国立西洋美術館の2階で、バレエを踊る~アートに必要な空間の話
2022年の記録をまとめています!
2022年9月に行った国立西洋美術館の「自然と人のダイアローグ」展、常設展について、別の場所に書いていたのを小見出しつけて転記。
初めての国立西洋美術館~前庭
前庭に、地獄の門!考える人!入場しなくてもアートが楽しめるなんて素敵。
ブロンズ像ってどうやってつくるのかよくわかんないんですが、この考える人は拡大版らしい。
国立西洋美術館、リニューアル作業で1年半ほど休館していたのですが、4月に再オープンしてた模様。リニューアル前も行ったことなく知らないのですが、主に前庭を改修したとのこと。
なんと2016年に世界遺産に登録されていたそうで。知らなかった。建築家の人がすごいらしいのだけれど、その当初の設計意図が失われているということでこの度の改修となったらしいです。
たしかに常設展の2階がバッチバチにテンション上がる空間でした。
そういえば今回は御徒町の方から、つまり上野公園の南側から入って行ったのですが、南の方はわさわさした空気感あるね。下町っぽい。いつから東京国立博物館的な落ち着いた空気感になるかなーと思ったら、東京文化会館あたりから。これが重しになっているのかしら。そこ抜けると、ノーブルというかアカデミックというか、澄ました空気感になるのよね。
不遇の松方コレクション
さて、企画展。最初に、企画展の説明ビデオが流れてたのでそれを見たんですが、それが一番印象に残ったかも。
この美術館の収蔵品は、大正初期から昭和初期にかけて、実業家である松方氏が、日本の若者にも西洋の進んだ美術を見せてやりたいという思いで買い集めたコレクションがもとになっているのだそう。
ただ……関東大震災後の金融恐慌で事業が破綻し、国内のコレクションは売りに出されて散逸、ロンドンに保管してあったコレクションは倉庫の火災で焼失、パリに保管してあったコレクションは第二次世界大戦末期に敵国人財産としてフランス政府に接収されてしまう……。踏んだり蹴ったりが過ぎる。美術館をつくる夢かなわず松方氏は亡くなってしまうのだが、その後、フランス政府よりコレクションの大部分は返還され、この国立西洋美術館ができたのだという。泣いちゃう。
近代の有名作家の作品がとても多い。モネ、マネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーギャンなどなど。特にモネが多い。仲良かったっぽい。
この企画展では、ドイツのフォルクヴァング美術館の所蔵品も一緒に見られるのですが、この美術館も松方氏の同時代のカール・エルンスト・オストハウスという個人収集家のコレクションがもととなっているそう。でもこちらは散逸はしなかったようで、松方氏の不憫度が際立つ。悲しい。
版画素描展示室
あと版画素描展示室で、エッチングが見られた。んー、繊細。
そのの中に、ひときわ黒いエッチングがあって、手間がえぐいわぁ、それにしてもこの黒さレンブラントみたいねぇ……と思ったらほんとにレンブラントだった……(ポスターにもなってる)
塗っても彫っても黒いのかレンブラント……
中世の油絵の重厚感に包まれる~「好き」が増える楽しさ
企画展見終わったあとは常設展へGO。入るときに20時までですって言われたので(金曜土曜は20時まで開館。ありがたや!)広さに比してあまり時間がないのだなと解釈し、さささーっと、まわろうと思ったら!
最初の部屋(2階)で、ぎゃーーん!!!ってなった。
やだ……なにこれ……めちゃくちゃいい……!!!!(ぎゅーん!!!)
おもわず心の中で、松方氏ーー!!!って感謝の意を込めて叫んだ。(コレクションを集めた人)※見た作品が松方コレクションだったかどうかは確認しなかったので不明
わたし油絵ってそんなに好きではなかったのね。ゴッホ展行ったときも、素描の方が好きだったし。あと、なんか背景暗いよねってイメージある。
で、そこにあった絵の数々も確かに背景暗かったんだけど、いやいやいやいや、重厚感って言うんだよこれ!!!
わ~近代のふわっとした油絵と全然違う~~~近代の油絵見ると、油絵である必要あるんかなって思ってしまうことあるんだけど(単にわたしが水彩の方が好きなだけって話もある)
これは!このきちんと感!しっかり感は!油彩じゃないとダメなやつ!!
この重みがいいのよね……重たい毛布の方が寝られるって話聞いたことありません?なんかそれよ……(伝われ)
あとで確認したら、時代順になっていたみたいで、2階は中世から近世の作品だったようです。
さらにあとで勉強したら、わたしが好きなのは、バロックあたりの作風。
さらにいうと、カトリック派よりは、プロテスタント派の絵が好き。(カトリックは、「キリスト教!!」って圧が強い。)
なるほどなるほど、「好き」がわかるの楽しい。
B'zがライブやるならドームだろ
あと、空間が、とてもよかった……!!!
これは東京国立博物館の常設展に行ってから気づいたのだけれど、美術品の展示って、空間も、とても大事。
その作品にふさわしい空間というか……その作品を支えられるだけの空間でないといけないし、それに支えられてこそ、その作品も輝く。ここでいう空間は、物理的な空間(縦横の広さ)と捉えてもらってもおおむね大丈夫だと思う。もちろんそれだけじゃないと思うけれど、まずは。
B'zが立つならライブハウスだともったいないだろ、ドームだろ、みたいな話です。(利益とか集客の話じゃないです。)
プラス、もちろんドームでも、もろもろ設備等はコンサート仕様になってないといけないよね。
B'zのライブ見るならドームだろ
あと、その作品を鑑賞する人が、作品を受け止めるだけの空間も必要。
B'zのライブでライブハウス並みのフロアサイズしかなかったら、そこにいるお客さんのメンタルが圧死しそう。受け止めて、発散できるだけのスペース欲しいよね。
そんなわけで、この空間で美術品を見ていたら、バレエを踊り出したくなったので、とてもよかったです。
もちろん踊ってないし、そもそも踊れないのでご安心ください……。
アートからのエネルギーを受け取り、ヘルシーに身体に満たすことができ、それを多少咀嚼するだけの余裕(スペース)があったということです。
B'zでいうたら、ステージ上のパフォーマンス対して、気持ちよくレスポンスを返せたということです。
なぜ踊れないのにバレエだったのかは、それはここが国立西洋美術館だったからでしょう。浮世絵だったら日舞とかになっていたのでは。
添付画像は17世紀のカルロ・ドルチ「悲しみの聖母」。撮り方雑ですまん。
青がめっちゃきれい。天然ウルトラマリンブルーだそうです。ラピスラズリを元につくるから、たいへん高価。
トーハクにつづいて、国立の強さを感じた美術館でありました。
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