向けるようになると、そこに登場する男性たちはほぼ軒並みスーツを着ていることに気がつく。身だしなみを整える、スキンケアをする、ということが男性向け商品の広告に結びつくことで出来上がる「社会人としてのきちんとした男性像」の判で押したようなテンプレートっぷりを目の当たりにすると、スーツこそが男性の肌なのではないかと思えてくる。

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ITエンジニア向け転職サービスのGeeklyの広告に登場する玉木宏はサイズを変えてコピーペーストされて合成されている。量産されるロボットのようだ。

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男性の肌、スーツと考えると、その原点は世界大戦のプロパガンダポスター表現にあるのではないだろうか、と常々考えている。
「男性の表象」を意識化することが、ここ最近の関心事である。

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