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【黎明】(BL/R18)2:0:0

【世界観】
和装・帯刀が普通の世界。この世かあの世かは謎。現実とは別世界。

【登場人物】
雅(みやび):男性。祓い屋。品行方正(に見える)な清白があまり好きではない。はず。
清白(すずしろ):男性。神職。何事にも無関心で食も疎かにする雅を心配している。

「」セリフ
()ナレーション・モノローグ

本編ーーーーーーーーーー

清白:「今日の仕事はこれで終わりか、な…?」

清白:(俺は1日の奉仕を終え、ひと息ついた。)

清白:(宮司や他の神職たちに挨拶をして帰路に着く。)

清白:(……ふと雅の顔が頭に浮かぶ。)

清白:「あいつ、飯食ってるかな…」

清白:(心配になった俺は、雅の家に寄ることにした。)

0:場面転換  雅の家

雅:(今日は気が立っていた。)

雅:「どいつもこいつもしたり顔で偉そうに説教しやがって…!」

雅:(お望み通り仕事してやったのに、『まともな職に就け』だの『結婚しろ』だのうるせぇんだよ!)

雅:(カリカリしていたその時だった。)

雅:(トントン、と玄関の扉が鳴る。)

清白:「雅、いるんだろ?」

雅:「あ……?」

雅:(聞き慣れた気に食わない奴の声。何故だか知らないが、やたらと俺の世話を焼いてくる。)

雅:「ちっ、面倒だな…」

雅:(そう毒づいた時にふと、ある考えが浮かんだ。)

雅:(何故そんな事を思い付いたのか、深く考えていなかった。)

清白:(程なくして玄関が開いて、機嫌の悪そうな雅が出迎えてくれた。)

清白:(機嫌が悪い理由が気になり、僅(わず)かに口の端が吊り上がっていたのに気付かなかった。)

清白:「腹減ってない?飯買ってきたから一緒に食おう?」

雅:「ああ……上がれよ。」

清白:(突っぱねられるかと思っていた俺は、安堵して雅の家に上がった。)

清白:(そしていつもの様に座っていた。)

清白:「今日も仕事だっただろ?心配してたけど、怪我も無さそうで良かった。」

雅:「…心配?」

清白:「ああ。いつも化け物相手にしてるんだろ?何かあるんじゃないかとヒヤヒヤしてるよ?」

雅:「へぇ、そんなに心配かねぇ?」

清白:(雅の雰囲気が変わった。ゾクリとする殺気にも似た気配。)

清白:(まずい、気に障った?)

清白:(取り繕おうとした瞬間、雅に両腕を掴まれ、押し倒されていた。)

清白:(そのまま俺の上に雅が馬乗りになる。)

清白:「みや、び…?いったい…っ」

清白:(言い終わる前に唇で唇を塞がれた。)

0:(リップ音入れられる方はどうぞ)

清白:「…ふっ……ん…やめ」

清白:(抗議の声も出させてもらえず、抵抗を試みるも両腕とも振り解けない。)

雅:「どう?俺だってこれぐらい簡単にできるんだよ?結構力あるでしょ?」

清白:(悪戯っぽく笑う雅を精一杯睨みつける。)

清白:「もう分かったから、いい加減どけよ!」

雅:「ふぅん?『分かった』、ね…?その顔は『分かって』ないよね?」

清白:(そう言って雅は再び俺に唇を重ねた。さっきよりも深く。)

雅:(嫌がる清白に口付けながら清白の帯を解き、その帯で清白の両腕を拘束する。)

雅:(俺が唇を離すと、吐息混じりの抗議の言葉を紡ぐ。)

清白:「ふあっ……雅…なん、で、こんなこと…」

雅:「俺の事、心配なんだろ?そうやって世話焼いてくれるなら、こっちの世話も焼いてくれるよね?」

雅:(そう言いながら、耳、首筋、鎖骨へと舌を這わせて行く。)

清白:「なに馬鹿なこと言って…!あっ…ダメ、だ…っ…!」

雅:(清白は抗議しつつも、舌の動きに反応していた。)

雅:「なんだ、意外と敏感なんだね。そんな可愛いと…乱暴にしたくなっちゃうな」

清白:「!?…いたっ!?」

雅:(俺は清白の首筋に噛み付いていた。)

清白:(雅は俺の身体(からだ)に何度も吸い付いたり噛み付いたりして、跡を無数に残していく。)

清白:(その度に俺の息は無意識に熱く甘くなっていく。)

雅:「清白…男にこんな事されてんのに、いい声出してるね…そんなに気持ちいい?」

清白:「そんなこと…あっ…ダメっだっ…!」

清白:(いつの間にか雅によって着ていた服を全て開(はだ)けさせられていた。)

