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○ 高校3年生の頃 ②


 推薦で学校が決まったのは11月頃。ほどなくして学校の友人に憧れて新聞配達のアルバイトを始めた。彼女はこれから通う大学の学費のため、朝刊を配達してから高校に通っていた。中学から知っている子でもあり、尊敬していて、彼女と同じ販売所で ( ちゃっかり ) 働きはじめた。


 季節は冬、稀に雪が降ると自転車は進まなかった。途中で原付免許を取った。暗いうちにカブに新聞を積んで走り始める、最初は新聞の重さでハンドルがゆらゆらする。新聞が減っていくとギアを3速まで入れられる。だんだん空が明るくなってあけてゆくのはいつもほっとした、かごを空にしてスピードを上げて帰る。


 ペースは段々できてくる、この家に入れたらあの家。元旦の朝刊の重さ半端ない。間違えないように気を付けて配るのだが、誤配というのが時々あった。いつも暗くてこわい集合住宅もあったけど、本当に怖いことはなかった。

 時折配達の途中で社員さんが缶コーヒーを持ってきてくれ、「俺が高校生の時は」というワイルドな武勇伝を聞き、笑いながら反応に困った。


 3学期になると登校する日がほとんど無くなり、高校生活はこんな風に接点の無いまま終わっていくのかと切なかった。それぞれの進路、それぞれの動機、どんな風に勉強してどんな参考書を使っているのか、みんなのことほとんど知らないまま。
 
 大学に入ると部活で帰りが遅く、朝起きられず朝刊を配れなくなり辞めてしまった ☆☆☆

🎵BGM / レミオロメン「 3月9日 」


✨お読みいただき、ありがとうございました✨
※写真に特に意味はありません



 

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