見出し画像

空がきれいだ

芝生に寝ころぶと空しか見えなくなった。
よく晴れていて、
冷たい風が吹いていた。


「15時半まで好きなことをしていいよ」
山梨県の富士山のふもと、山中湖のレイクロッジ。
自己内省という字で書くと少し固いプロクラムに参加していている。
2泊3日の日程の2日目、
午前中は好きなことを体現して生活している方の話を聞き、
午後は自由時間であった。
ああどうしようか、と力の抜けた体で芝生に寝ころんでみる。


空がきれいだ。
雲が動いている。
ちっちゃい飛行機が飛んでいる。

はっきりしない理由で辞めた大学のサークル友達が、
社会人になってから会おうと誘ってくれたことがあった。
4年ぶりの友達との約束の日は今日のような秋の晴れの日で、
目的地は大宮駅からバスで少し行ったところのリスのいる公園だった。
リスを十分すぎるほど見た後は
シートも引かずに芝生で寝ころび、
日が暮れるまで雲のかたちとかの話をした。
辞めた理由は聞かれなかったけれど、
友達は私に気遣うことなく、
サークルでの思い出を話してくれた。


私にとって秋空の芝生は、幸せな場所であったんだなあと、
今日一人になってから気づく。



車が近づいてくる音がしてはっと起き上がる。
ひかれなかった。よかった。
起き上がって見えたのは、
紅葉した山と晴れ渡った空で、
これがまた、きれいだった。


ああ空がきれいだ。
この秋空が好きだ。
この気持ちは、きっとずっと変わらないだろうと思った。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?