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きみのお役に立てるなら

20
たくさんの方に読んでいただいた文章のなかから20選です。きみのお役に、立てたらいいな。
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2019年11月の記事一覧

才能のありか、才能のしるし

高潔さを学びたくて、 不正のなかに身を置き 愛を学びたくて、 憎しみのなかに身を置き 平和を学びたくて、 争いのなかに身を置き 豊かさを学びたくて、 貧しさのなかに身を置く 傷ついた場所、 それがあなたの才能のありか 気づきの多さ、 それがあなたの才能のしるし だからどうか見失わないで 地に足をつけ、 空の星を見あげ、 風を待って、 進むんだ そこがあなたの才能のありか それがあなたの才能のしるし #日記 #詩 #エッセイ #毎日更新

母とわたしと、わたしと娘

実家から母が来ていた。 こちらでも買えるような食材をスーツケースに詰め込んで、子どもへの誕生日プレゼントを携えて。 持ってきた野菜であっという間にいつもの煮物をつくって、 はしゃぐ子どもをあやしながら遊んで、 わたしたちと食卓を囲んで、 そして帰っていった。 母は言う。 昔はもっと何かしなきゃ、働かなきゃ、と焦っていたけれど、 いまはようやく自分の調子を見ながらのんびり過ごすことができるようになった、と。 母は言う。 美香の言葉がきっかけで、そうか、そういう考えか

わたしもまた、誰かをしあわせにした日々があったのだ

いまではときどき、になったけれど、 いっとき子どもが可愛すぎて毎日泣きそうになったり実際に泣いたりして過ごしていた そして思った あぁ、この子と同じように幼い頃のわたしもまた、 こんなにも母をしあわせにしていたのだ だったら、もう、いいんだな 誰かの役に立つとか立たないとか、 何かができるとかできないとか、 そんなのもともと関係なかったんだ ただ生きてそこにいるだけで、 誰かをこんなにもしあわせにしたことがあったなら、 わたしの人生はそれだけでもう、

バスのなかで泣いてしまった

博多駅近くのクリニックからの帰り、ぼんやりと考え事をしていたわたしはその「ぼんやり」のきっかけとなった先生からのひとことを思い出していた。 「手術して、ちょうど10年になるね」 21歳で甲状腺機能亢進症(いわゆるバセドウ病)になったわたしは、数年間の投薬を経て、肥大した甲状腺を切り取る手術をした。そうか、あれ、10年前だったのか。確かにまだ20代だったな。その後も3ヶ月から6ヶ月おきに血液検査のためにこのクリニックに通っているのだから、つまりはこの先生とも10年以上の付き