見出し画像

兼業・副業を禁止する企業で、あなたが副業を可能にするには?

副業解禁だといわれるようになったものの、いまだに兼業や副業を許可しない会社も多くあります。

2018年9月に、株式会社リクルートキャリアがおこなった『兼業・副業に対する企業の意識調査(2018)』によると、対象者(※)2,000人以上のうち、およそ7割を超える企業で兼業や副業を『禁止している』と回答がありました。

しかし、一方でおよそ4割の会社ではすでに『推進している』『容認している』『推進も容認もしている』と回答があり、少しずつ兼業や副業が認められつつあるのも事実です。

(※)参考:【訂正版】兼業・副業に対する企業の意識調査(2018)

アンケート結果を読み進めていくと、禁止されている業種は『製造業』が最も多く、次いで『金融・保険業、不動産業』となっています。

実際、私の夫も製造業に分類される業種で仕事をしており、副業は現在も禁止されています。ですが、夫は今の仕事に就く以前から副業をしており、本業(製造業)と利益相反しないこともあって、特例で認めてもらっている状況です。

当初、入社半年間は見習いとして契約社員契約。その後は正社員登用という話であったのが、入社して5年が経過するにもかかわらず、いまだに正社員登用されていません。これは、会社組織の仕組みによるところが大きいので、例にするには適切ではないかもしれません。

しかしながら、副業をしていることが足かせになって正社員登用されていないのであれば、それもまた従業員のプライベートへの干渉と取ることもできます。

就業規則に法的拘束力はない

ご存知の方も多いかもしれませんが、あらゆる会社に存在している『就業規則』。これを法律的観点で見た場合、なんら法的な拘束力はありません。法律上の解釈でいえば、就業時間以外は従業員本人の完全なる自由時間ということになります。

ところが、公務員には該当しません。公務員は、国家公務員法(第103条、第104条)で副業が禁じられているからです。

法的拘束力がなければ兼業や副業はしていいのか?

極論をいえば、兼業は別としても副業は、従業員が就業時間以外におこなうものであればやってもいいということになります。

ただし、所属している会社に対して不利益を与えるものである場合、会社と損害賠償トラブルに発展することもあります。選択する副業は選んだほうがいいでしょう。

不利益を与えるとは、主に次のような場合を指します。
□利益相反
□情報漏洩

<補足:利益相反とは>
本業である会社がおこなっている事業と競合する事業をおこなったり、事業に類する行為をおこなったりすることによってもたらされる、企業への損害行為です。

つまり、ある製品を作っている会社であなたが働いている場合、副業でその製品の競合にあたる製品をあなたが製造したり、販売したり、あるいはその製造や販売にかかわるノウハウを第三者に提供したりすることが原因で、会社とあなたの利益が反転することです。

兼業においては、ここからさらに『36協定』というものが絡んできます。
現行の労働基準法では、一人の従業員について労働時間や休日が次のように定められています。
・1日につき8時間までの勤務であること
・1週間につき40時間までの勤務であること
・原則、週1回の休日を与えること

兼業はパラレルワークともいわれ、1日あるいは1週間、もしくは月に数時間ずつ複数の企業で業務に就くことを指します。複数企業をわたり歩くような働き方をしたとしても、いずれの会社にも36協定が適用されます。

そのため、それぞれの会社がその人をどれだけ働かせたのか、労働時間の管理をすることになります。そして互いにその情報を共有し、労働時間が超過しないように調整しなければなりません。ところが現状では、それを正しく共有管理できている会社はそう多くはないようです。

兼業については、副業とは違ったアプローチが必要になります。実際に兼業をおこなうのであれば、所属している会社によってかなりハードルが高いものとなるでしょう。

その点において副業は、業務内容とアプローチ次第で会社に容認させることができる可能性が高いといえます。

『自由な働き方』に対する企業と従業員の意識の隔たり

企業が考える従業員の自由な働き方には、フレックス制度や時短勤務、テレワークがあります。これらは会社側が、会社に主軸を置いた状態でそれぞれのライフステージに合った働き方をすることだと認識されていると考えられます。

もちろん、ライフワークバランスを考えれば、自分の望む働き方に「合致する」と考える従業員はいるでしょう。けれど、それだけで従業員が抱える問題がすべて解決できるわけではありません。

かつて日本企業が当たり前のように取り入れていた終身雇用も今ではなくなり、大不況を迎えてからは賃金も低下し、収入格差が開いている状況です。

現役世代が将来に受け取ることができるとされている年金も、実際にはどうなるかわかりません。かといって給料が上がるわけでもなく、今後加速度的に普及すると考えられているAIの導入によって、今の職業のまま食べて行けるのかといった不安は、どんどん大きくなっています。

