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TLS2023優勝レポート〜コプターレスラクドスミッドレンジ&ゴブリンストンピィ解説〜


0.挨拶

皆さま、こんにちは。未熟者です。この度、晴れる屋様で開催されたThe Last Sun2023に参加し、幸運ながら優勝することが出来ました。応援と祝福をいただいた皆さま、本当にありがとうございました。
自分としてはもう10年ほどもやってきたMtGの中でも初のビッグタイトルなので、感動も一塩ですが、ただ徒に噛み締めるだけなのも勿体無いので、記事として昇華し、皆さまに少しでも還元できたらと思い、筆をとりました。
今回は自分が使用したコプターレスラクドスミッドレンジとゴブリンストンピィに関して、①選択理由、②一般的なリストとの差異について述べつつ、実際の大会レポートを交えていきたいと思います。よろしくお願いします。


1.コプターレスラクドスミッドレンジ

①デッキ選択理由

2023年12月4日、禁止改定にてパイオニアにおいて大きな変化があったことは記憶に新しい。
具体的には《大いなる創造者、カーン》と《地質鑑定士》の禁止と《密輸人の回転翼機》の解禁である。
《地質鑑定士》の禁止は想定内だったが、その禁止について議論され続けてきた《大いなる創造者、カーン》の禁止については「いよいよその時が来たのだな」という感想であった。
しかし、これによりいわゆる“カーンボード”デッキ(緑単信心やジャンド異形化、ローナルーカなど)が環境から実質的に排除される、というのは少なくない環境変化と言えるだろう。
同時に《密輸人の回転翼機》の解禁は環境へ面白い影響を与えると感じた。特にRCレベルでの話だが、【ボロス召集】以外のアグロデッキは環境からほぼ排除されていると言っても過言ではない状況であったし、アグロデッキが復権することで健全な環境の自浄作用が働く可能性はあると考えた。



自分もTLSに向けた調整として《密輸人の回転翼機》を上手く使えるデッキの中からチョイスしようと考えて、色々なデッキを回していた。直線的なアグロデッキに闇雲に4投するのは根本的なデッキパワーの上昇に繋がっているとは感じられず、何なら元々のデッキにあったシナジーを損なう可能性すらあるという評価であった。
最終的に【ラクドスミッドレンジ】、【グルール機体】、【アブザン脂牙】で使うのがデッキパワーも担保しつつ、《密輸人の回転翼機》を上手く運用出来るため、この中からデッキを選択することになった。
そんな中、MOやRCで目を引くほどに暴れたデッキは【アマリアコンボ】であった。思えば、それなりに容易に決まる3キルデッキが弱いわけがなく、同期のぶっ壊れが消えた現環境は【アマリアコンボ】が暴れる土壌が整っていたように思う。プレイももちろん要所は難しく、誘発も多いためミスし易いが、基本的には直線的な絵合わせデッキであり、TLSには持ち込む人も多いだろうという予想であった。
同じく、《湧き出る源、ジェガンサ》まで採用し全体的に軽い構成となった【ラクドスコプター】とも言うべき”軽いラクドスミッドレンジ“も結果を残したデッキであった。
【アマリアコンボ】を相性上で意識出来るデッキは自分の使用候補の中だと【ラクドスコプター】だけだったので、ほぼ【ラクドスコプター】決め打ちで練習をした。

数リーグ回した上でわかったことは【ラクドスミッドレンジ】に《密輸人の回転翼機》はそこまでフィットしたカードではないということだった。【ラクドスミッドレンジ】は“攻める”と”受ける“で変速できるのが特長の1つだが、《密輸人の回転翼機》は攻める時にはもちろん強いカードだが、受けている時には絶望的に弱いカードだと感じた。リーグで《密輸人の回転翼機》だけを盤面に並べ続け、「これが1枚でも《灰色熊》なら勝っていたのに・・・」と思うことは何回もあった。

元々、自分は【ラクドスミッドレンジ】のプレイ思想としては受ける側に寄っているところもあるが、自分の感覚を信じ、【ラクドスコプター】から《密輸人の回転翼機》を廃したトラディショナルな【ラクドスミッドレンジ】を使用することに決めた。
【ラクドスミッドレンジ】を使うとなり、自分がまず連絡したのはまたしても盟友のミネストであった。

「俺は持ってないから《骨集めのドラゴザウルス》使うけど、《ゲトの裏切り者、カリタス》は今脳内だとめっちゃいいよ」


あー、あのシェオルに完全にラクドスミッドから追い出されたカリタスね・・・・・・

なるほど!?

