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心がじんわりした話

先週は雨の日がつづいていた。

私は車を運転しながら、我が家の息子たちと同じ小学校に通っているであろう男の子に目が行った。

その子は傘をささず、歩道の花壇をじっと見つめていた。

すると、急に手を合わし始めた。

草と花で何があったのかは見えなかったが、男の子はきっと〝何か〟の亡骸などを見つけたのだろう。

通り過ぎてバックミラーを見ると、まだ手を合わせている男の姿がみえた。

誰の目も気にすることなく、雨の中で一心に手を合わせる小学生の男の子の姿に、私の涙腺は緩んだ。

真実はどうだったかは未だに不明だが、きっと冗談などではなかった。

人目の多い通り沿いで、雨の日なので車の往来もいつも以上だった。

そんな中で、人目を気にせずに〝何か〟に手を合わせることができる男の子の人間性とそこから醸し出された優しさが私の心を揺さぶって、今でもあの光景がはっきり脳に焼き付いている。

《人の振り見て我が振り直せ》という言葉がある。
きっと、今の私へのメッセージなのだろう。
そう思えて仕方ない。

いつか、あの男の子に出会えたら「素敵な光景をみせてくれてありがとう」と伝えたい。

何気ない日常の中で出会う小さな灯火が、きっと私にとっての幸せとなる。

ありがとう。ありがとう。

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