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日々、というところに 今日も〈9〉

「苦しそうに話すね、大丈夫?」
友達が心配してくれます。
やっぱり、そうだよね。
バレるよね…。

日々、
そこらへんにある紙切れに、
思い付いたこと、見つけたことを、
書きます。
どうして?というと…
話すということが私には、大仕事。
どうして?というと…
とても緊張してしまうからです。
友達でも、親でも、知り合いでも、
関係なく。
だから、
自分が話すより、
相手の話を聞く方が好きです。
私の身ひとつ、私の持っている時間では
体験しきれない、感じきれない、
いろいろなこと、いろいろな思いを。

それでも、
私にも感じること、見つけたこと、
いろいろあるものですから…
時々、
聞いていただけますか?
と、いざ話し始めると…
みるみる緊張が襲ってきて、
息が切れてきます。
く、くるしくなってきた。
息が…。
そうして、
「もう、おしまいっ」って、
自分で早めにおしまいにします。
でも、もう少し…
と、思う時があって…
いつしか、絵を、言葉を、
かくようになりました。
かいていても、実は、
自分のことを話すように、
緊張します。
でも、息は切れないことが、
わかってきました。

私の日々というところは、
〈緊張〉で出来ていて、
どうにもならないようです。
生きているだけで、
日々緊張している…。
けれど、おかげで、
できそうもないことと、
できそうなことを、
まぜて、こねて、成形して…
紙の上にかいてみるという、
日々のおくり方を、
発見したようです。

思い付いたけれど、
見つけたけれど、
息が切れてしまって、
伝えきれない言葉は、
絵に、言葉に、
かいてみます。
かいてみたら、
素敵なお手紙をいただいて、
そして、窓まで素敵になりました。
寒々とした窓に、
葉っぱの落ちた冬の木々に、
灰色の今日の空に、
雪が、花が、星が、
咲きました。

ふと発見しました。
窓を飾っている間の私は、
緊張していなかったなぁ、と。
そこらへんにある紙切れより先に、
ここに今、書いておきます。
感謝を込めて。

昨日の空は灰色。きれいな紙たちが窓を、景色を楽しく嬉しくしてくれました。今朝は晴れて、窓辺もぽかぽか。
しまった!きれいな紙たちが…やられた!わたしの窓辺は君達の窓辺だったのだよね。そうだった。
貼り直して、みんなでニコニコぽかぽか。わたしも仲間に入れてくださいな。

………………………………

ポケットに 
ころん と
もらった
まるくて やさしい
木の実

広く 深い 空から
あの人が
わたしのポケットに
ころん と
入れて

行ってしまった

ポケットの中の
木の実
わたしも
君に 渡したら…

君にも
ころん と
風吹いて

君にも
ころん と
雲浮かぶ

「雲がきれいだね」
うつむいて歩く
となりの君が
そう言ったなら

いつかきっと
ころん と
届く

広く 深い 空の向こうの
あの人に

絵はがき〈2015年11月〉

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