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三ヶ星 灯(みかほし ともり)の写真と詩と作品と。

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三ヶ星 灯(みかほし ともり)の写真と詩と作品などをまとめています。いつか写真集とかつくりたいです。
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記事一覧

「曖昧なままでいて」

光と影の境界線が、 ぼんやり揺れる午後。 触れられそうで、触れられない。 名前も知らない草の匂いに、 静かに息づく時間が染み込む。 答えなんていらないから、 この曖昧さの中で、 そっと揺れていてほしい。

「最期まで煌めく」

散りゆく葉が奏でる音に、 静かな呼吸が混じる。 光を受けて、紅のひとひらが、 燃えるように輝きを増しながら、 やがて、地へ還る。 その瞬間まで、 惜しみなく色を放ち、 空を仰ぎ続ける。 最後の一秒まで、 何かを照らそうとする命が この季節を温めている。 それは、もう誰も見ていなくても、 ただ、そう在ることだけで美しい。

「粒子の記憶」

光の粒子が揺れるみなも、 触れるたびに消え、 名もない影を落とす。 葉の隙間を縫う風、 気づかぬ間に どこかへ消え去る。 掴めないものばかりが そっと手のひらをすり抜けて、 静寂の奥で 記憶だけが、 滲む。

「青い夢のかけらは消えた」

光が溢れる葉陰で 夏の声が囁くたび、 胸の奥で何かが はじけて溶けていく。 手を伸ばせば掴めそうな、 けれど指の間をすり抜ける、 青い夢のかけらたち。 焼けるような空の下で、 ただ、恋焦がれている。 消えた。

「灯の始まり、光の軌跡、瞬間のかけら」2024年写真集と最後の詩

静かに過ぎ去る日々の中で、 心に残ったのは、 ほんの一瞬、目を奪われた風景たち。 足元に咲く花、空を切る雲、 影を引き連れた光の道筋。 その一つひとつが、 かけがえのない「今」の証。 写真の中に閉じ込めた瞬間たちは、 言葉にならない物語を持っている。 触れたくても触れられない、 だけど、どこか懐かしい温もりを抱えて。 振り返ると、そこには確かに、 今年を形作った軌跡がある。 写真が語るのは風景だけじゃなく、 そのときの自分、 そのときの想い、 そして明日への祈り。 だ

「風がほどいた茜色」

冷たい指先が木の葉を撫でて、 茜色の影がぽつり、ぽつりとこぼれる。 光は斜めに差しながら、 無くしものを探すように、 残された枝を透かしていく。 肌寒さに縫い込まれた寂しさが、 風の中で、音もなく解けていく頃、 葉は静かに背を向け、 もう届かない空を目指して揺れている。 消えゆく一枚一枚が、 何かを語りたげに落ちていくけれど、 その声はいつも、木枯らしにさらわれるだけ。

「世界のかけら、あなたを待つ」

見えない音が、 草の間でほどけている。 誰かに伝えたくて、風が手を伸ばすたび、 光が葉の上を転がっていく。 ただここにいるだけで、 見落としていた色が浮かび上がる。 壁に落ちる影も、歩道の花も、 まるで名前を呼ばれるのを待っていたように。 静かな鼓動が響いているのに、 気づくのはいつも遅れてしまうけれど、 それに気づけた瞬間こそ、 きっと何かの始まりなんだと思う。 もしあなたがこの景色を見つけたなら、 その一瞬を、大切にしてあげてほしい。

「見えない糸のさきに」

ほどけそうな糸を 指先でそっと押さえながら、 風が吹くたび、 心のどこかで、何かが揺れている。 信じてしまえば、 崩れてしまうのだろうか。 触れた瞬間、消える夢のように。 それでも、かすかな光が 草花に揺れている。 捕まえられないのなら、 せめてそっと目を閉じて その瞬き、信じてみたい。

「風の知らない契り」

影と光が絡まりながら、 風は通りすがり、何も言わない。 道端の草はただ揺れるだけ、 知らない誰かの記憶のように。 枝先の粒は、言いたいことを抱えたまま、 ふいに手放される夢の欠片みたいだ。 日差しがふっとほどける音がして、 時間だけが、静かに遠ざかっていく。

「夜は明けない」

全然見てくれる人、増えないね。努力が足りてないね。才能ないね。つらいね。もっと頑張らないとね。ダメダメだね。このまますーっと世界に溶けていくのかな。それはそれで心地いいのかもしれない。明けないね、夜🌟gn...🌙明けない夜はないなんて嘘だよ。嘘つき。

「昼が更ける」

色がほどけて、 輪郭のない風がすり抜ける。 草の先で、言葉にならない声が弾け、 知らないままの何かが消えていく。 陽は縫い目を解かれた布のように ただ落ちてゆき、 影も光も、どちらでもない余白に沈む。 落ちた花びらは、 見つけられることなく、 時間の底に滲んでいく。 夜はまだ遠い。 けれど、昼はもうどこにもいない。

「探し過ぎ去る夏」

今年も過ぎ去った夏。 それは実在したのだろうか。 いつかの遠い記憶なのだろうか。 あの夏なのだろうか。 現実なのだろうか。 虚構なのだろうか。 好きなんだろうか。 嫌いなんだろうか。 大好きなのだろう。 私たちはまた来年もきっと探し回る。

「風だけがきこえる」

風が囁くけど、 返事なんて誰もくれない。 夜の隙間に沈んだ声は、 誰にも届かないまま消えていく。 光に触れたい、 けどその光はいつも遠く、 褒められることもない影だけが、 静かに漂っている。 心の中の小さな火は、 寒さに飲まれて、 誰にも見つけてもらえず、 ただひとりで揺れている。 秋の深さが胸に沁みて、 見えない手にすがりたくなる。 けれど、その手はないことを知っていて、 ただ空を見上げるだけなんだ。 さよならの秋。

「生まれ変わり」

色づく葉が、そっと揺れて 遠く、消えていく。 終わりのようで、始まりのようで、 冷たい風が運ぶ予感。 静かに土に溶け込み、 未来を夢見てる。 儚さの中に、 たしかな光が残っている気がした。