日々、というところに 今日も〈2〉
少し小さくて、あたたかな色合いの
金属のスプーンを探して、探して、
探して、ようやく出逢いました。
アンティークではないけれど、
昔のスプーンでした。
大きなスプーンはあるのだけれど、
程よく小さなスプーンは、
ありそうでいて、意外とないのです。
あんまり使う時がない、
と言われてしまえば…
そうなのかも。
きみにあんまり用事はない、
けれど、
どうかそこにいてほしいのです。
きみのおかげで、
日々というところが、
なんだか愉しいのです。
スプーンに ひとさじ
おもむきを ひとさじ
濃すぎる涙に ひとさじ
うすめたら
よい塩梅
やわらかく煮込まれて
深い味わいになるでしょう
スプーンに ひとさじ
おもむきを ひとさじ
バサバサの心に ひとさじ
枯れていた
その梅の木は
ねむっていただけ
きょうはお花見いたしましょう
スプーンに ひとさじ
おもむきを ひとさじ
雨あがりのさみしさに ひとさじ
さらり
あざやかに
おおきな虹がかかります
スプーンに ひとさじ
おもむきを ひとさじ
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