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苦手な物を好きになるまで
子供の時に食べられなかったもの
酒好き家系の生まれなもので、幼少期からお酒のおつまみを白ごはんのお供にして育った。
夕飯は家族揃って食べるのが決まりみたいになっていたので、自然と両親のおつまみは子供たちの夕飯の仲間に入れられたのだ。
食卓の定番ラインナップは以下の通り。
ごはん・主菜・副菜・味噌汁・おつまみ・漬物。
ちなみに漬物は、我が家ではデザート的な立ち位置で、食後にお茶と一緒に出てきた。
今日の漬物は野沢菜よ(やったー)みたいな。
人間の味覚は8歳までにある程度決まると言われたりするけれど、毎日おつまみを口にしていたのだから、小学生にあがる頃には辛党の口に仕上がり、私はスーパーで浅漬けやイカの塩辛をねだるような子供だった。。
その結果といっていいのかわからないけれど、子供の頃私は反対に甘いもの、特にクリーム系が苦手だった。
ショートケーキ、生クリーム、カスタードクリーム、ソフトクリーム、バニラ味のアイスクリーム、プリン…あとシェイク、コーラ、ソーダなどの甘い飲み物も。
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好き嫌いに関しては子供が苦手な食べ物としてよく挙げられる野菜や、肉魚類は難なく食べることができたし、牛乳も好きなのに、甘いものとなると喉を通らない。
だからこそお子様セットについてくるデザートがオレンジゼリーだった時のときめきは特別だった。
ジュースが果汁100%だった時の喜び…。
そういえば、たまにゼリーのお供に生クリームが乗っかっていることがあった。
そんな時、子供が喜ぶだろうと堂々と佇む生クリームは、私の前にやってきてしまったがばかりに直ちに母のコーヒースプーンに捕らわれ、敢えなく黒い渦の中に飲まれていくという末路を迎えた。
ギョッとする私に、母は得意げに「これウインナーコーヒーっていうのよ、お母さん得しちゃった、ありがとう〜」と笑った。
ただ、友達の家でご馳走になる時は子供ながらに苦労もあった。
ピーマンにんじん食べれる?とは聞かれても、プリン食べれる?とは聞かれないのだ。
むしろプリンだーとテンションのあがるのが普通。
なんだか言い出しづらくて、苦手なプリンをなんとかちびちび食べるものの喉を通らない。
お腹いっぱい?と聞かれて、涙目でギブアップ。
とても悪い事をした気持ちで帰ったりもした。
好奇心が味覚を変える
ただみんながとても美味しそうに食べているのが、とにかくうらやましかった。どうしたら美味しいと思えるんだろう、私も美味しいと言いたい!
そんなわけで甘いものもいける口になるための修行をはじめたのが10歳くらいのこと。
まず最初に食べられるようになったのはショートケーキ。いちごが好きだったから、外見はもともと好き。
ショートケーキのいちごってなんであんなに艶々して、王様感があるんだろう。あと中間地点にスライスされたいちごがいるのも絶妙。
しかし、そこには苦手な生クリームがいる。なんなら周りに角がたった生クリームがたくさん行列になってる。
ある時、地元にあるケーキ屋さんにスポンジ多めのショートケーキをみつけた。生クリーム少ない、これは修行にもってこいだとリクエスト。
親からすると、突然どうした?という感じだったけど、協力してもらい何度も食べ続けてるうちに、美味しさゲージがあがって苦手から好きに昇格した。
当時の美味しく食べるコツは王様のいちごを見ながらスポンジと生クリームを口に入れること。決して先に王様を口にしてはならない…。
最後に大きないちごを食べる事で、口の中に広がった甘みがちょうど良く中和される、これがショートケーキなんだな、なんてことは考えていない。
ただ、それからは何かコツのようなものを掴み、苦手なものを好きになるのが少し得意になった。
苦手なものを好きになるためにすること
嫌いなのではなく苦手なのだと肝に銘じる
人から「美味しい」と思うポイントをリサーチ
食べてる人にお願いできたらひと口頂く
美味しいポイントを想像力と味覚を使って探す
時には食べてる人に食レポしてもらうふわっと美味しいポイントに近づいたと感じたら
感覚が消えないうちに即座に1個自分で食べる1個食べれたら達成感を忘れないうちに
後日平然を装ってまた食べてみる
このやり方で、苦手なものはほぼ克服してきた。
プリンは長く克服できずにいたけれど、
高校の帰り道に毎日のように友人たちとコンビニデザートを食べて帰っていたので、友人の協力のもと2年間かけて好きになった。
私「今…たどりついた気がした…!」
友人「おーわかった!?ついに!」
となった時の喜び…よくこの珍妙な修行に付き合ってくれたなぁと思うけど、友人たちは一緒に喜んでくれた。
おかげで今はプリン食べ比べするくらい大好きに。
大人になってからもこのやり方でパクチーが大好きになったし、食べ物に限らず無意識で色んな場面で活用できている気がする。
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それでも幼少期に覚えた味覚は強い…
そんなこんなで甘いものも好きになったけれど、子供の頃の強烈な思い出として残ってるのは、結局のところケーキではなく冬空の下で食べた焼き鳥。
父と一緒にスーパーの前で母を待っていた時、屋台の焼き鳥屋さんで1本買ってもらった鶏皮の焼き鳥がめちゃくちゃおいしかった。
今でも父とあれは美味しかった。と話をすることがある。やはり幼少期に覚えた味覚には抗うのは難しい。
食べられるものが増えても、辛党の口は変えられなかった。
一つ残念なこととして、いまだコーラは飲めないまま。
人に聞いても、なぜか美味しいんだよな〜と言われることが多く、想像力をうまく発揮できず迷宮入りとなってしまった。味を聞いてもコーラ味という答えが多いのはなんだか凄みを感じる。
それほど深いということなのか…と気になりすぎて、ネットで検索したこともあった。
誰かみたいに「ハンバーガーにはコーラでしょ」と言えるようになってみたい。
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