確かに今【アマリアコンボ】は墓地利用デッキと言っても過言ではないほど墓地を多用するし、粘り強いクリーチャーも多いため、追放除去は喉から手が出るほど欲しい。しかも、コンボが決まった後もクロックの膨らみ方が他にカードがないほど高い。さらに《密輸人の回転翼機》が解禁された今、アグロデッキは増えると予想されるので、アグロデッキにも強い《ゲトの裏切り者、カリタス》はかなり環境にフィットしたカードに見えた。
時間がなかったため、1リーグだけテストし、【アマリアコンボ】相手に《ゲトの裏切り者、カリタス》+《危難の道》のコンボを決めて気持ちよく寝られたため、そのままのリストをTLSに持っていくことを決めた。

②カード選択


これが自分がTLSに持って行った75枚である。
正直CCFの際のリストと細かいところの違いはないが、特徴的な部分について語りたい。

2 《ゲトの裏切り者、カリタス》
今回のMVP。ミネスト本当にありがとう。
強みについては上述しているが、加えて本番で気付いたこととして、先出ししておくとそれだけで《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》の全体爆破時に相手のそれ以外のクリーチャーが追放され、その枚数分こちらの場にゾンビが残るので、入れる保険としての役割もある。アンチ【アマリアコンボ】カードとしてかなり強いので、今後【アマリアコンボ】を使う人たちはこのカードに悩むことになるんだろうなと他人事ながら思った。

2マナ除去4種類4枚
せっかく重めにしていて、相手の《黙示録、シェオルドレッド》には絶対ハマりたくないので、4枚。どの2マナ除去も裏目が存在するので、散らすことにした。

2 《危難の道》

前回の記事でも書いたが、

《危難の道》は対【ボロス召集】後手で信頼出来るカードであり、ついでに【アマリアコンボ】にめちゃくちゃ刺さる全体除去であるため、とれるだけとりたい。前までは《絶滅の契機》にスロットを取られていたが、《緑単信心》が環境から排除されたことからここをカットすることができ、2枚採用することができた。【アマリアコンボ】が多い環境であれば、3枚目も検討したい。


2.ゴブリンストンピィ

①デッキ選択理由

自分は本当にここ数年レガシーをプレイしておらず、何を使えばいいか途方に暮れていたが、自分が懇意にさせていただいているMOパンダさんの放送を見ていて、この【ゴブリンストンピィ】は明らかに動きが壊れていたので、自分でもMOで数リーグ回した。大体、4-1連打で、かなり感触は良く、自分より早い【ANT】や【スニークショー】のようなデッキには不利がつくものの、【ボロスイニシアチブ】や【5C豆コントロール】のようなTLSで多そうなデッキにはそれなりに有利であり、使う価値はあると結論付けた。
TLSに多そうな【ラクドスリアニメイト】には一見不利に見えるが、かなり横に広がる上に《舷側砲の砲撃手》がコンバットで強く、押し切れる展開も多いため、そこまで不利ではないことを確認出来たことも良かった。


最終的なリストの最適化については適宜MOパンダさんに相談をさせていただいたり、デッキリストを共有していただき、自分の回し易いようにチューニングして最終的にサブミットした。
余談だが、今回のTLSでのゴブリン使用者は6人で、そのうち4人はDAY2進出、その後トップ8に2人、トップ16に1人と脅威のパフォーマンスを誇っており、間違いなく今大会1番の勝ち組デッキであったと言えるだろう。

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②カード選択


最終的に自分が持ち込んだ75枚は上記の通りである。
このデッキはいわゆるストンピィデッキであり、1tに3マナのカードをプレイすることを主眼にしており、1マナクリーチャーは全てカットした。ある程度マリガン出来るデッキであるし、2t3マナから動いても十分な相手もそれなりにいるため、慣れればキープも含め、かなりプレイは簡単だった。部族デッキらしく、横並びでちまちましたコンバットを制する展開も多いが、《上流階級のゴブリン、マクサス》はプレイして負けた試合がほとんどないほど強力なため、これを1つのゴールとすることも多い。


特に《____ゴブリン》から早期に5か6マナを出し、2t(理論上は1tから可能だが、要求値が高い)に《上流階級のゴブリン、マクサス》を出して、《____ゴブリン》と《雄叫ぶゴブリン》が捲れて速攻つけてそのまま30点ぐらい入って勝つ流れは一度やると忘れられないぐらい気持ちがよく、いずれ違法になる可能性があるので、未体験の方は今のうちにやっておくのがオススメだ。