なかには、毎月生活するのがやっとで貯金もままならないという人もいます。新卒者にいたっては、働くことに対する価値観も変わってきており、個の特性を活かせる環境を求めています。そんな時代にあるにもかかわらず、企業側からの積極的な改革は見られず、従業員たちは不安感と不信感を募らせていくばかりです。

人材を確保したいが、副業や兼業を容認することによって人材流出になるのではないかという不安が企業側にあるようです。ですが、何の餌もない場所で従業員を飼い慣らそうとするのは、時代錯誤といわざるを得ません。

そうやって抑圧すれば、結果的に会社に対して従業員が増々失望感を抱くことになり、結果的に人材流出に繋がるリスクを企業側は捉えきれていないのではないかと思うほどです。

現役従業員が求めているのは、働きやすい環境であることはもちろんですが、将来の蓄えや生活の質の底上げ、収入をより安定的に得るための手段の確保です。その最も効率的で手短な手段が『副業』なのではないでしょうか。

副業が禁止!でも稼ぎたい……どんな仕事を選ぶのがベスト?

従業員であるうちは、法的拘束力がないといっても、会社の方針である就業規則を守るのがベストです。規則を遵守しても、当然のことながら会社は規定の給料しか支払ってくれません。今以上の収入や、万が一のときのために収入源を複数持っておきたいなら副業は外せないキーワードです。

とはいえ面倒なことに、36協定が関係してしまう事業で副業をおこなうと、双方の会社に迷惑をかける事態となってしまいます。
たとえば、日中はA社で勤務をし、終業後にB社で勤務する場合、これは副業ではなく兼業という扱いになることがあります。

具体的にいうと、兼業と副業には明確な区別はありません。ただ、次のようなパターンは兼業にあたると考えられています。

<兼業にあたるもの>
○雇用契約の有無
 それぞれの企業と雇用契約が交わされている。
○労働時間や労力のかけ方のバランス
 本業と同程度もしくは、それに近いもの。

具体例を挙げてみましょう。浜田が、AマーケットとコンビニBでそれぞれ雇用契約を結び、なおかつ4時間ずつの勤務の場合は兼業です。
これが、Aマーケットで8時間、コンビニBで4時間の勤務であれば、Aマーケットが主、コンビニBが従になるのでコンビニBが副業と捉えることができるのです。

ここで問題になってくるのが、労働時間の超過勤務です。上述した後者の場合、1日の労働時間は最大で12時間になります。この時点で労基法上、1日あたりの時間を超過していることになります。労基法にならうなら、Aマーケットでの勤務時間を短縮して全体で8時間になるよう調整が必要です。

Aマーケットでの勤務が隔日で、コンビニBでの勤務が週休1日の連日勤務であれば、1週間あたりの40時間という規定値内に収まるため、労基法上の問題はクリアできます。

ところが、Aマーケットでの勤務が週休1日の場合、1週間あたりの労働時間は60時間となり、労基法で定められている40時間/週の上限を大幅に超えてしまいます。

他にも細々とした規定があるのですが、副業(あるいは兼業)であっても事業者のもとで働くと、こうしたことが簡単に起こってしまいます。
労基法では、違反した事業者ならびに使用人と、所属する会社に対して罰則が課すとされています。

利益相反や情報漏洩することがなくても、事業者と雇用契約を結ぶ副業は、よくよく考えたほうがいいでしょう。

ちなみに私の夫は、新聞の朝刊配達をしています。形式上事業者に雇われる形にはなっていますが、給与の計算は時給でも月給でもなく、配達部数による出来高制です。そのため勤務時間として捉えられておらず、本業の仕事ではフルタイム(8時間)勤務をしています。

朝刊は、慣れれば(部数にもよりますが)1~2時間程度で配達が終わります。固定収入を得たければ、新聞配達も方法の一つになるでしょう。

ただ新聞配達の厳しい点は、月1回の休刊日以外に休みがありません。どんな天候だろうと関係なく、配達に行かなければなりません。それに耐えられるのであれば、新聞配達も選択肢に入れてみることをオススメします。

「いやいや、そんなの無理だよ!」という方は、ブログや投資(FXや投信など)といった雇用契約を必要としないもので、なおかつ自分で裁量できる仕事を選択することが望ましいでしょう。

最近では、個人が持つ一定の時間に値段を付けて売買する『タイムチケット』やクラフト雑貨等を売買するネットショップ『BASE』なども人気です。このほか、クラウドソーシングサービス(WEB上で業務の受発注がおこなえる仲介サイト)を利用してWEBサイトやホームページなどの記事執筆代行やイラスト制作、WEBサイト制作といったものもあります。

<参考>
タイムチケットの詳細はコチラ
BASEの詳細はコチラ
クラウドソーシングサービスの一例:ランサーズクラウドワークス

兼業・副業禁止の会社だけど、副業を始めたら申告すべき? どう申告するのがベスト?

