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あの日、あの時、あの場所で

「そこに居合わせた。それこそが運命である」

例えば、ネギが有ったから牛タンにのせてみた。
とか、
卵があったからごはんに掛けた。
とか。
お腹空いてるし、今日はアッサリとしたものが食べたいので近くにあったトンカツ屋でおろしトンカツ食べた。
だとか。

そういう日常の延長線上に、僕らは立っている。

「本店のあの味を超える焼肉はもう無いだろう。」

そんな気持ちで、僕は席に着く。
座り心地は悪くない。
それは最初から分かっていること。
「肉が出て、焼いて、食べる」
それも、分かりきったこと。

そこにはテーマがある。

「そこに居合わせた。それこそが運命である」

僕はカルビを食べに来た。予測通りの安心できる味でむしろ前評判がそんなに良くないだけに想像よりも美味しくさえ感じた。

「あの日のカルビを絶対に見つけ出して食べる。」

その執念と才能を持ち合わせた彼女は、タイミングを逃さなかった。

実際に味わった後の、軽いタレとカルビの掛け合いとそのバランス。確実な味。そう、これこれ。

何も考えずにそれその物だけを楽しめる。

そうだ。これを求めて僕はここに来たんだ。

でも、実際にはそれだけじゃなかった。

何気なくちょこん。と、添えられたシロコロホルモンが予想外に美味しいではないか。

タイミング良くその味が僕に、えっ?こんなに美味しかったの?!と居合わせた人たちの口に拡がっていく。

そんな気持ちで全ての焼肉を食べ終わり、「始まってしまった。」ということは同時に(死別を含んだ)別れへの伏線さえ包括しているのだと、僕は少し切なくなってしまった。

僕にとって「メンインブラック:インターナショナル」はそんな焼肉です。

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