よく聞かれますが、ステッカー貼らないとマナ出ないので、スタックで除去されるとフィズります

一般的なリストと比較して特徴的な部分を以下に述べる。

4 《裏切り者の都》
一般的には3のことも多いが、キープ基準に貢献する2マナランドは何だかんだ8枚入れたいと感じて4投。2マナランド×2+赤マナソース2から《上流階級のゴブリン、マクサス》に繋げる動きもあるため、個人的には良い変更だと感じた。

1 《呪われた鏡》

こちらはMOパンダさんに教えていただいたカード。マナファクトであるから《上流階級のゴブリン、マクサス》に繋げることができ、また速攻クローンは殴るデッキであるこのデッキにおいて非常に方向性がマッチしており、自由枠にはかなり良いカードだと感じた。役割を終えた《ゴブリンの女看守》からさらに出汁がとれるのもよい。非ゴブリンカードであるところが弱みなので1のみ採用。

2 《熱心な略奪者、ブリーチェス》

こちらもMOパンダさんから教えていただいたカード。実質ゴブリンシャーマントークンであり、相手のブロッカーをズラしたり、アドバンテージをとったりと色々器用なカードで1tに出すとかなり圧がある。これも殴りながら宝物トークンを出してマナ加速をし、《上流階級のゴブリン、マクサス》に繋げるためのカードであり、デッキの一貫性を保つ潤滑油として最高であった。これのおかげで相手のコンバットをバグらせて1勝しているので、今回の影のMVPかもしれない。

4 《虚空の杯》

やはりストンピィといえばこれであり、メインのゴブリン濃度を下げないためにサイドに落としているが、やはりマッチ単位では必要と考えた。枚数は色々あるが、自分は4がキープ基準になってよいと思う。《虚空の杯》を入れるマッチアップは《上流階級のゴブリン、マクサス》が不要なことが多く、大体ここを入れ替えることになる。

2 《アメジストのとげ》

ここの枠は元々《血染めの月》であった。だが、【5C豆コントロール】にはかなり有利であり、そこにも入れられて、苦手所を見ることが出来るこちらを今回はチョイスした。リーグでも感触は良く、本大会でも【カスケードクラッシュ】を苦しめることが出来たため、採用して良かったという感想である。


3.大会レポート

今回の大会結果は自身のXでのポストを参照したい。

初日

自身満々で持ち込んだ【ラクドスミッドレンジ】で開幕0-2して意気消沈したが、せっかくだし遊んで行くかの気持ちで続けたらパイオニアラウンド2-2で持ち直し、レガシーも遊べることに。
その後、同じくトップ8入りしたマチカネゴブサンビさんとのミラー以外を落とさずに3-1で2日目へ進出することが出来た。
余談だが、ステッカーデッキをブラフで用意してる人は対戦相手に1人もおらず、実質的にステッカーデッキを公開した瞬間にデッキバレするのはちょっと損だなと感じた。

2日目

初戦から晴れる屋Prosのマツウラタクミさんの【ラクドスリアニメイト】に先手1キルされる素晴らしいスタートだったが、その後、トップからサイドカードを引き続ける運だけゲームをして勝利、最後はダブマリさせて勝利という運だけでの勝利をした。
その後、同アーキタイプのコバヤシリョウヘイくんにしばかれたのでトントン。


レガシーラウンドで印象的なのは4ラウンド目の【青単サーガ】戦であった。
相手ライフ5、相手の場には《ウルザの物語》から出た構築物トークン(6/6)×2と《影槍》があって、こちらのライフが12、こちらの場には《熱心な略奪者、ブリーチェス》と《猿人の指導霊》と《舷側砲の砲撃手》と《ゴブリンの熟練扇動者》がいるという場(クリーチャーは全部アンタップ状態)で、相手の使えるマナは《古えの墳墓》×2+《オパールのモックス》、ハンドには《継ぎ接ぎ自動機械》と《四肢切断》(試合後に聞いた)という状態。
相手は《熱心な略奪者、ブリーチェス》のブロック不可能力を意識して、構築物トークン2体で殴ってきたため、盤面だけで返しの勝利は大体決まって勝利した。
正着は《影槍》をつけた構築物トークン1体で殴り、2体立たせて、《舷側砲の砲手》を除去するではあったが、レガシーでここまでのコンバットが要求されることは少ない印象もあり、《熱心な略奪者、ブリーチェス》でとったなと明確に感じた1本だった。


