バスのなかで泣いてしまった
博多駅近くのクリニックからの帰り、ぼんやりと考え事をしていたわたしはその「ぼんやり」のきっかけとなった先生からのひとことを思い出していた。
「手術して、ちょうど10年になるね」
21歳で甲状腺機能亢進症(いわゆるバセドウ病)になったわたしは、数年間の投薬を経て、肥大した甲状腺を切り取る手術をした。そうか、あれ、10年前だったのか。確かにまだ20代だったな。その後も3ヶ月から6ヶ月おきに血液検査のためにこのクリニックに通っているのだから、つまりはこの先生とも10年以上の付き