個人の裁量で仕事量を調節でき、仕事のタイミングも選択できるもので、なおかつ本業に支障が出ないものならば、あえて申告せずとも目立たぬように業務をするというのもやり方の一つです。

ですが今後のことを考えれば、見つかる可能性がある仕事に関しては、予め会社側に承諾を得ておいたほうが無用なトラブルは避けられるでしょう。
このとき、どうやって副業を伝えるのかも大事なポイントです。

単に「給料が安いので、収入を増やしたくて副業がしたい」だけでは、頭の固い偉いさんたちには「規則だから許さん」と言われておしまいです。その会社で今後も働き続ける意思があるのであれば、それをきちんと伝えたうえで、現状の収入では暮らしていくことが難しいことをデータで提示したほうが伝わりやすくなります。

さらに、「現状このような状態のため、副業が許可願います。その代わりに会社に対して○○しないことを誓います」といった誓約書を用意するのも有効です。我が夫の場合は会社側から提示されましたが、従業員自らが用意すれば、会社を離れる意思がないという表明にもなり、副業許可へのハードルが下がりやすくなるはずです。

ここまでしてもまだ頑なに副業を許可されないのであれば、なぜ許可できないのか明確な理由を聞きましょう。「就業規則だから」の一言で片づけられることもあるかもしれません。ですが、切実なのであれば、なおさら納得できる答えをもらいましょう。

本来、就業時間以外の時間は従業員の自由な時間です。会社業務に支障を起こさない程度で、法に触れるなど会社の信頼を貶めるような行為以外は、何をしていてもそれは従業員個人の自由なのです。それを就業規則だからで縛ることは、従業員のプライベートへの過剰な干渉となります。

けれど、「法律的に~」などといえば、火に油を注ぐことになりかねませんから、そこは上手くオブラートに包みつつ粘り強く交渉を続けていきましょう。

我が夫も入社後しばらくは、「副業をやめないのか?」「まだ続けているのか?」と聞かれていたそうです。さすがに1年も経つ頃には何も言われなくなったようで、今ではそんな話題すらのぼらなくなりました。会社も、夫が辞めずに働いているのと、無遅刻でほぼ無欠勤をこの数年間貫いていることもあり、許容せざるを得なくなったのでしょう。

そこまで粘る必要性を感じないのであれば、副業をしたいことを伝えても認可してもらえないなら、転職するのも一つの方法です。まだ副業や兼業に対して無関心だったり、リスクばかりを取っているつもりでリスクヘッジができていない会社がある一方で、副業・兼業への意識変革をしたほうがいいことに気づき始めた会社もあります。そういった会社は今後、間違いなく増えていくでしょうから、それらの会社に転職するというのも一案です。

ほかにも、いっそのこと独立して兼業するという方法もあります。ですが、こちらもまた別のリスクがあります。会社員でいることと個人事業主になることのリスクやメリット・デメリットを天秤にかけて、熟考する必要が十分にあるでしょう。

最後に

脱社畜と称して会社をやめようといった風潮がありますが、会社組織に属しているあいだに独り立ちできる準備も整っていない状態での退職は、裸で荒野に走り出すようなものです。同じフリーランスで、何の後ろ盾もツテもなく始めた私としては、諸手を挙げて賛成したり、無責任に「頑張れ」とは応援することはできません。

ですが、決めるのはあなたです。会社に副業を申告をすることもしないことも、会社と交渉するもしないも、そしてフリーになるもならないも。すべて、あなたの意思で決めることです。

誰もあなたの代わりにはなれません。たかが副業ですが、されど副業です。うまく軌道に乗れば今までよりも収入は増えますし、今よりもっとやりたいことにチャレンジできるかもしれません。さらには、将来への不安も貯蓄が増えるにつれて、薄まっていくでしょう。

あなたの望む未来は、どんな未来ですか?

よろしければサポートお願いします! いただいたサポートは活動費や書籍代に充てさせていただき、得た知見などは改めてnoteでシェアします♬