パイオニアラウンドは全試合ひりついたが何とか3-0することが出来た。

なかしゅーさんとのミラー?はこちらの方が重いため、重い要素で勝利をしただけという印象であった。レジェンドにどのような形だとしても勝つことが出来たのは自分にとって大きな財産となった。

ヴィンテージ神の方の【ラクドスゴブリン】戦は全試合ライフ3まで落ち込んだが、2本《黙示録、シェオルドレッド》がライフを20点ずつぐらい回復して勝利した。

最後の方は【青単テンポ】というやり慣れていないデッキだったが、CCFがスタンダードの時に【青単ジン】でエリア予選を突破したのもあり、構造はよく理解していたし、その際に対【グリクシスミッドレンジ】は死ぬほどやり込んだいたので、「こうされたら負けるな」というのを逆算してキツいプレイを続けていたら気付いたら勝利していた。具体的にはハンデスは引いたら打つが、基本的には構えずにマスカンを投げ続ける、タップの隙に除去を打つ、である。相手もそれが1番キツいと話していた。やはり練習は裏切らない。

そんなこんなでスイス6-1の2位通過でSEまで。

SE1は東海あの人さん。パイオニアが【アブザン脂牙】であり、相性最悪だったので自分の庭ではないが、レガシーに避難。
幸いなことに2試合とも《魂の洞窟》と《上流階級のゴブリン、マクサス》が火を噴き、恐ろしい盤面になってサイ軍団を圧倒して勝利した。
サイドに《兄弟仲の終焉》が2枚取られており、正直サイド後はお祈りだったが、たまたま《アメジストのとげ》が刺さっていたらしく運が良かったなと思った。

SE2は庭であるパイオニアを選択。レガシーの豆マークタイド系とゴブリンとの相性感がわからなかったので、イメージ出来た対【アマリアコンボ】を選択したが、世論として【ゴブリンストンピィ】が有利らしい。
まあでも、かなり【アマリアコンボ】を意識した構成にしてたのでイケるっしょ!のノリで選択。

G1は相手がダブマリしていてマスクの下で歯茎を剥き出しにしていた。
後手3tで寓話を突っ込んだのは相手のハンド1でトップと合わせてアンタップイン土地と《集合した中隊》じゃないとコンボが成立しないと考えたからである。
なお、その高い要求を乗り越え相手のライフは140に。
ただ、相手が上振れ側のティルトに陥ったのかかなり早い段階で探検をストップしたので、ハンドと墓地合わせてリソースが少なく、こちらは2枚分のアドバンテージがあるのでゆっくりやればいつかは勝てるだろうの精神で続行。すごい盤面になって勝利したので、詳しくはアーカイブをどうぞ。

G2も相手がダブマリしてマスクの下で歯茎を剥き出しにしていたが、同じ展開で後手3tダイブしたところ、再度コンボが決まる。
ダラダラ続けることも出来たが、ハンドが弱く、ライフ水準が高過ぎて返せる気がしなかったため投了。

G3はプッシュ、カリタス、土地5でキープしたところ、当たり前のようにマナフラッドし、徐々にキツい盤面に。
ただ、試合時間も1時間を越えておりお互いに疲労困憊。
《復活の声》がある状態で《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》を除去してもエレメンタルトークンが発生して絶対にコンボ決まるのを忘れて構えて動いたが、相手も誘発忘れをしておりそのまま続行し、結局カリタス+危難の道のコンボが決まってしまい勝利。
相手にも観戦してた方々にも申し訳ない気持ちはあるが、これがハードなトーナメントのSEのリアルである。ご容赦いただきたい。

SE3は世界選手権準優勝で2023年1番波に乗っている男、テルテルさん。正直会場で1番当たりたくない相手だが、仕方がない。2023年最後の壁としてはこの上ない。
相手に選択権があり、レガシーは避けたいとのことでパイオニアを選択。【ラクドスミッドレンジ】ミラーとなった。

G1はある意味で【ラクドスミッドレンジ】ミラーらしいゲームだったと言える。
このミラーは《鏡割りの寓話》ゲーと揶揄されるが実態は少しだけ違う。想像以上に《砕骨の巨人》ゲーなのだ。このミラーにおけるプレイングの第一は《砕骨の巨人》を1枚以上として使え(相手に1枚以上として使わせるな)である。
メインボードにおいてはゴブリンシャーマントークンと《キキジキの偶像》に加えて、《税血の収穫者》や《太陽の執事長、インティ》などの2マナなど、《踏みつけ》の当て先がかなり存在するため、アドバンテージを稼ぐために自分は温存することが多い。
今回はそれが功を奏し、相手の《踏みつけ》をフィズらせるのに使うことが出来たなどして、試合を通して相手の《砕骨の巨人》を1枚以上にせず、自分の《砕骨の巨人》を1枚以上として使えるタイミングがあったことが大きな勝因だったように思う。
もちろん【ラクドスミッドレンジ】ミラーは基本運ゲー(坊主捲りの類い)だとは思うが、実力が拮抗し、ハンドが同程度のものを配られるなら腕ゲーでもあることは確かだろう。