清白:(俺は羞恥で顔が熱くなるのを感じた。)

雅:「(含み笑い)これが『ダメ』なわけないよね?」

清白:(言いながら雅は俺のモノを丁寧になぞる。その快感に逆らえず声が漏れてしまう。)

雅:(その様子を見て思わず笑みが零れる。今、品行方正で清廉潔白なこの男を俺が乱している。)

雅:「もっと…見せて…?」

雅:(俺は軟膏を手に取り、清白の誰も触れた事の無いであろう場所を解(ほぐ)し始めた。)

清白:「みやび!?やめっ!!そんなとこ……ぐっ…」

雅:「力抜けよ…余計痛くなるぞ」

清白:「んなこと、いっても…くっ…あっ!」

雅:(清白のささやかな抵抗にあいながらも、じっくり解していくと幾分か甘い声が出るようになった。)

雅:「そろそろ…いいな…?」

清白:「んっ……そろそろ…って…?まさか!?」

清白:「ムリだ!指でもいっぱいいっぱいなのに…まっ…」

雅:「待たない」

雅:(怖がる清白の足を押さえ込んで、腰を引き寄せる。)

雅:(自分のモノを清白のそこに当てがり、ゆっくりと挿入していく。)

清白:「くっ…あっ……!みや、び…くるし…っ」

雅:「っ…大丈夫。ほら、案外すんなり入ったよ?」

清白:「っ…はっ…あ…、なに、が…大丈夫なん…だ…」

清白:(俺は憎まれ口をたたきながら、なんとか呼吸を整えようと必死だった。)

雅:「少しは慣れてきたか?」

清白:「え…?」

清白:(そう言うと雅はゆっくりと、腰を動かし始めた。)

清白:「あっ!やめっ!!!…っん!」

清白:(少しずつ早くなる動きに耐えきれず、声が出る。)

清白:(それが痛みなのか快楽なのか、段々分からなくなっていく。)

清白:(乱れた呼吸がどちらのものなのか分からなくなる頃、俺は意識を手放した。)

0:間を開ける

清白:「ん…ここ、は…」

清白:(身体に痛みが走り、先程までの行為を思い出した。)

雅:「目、覚めたか?ちょっと無理させたね、水でも飲む?」

清白:(ふと両腕の拘束が解けている事に気付いた俺は…)

清白:「この……大バカ野郎がーーー!!!」

清白:(身体の痛みそっちのけで、全力で雅の顔面を殴った。)

雅:(思いがけず全力の拳を食らった俺は吹っ飛んだ。)

雅:(その勢いに驚き、痛みも忘れてただ呆然と清白を見上げた。)

清白:「なぁにが『こっちの世話も焼いてくれるよね?』だ!そんな世話焼いて欲しいならお前なら幾らでも女がいるだろ!?」

清白:「人の事殺さんばかりの殺気で押し倒して来やがって!性欲溜めすぎなんだよ!俺で発散するな!変態が!」

清白:「今度やったらその竿、引きちぎってやるからな!!!」

雅:(一気にまくし立てられ、少しずつ思考が戻ってくる。)

雅:「…くっ…ふふっ…ははははは!」

雅:(急に笑い出した俺を清白は訝(いぶか)しげに見ている。)

雅:「なんだ清白、お前人殴ったり暴言吐いたりするのか!」

清白:「は?何だよ、今更。俺は口も悪いし、手も足も出すぞ?」

雅:(あぁ、俺は誤解していた。勝手に清白は品行方正で清廉潔白だと、そう思い込んでいた。所詮、綺麗な場所から俺に情けをかけているんだと。)

雅:(だから、犯して汚して見たかった。俺の場所まで堕としたかった。)

雅:(妬んで、羨んで、自分の物にしたくて…)

雅:(……ん?自分の物???)

清白:「何百面相してんだ?頭でも打ったか?」

雅:(……………………)

雅:「…いや、清白は可愛いなと思ってただけ」

清白:「はぁ?何バカな事言って…っ!」

雅:(軽率に近寄って来た清白に口付けて、俺はもう一度笑った。)

雅:「世話焼きの清白さんはまた俺のとこに来るよね?」

清白:「……お前が飯食ってるか心配だからな…」

雅:(視線を逸らし、小声で発せられたその言葉に俺は満足する。)

雅:(あんな事されても心配するなんて、俺の事好きすぎるよね?)

清白:「何ニヤニヤしてんだよ、気色悪い」

雅:(これはきっと『愛しい』って感情だ。)

雅:(ずっと勘違いしていた。これからは間違えない。)

雅:「飯、一緒に食おうぜ」

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