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あのとき私を助けてくれたもの。

節目と言うものがある。
それは何か特別な良い事のある時もあれば、最悪極まりない時もある。
今日はそんな事があった過去の事を書こうと思います。

約5年前、私は人生最大最悪の振られ方をしました。
彼氏と仕事をいっぺんに失って何もやる気が起きず、精神的にかなり参ってしまい、体を壊し心もボロボロ。自分の今までや存在を全否定されたかのような状態でした。
何をしていても幸福感からは程遠い場所にいて、私以外はみんなカラーで私だけモノクロの世界にいるような日々を過ごしていました。それでも何か楽しみを見出そうと必死でした。しかし何をしていても不足感や寂しさがあって、とにかく心からの笑顔や楽しさ、平穏を取り戻したい。そう願っていました。

そんな願いを抱えたまま、無職の生活がしばらく続いていた時、いつものようにFacebookを開き、なんとなくタイムラインを眺めていたら、ある記事が目に飛び込んできました。

「鳥山明のドラゴンボール展開催」

私はこの一文を見て「!!!」と驚き、一気に気分は高揚して、じわじわと体が熱くなったのを今でも覚えています。
私はこれに行く、何としてでもいく、一人でもいく、いや・・・一人で行こう!!!
そう強く心に決めて、開催期間や時間などを確認し、無職で暇な事を幸運だと思い、すぐさま行く日を決めました。
この時貯金などはほとんど無く、遊びなどに使うお金はほぼ持ち合わせていませんでした。それでもドラゴンボール展は、私にとってその現実を無視できるほど魅力的なビッグイベントでした。

ドラゴンボール展当日。私は出来る限りのオシャレをして、一人で東京の日本橋高島屋へ向かいました。まるで好きな人とデートの待ち合わせのような気分でドキドキしながら。
日本橋へ行くのは初めてで、しかも高島屋はちょっと高級なイメージもあり田舎ものの私は半ば緊張しつつ、ドラゴンボール展が開催されている階へと昇りました。会場にたどり着くと、明らかに私と同じようにワクワクしている人たちが大勢いて、その空気感にも私はワクワクドキドキしました。「ああ、来て良かった」と入口で既に楽しい気分で満ちていました。

中に入るとそこはもうドラゴンボール一色。私の大好きな世界が広がっていました。それを眺める大勢の人たち、そしてそこに一緒にいる私。みんな同じ目的でここにいると言う一体感も感じながら、原画を1枚1枚ゆっくりと感動を味わいながらじっくりと見てまわりました。

その時に、ふと内側から「漫画が描きたい」という気持ちがぐわーーーーっと湧いてきて、しばらく忘れていた「希望」や「活力」が一気に私を包みこんできたのです。そして、自分の生きる気力を心の底と体の底から感じ、喜びで涙が出そうになりました。

そこからの自分の行動は衝動を越えていて、本音や直感のみで動いているような感覚でした。

ドラゴンボール展をしこたま観て楽しんで、グッズ用に用意していたお金を全てその場で使い、残った交通費で地元に戻り、電気屋へ直行しました。
そこでクレジットカードを使って、一番安いペンタブレットを買い、すぐさま家に戻り、PCを開いて設定し、無料のお絵かきソフトをダウンロードして、すぐに絵を描き始めました。しかし、何年も描いていなかったので自分の中で過去最大にど下手でした。
でも「それでも構わない、とにかく今描きたいのだ!!」と言う気持ちに任せ、この日から365日毎日描き続けました(確かそれを約2年間続けていたと思います)。楽しくて楽しくてたまらずに、何かにとりつかれたかのように。

自分のしたい事を出来た喜びと、これからたくさん描くぞという未来への楽しみを掴んだ喜びで、あんなに落ち込んでいて何もする気が無かったのが嘘のようでした。

ドラゴンボールは私にとってとても特別な作品だったのは昔からではあるものの、この事で更に特別なものになりました。
生きる気力や活力、希望まで思い出させてくれた作品に出会えたこと自体が宝物です。
そして、あの時の最悪な出来事も今はギフトのように思えます。あの時振ってくれてありがとうと心から感謝できる過去になりました。
辛い事の中にも宝が眠っていることもあると思うと、そういった過去の出来事も、良い思い出に成り得るんだと思いました。

今日も読んでくだってありがとうございます!

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