その意味ではG2もまた【ラクドスミッドレンジ】ミラーらしい試合展開だったと思う。自分もチャンスを作るプレイングを心掛けたが、人は《鏡割りの寓話》連打に耐えられる構造をしていない。一瞬で敗北して清々しさすらあった。

ここからはサイド後のゲームとなる。自分はサイドは以下の通りだ。
-4《税血の収穫者》
-1《太陽の執事長、インティ》
+2《コラガンの命令》
+1《勢団の銀行破り》
+2《強迫》

サイド後ハンデスを増やすのはもはやメジャーである。相手のサイドボードには2枚の《コラガンの命令》に加え、《領事の旗艦、スカイソブリン》と《絶望招来》、《ヴェールのリリアナ》とミラー用のサイドが豊富にとられているので、若干の心配はあったが、《勢団の銀行破り》はこちらの方が枚数が多く、また2マナ除去をしっかり採用しているため、相手の強力なクリーチャーやPWには比較的触り易いことからそこまで深刻には考えていなかった。

G3もまた《砕骨の巨人》であったと言える。ここまでのプレイングを見ていて、テルテルさんは(少なくともラクドスミッドレンジを使う上では)比較的アグレッシブなプレイを好むプレイヤーであり、ダメージのすれ違いを厭わないことが多いというのが自分の分析だった。
決まり手はこちらの《キキジキの偶像》が残ったことではあるが、《キキジキの偶像》はこの“ダメージのすれ違い”で非常に強いため、こちらもそのゲームに乗っていき、最終的に《踏みつけ》本体でダメージレースをズラし、勝利することが出来た。
このように《踏みつけ》がダメージソースとして沁みることも展開としてはたまにあり、最終的にどう運用するかは絶対に決まらないので、どこで展開に対する損切りをして上手く使用するかが非常に難しく、そこもまた《砕骨の巨人》ゲーたる所以なのかもしれない。

G4もまた【ラクドスミッドレンジ】ミラーでよく見る光景であったように思う。マナフラッドVSマナスクリュー+《勢団の銀行破り》という構図である。
この場合、マナフラッド側の勝ち筋は豊富なマナ差で盤面を優勢に保ち、ライフを0にすることであるが、マナスクリュー側が除去を豊富に持っているとこれが成就しないことも多く、今回の自分はまさしくそれであったため、盤面が安全な間に4枚目の土地が見つかり、無事勝利することが出来た。最後に相手ライフ8で《コラガンの命令》を引き、《黙示録、シェオルドレッド》のアタックが通った時には思わず天を仰いだ。

全体的に自分の方に運が傾いたと感じたが、自分でコントロール出来る部分をきちんと丁寧に処理し、現在日本で考えられ得る最も強い人にミラーで勝つことが出来たというのは自分にとって大きな自信となった。


4.最後に

こうして自分はTLS2023の王者となることが出来た。
TLSは混合フォーマットが本当に面白く、また対戦相手も気持ちの良い方ばかりで本当に楽しい2日だった。2日を通して対戦した皆さま、トーナメントを企画・運営いただいたジャッジやスタッフの皆さま、そして自分を応援して勇気付けてくださった皆さまにただただ感謝を述べたい。
今回のTLS2023優勝は10年ほどの自分のMtGキャリアの中で初めてのビッグタイトルであり、自分が今までやってきたことは無駄じゃなかったのだとまだまだ噛み締め続けている。練習に対して結果が出ずに不貞腐れたくなる日々もあったが、そんな時に自分を支えてくれたマスとんのみんなや普段仲良くしてくれる友人の皆さまのおかげでここまで来れたので、そういう意味でも自分は恵まれていると感じている。
最後になるが、この記事に目を通してくださった皆さまに感謝を述べて結語としたい。皆さま、本当に本当にありがとうございました!!

次はMMMfinalsとエターナルパーティーに出るのでお会いする方はよろしくお願いします!!それ以外の方はまたどこかで!!


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