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きみが産声をあげたとき

きみが産声をあげたとき
世界は大きくひとつ深呼吸をして、
誰にも気づかれないように
こっそりときみの居場所をその胸のなかにつくった

母は紅い顔したきみを不思議な心地でじっと見つめ、
父は知らせを待つ家族のため携帯電話を掴んで白く光る廊下へと走り、

人間たちが右往左往しながらきみのいる世界を整えようとしていたときに

世界は誰にも気づかれないように
こっそりとつくったきみの居場所の地図を
ひっそりときみの胸のうちに届けた

いつか、

時と誰かがきみを大きくし
ひとりぼっちの気持ちで
一丁前に泣くことがきっとあるだろう

けれど、

それは美しくも壮大な幻

だって世界はきみが生まれたその瞬間に
きみだけの居場所をつくってくれていたのだ

きみがまだその場所に辿り着いていないだけで

きみがまだ胸のうちしまわれた
その地図に気づいていないだけで

Thank you for reading!