詩集「女神む」高井泉著
 

「女神む」
詩集の題名は私のインスピレーションを次々と展開させていく。
女神が羽ばたき、地球に舞い降り、祈る。女と神は交わり、融合し、共に清く生きる。壮大な物語を予感させる。
そして、「女神む」は高井さんの言葉への愛情と遊びこころ。学問、神話、芸術の融合の試みを感じた。感情、感覚を明確に分析し、丁寧に紡ぎあげている詩集だ。

詩篇Ⅰ「青の時」は、自然は詩の源、そして、著者と詩との関わり方が描かれている。詩の手法、詩そのものを言葉にし、身近な自然を題材に理路整然と解明していく。

詩篇Ⅱ「赤の時」は、自然現象、自然と人間とのつながりを、角度を変えて描いていく。人間の存在が自然から独立していく姿を感じた。
「⒓緑る」三連三行目「春の女神が若い声帯で伊邪那う」この行は前の詩との繋がり、宇宙の流れ、輪廻の基点のようにすっとたっているよう。

詩篇Ⅲ「白の時」は、ふたりがひとつになる。絶対的な。完全な。著者の言葉をかりれば際立つ「医し」がみなぎっている。

詩篇Ⅳ「黒の時」は、ぼくと君の自然な結びつき。身近なところから拡がる世界を感じた。
「女神む」は詩一篇、一篇独立しながら、融合し、言葉を重ね展開していき、物語ようでもある。

*「詩と思想」2015年6月掲載

よろしければサポートをお願いします。私の活動の励みになります。頂いたサポートはクリエーターの活動費として使わせていただきます。